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第27話
カフェで二人と別れた後、会社に戻った。
昼休みの終わりに、廊下で偶然会った空に声をかける。
「蜷川、今日、うちでご飯食べられる?」
「もちろん!新も呼びますか?」
そんな嬉しそうに笑って。前まではお互いライバル視してたのに、今ではすっかり家族やな。
「うん、一緒にお迎えいこか?」
「やった!午後からの仕事頑張れます!じゃあいってきます!」
相変わらずの爽やかな嵐のように走って行く。新調した薄手のコートもよく似合ってて、目の保養になる。あとで、写真撮らせてもらお。って、いや、ちゃうわ、こんなとこでニタニタしてる場合じゃない。
――そして、退勤時。
「元宮さーん、一緒にかえろっ!」
「空どんどん小学生化していってんな?」
「だって、俺は元宮さんの大切な息子でしょ?」
「……ふふっそうやな」
帰りの用意をしていると、空に軽く手を繋がれ、ぶんぶんと振り回される。こんな日常も、最初は冗談だとわかっていても緊張してたな。今はもう、この温もりが当たり前の安心感に変わっていった。好きの気持ちを、家族としての好きの気持ちに切り替えてから、大分気持ちが楽になった。
「あ……伝説の剣、昨日見つけたで?」
「……伝説の勇者になるまで結構時間かかりましたね?」
ふふっとイタズラに笑う空に、あの持ち手に書かれた呪文を思い出し、胸の奥が熱くなる。
「……なるべくしてなったって感じやな。俺からしたら最高タイミングやった」
「ん?」
不思議そうな空に向き合って、俺は真剣に伝えた。
「……奥さんから連絡があった。実は奥さん、療養じゃなくて、独り身になって元気に働いてるねん。多分、寂しくなって『洸に会いたい』って。多分奥さんは、自分に似てる洸だけ引き取りたいんだと思う。……今は近くにいなくても、それまで弦と洸を大切に育ててくれてたんは確かや。やから、きちんと話し合いに行こうと思う」
空はゆっくり、その言葉の意味を噛み締めた後、優しく笑って「はい」とだけ答えた。
「新にも2人が寝てから、ゆっくり話したいと思う。リビングで家族会議や」
「……とうとうラスボスの登場ですね?」
「そやな。……勇者1人じゃお姫様を守りきれへんからな」
「大丈夫です。とびきりやんちゃな王子様もお料理好きのエルフも茶化してばっかりの吟遊詩人も勇者様の後ろにピッタリ張り付いてますから」
あまりにも的確な役職に、大笑いする。これでいい。この気持ちのまま、奥さんに会って話せばきっとわかってくれるはずや。
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