10 / 26

第10話

 ルイの舌が俺の舌にぬるりと絡まると、背中に甘い痺れがぞくぞくと走り、息をするのも忘れ、ルイにしがみついた。  竜人にマーキングされた相手はその竜人の匂いで激しく発情する。  初めそれを聞いた時、俺は何てことしてくれたんだと、それこそ半泣きになってルイに怒ったが、ルイはそんな 俺を諌めながら楽しそうに俺も同じだからと笑うだけだった。  だが運命の番を探しているルイと、俺は、同じじゃない。  帯を半ば引き裂かれるように解かれ、はだけられた前開きの服からルイの両手が差し込まれた。発情のせいか呼吸で大きく上下している胸元をゆったりとルイの手が這う。  既に赤くつんと尖り、弄(もてあそ)ばれることを今か今かと待つ乳首には触ってもらえず、瞼を震わせれば、その瞼に触れるだけの柔らかな唇が落とされた。  きゅっと乳首をつままれ、唇がわななく。俺の頬に、鼻に、優しい唇を落としながら、ルイは俺の乳首を弄(もてあそ)び始めた。 「…………っ!」  息をつめれば、乳首を指先でぐりぐりと押しつぶされる。 「気持ちがいいか? ヴォルフ」  唇を噛んで必死に首を横に振る。  そこは散々ルイに弄(もてあそ)ばれ、気持ちよくなるよう仕込まれた。  だが乳首に限らず俺が一言でも気持ちがいいと口にすれば、ルイはそこを散々嬲(なぶ)り倒す。翌日、乳首のひりつきを考えれば認める訳にはいかなかった。 「そうか、でも見てみろ、ヴォルフ」  はだけられた前開きの服から、自分の乳首が赤くふっくらと色づき、物欲しそうにつんと立ち上がっているのが見える。  無性に恥ずかしくなり、顔を背ければ、ルイは椅子に座っていた俺の身体を持ち上げ、机の上に乗せて俺の膝を大きく広げた。  足首まである内衣は俺の肩に引っかかった状態で、全裸と言っていい。膝を大きく広げられれば、俺の赤くふっくらと色づいた乳首も、硬く反り返り、先端をしどしどに濡らした性器もすべて赤裸々に暴かれてしまう。 「……っ! ルイ……!」  ここはバルコニーだ。女官達は皆、帰ってしまったが、それでも誰がいるとも限らない。今さら始まった行為に慌てる。 「安心しろ、結界を張った。誰にも見られないし、聞かれない」  ルイが俺の完全に勃起した性器を大きな手で包み、上下に扱きながら、ぷっくりと赤くなった俺の乳首をじゅうと音を立てて吸った。  ルイの甘い吐息とぬるつく熱い舌が乳首に絡まり、性器を直接扱かれれば、信じられないくらい気持ちがいい、つま先が震える。 「………っ、………っ!」  わずかに性器と乳首を弄ばれただけで我慢できず、ルイの腹部辺りに精液を飛ばし、絶頂感に息を乱していると、両足を持ち上げられて机の上に転がされた。 「……本当に、感じやすい身体しているな」  俺の双丘をやんわりと揉んだルイは香油で指先を濡らし、俺の蕾をゆるゆると撫で始めた。 「……ルイっ! そこは、嫌だ……っ! 汚い!」 「落ち着け、前にも言ったし、自分でも分かるだろう? 竜人のココは自浄効果を持ってる。綺麗だ」  いつかそこでルイを受けなければならず、慣らさないといけないと分かっていても、触られるのはまだ抵抗がある。悶えれば、軽く押さえつけられた。 「ルイ!」 「挿れない。少し、触るだけだ」  端麗なルイの貌は普段、澄ましているようにも見える。それが今、情欲に濡れ、壮絶な男の色香を放ちながら蠱惑的な笑みを浮かべられれば、逆らえない。  俺の鼻先にルイの形のいい唇が落ちる。  甘い香りが鼻腔を突き刺し、吐精したばかりの性器が一気に元気を取り戻した。 「あ、あ、嫌だ」  半泣きになれば、ルイの端麗な貌が傾き、俺の頬に唇を押し当てた。 「怖がらなくていい、ほら」  硬く反り勃った性器を扱かれ、蕾を濡れた指先が何度も突かれるたび、奇妙な感覚が走り、身悶える。 「……く、ふ……っ、ん」  ルイが俺の濡れた性器の先端を撫で回しながら、俺の蕾に指を埋め込んできた。ずっと弄られていたせいか弛んでいて、ルイの指を易々と受け入れてしまう。 「ルイ……! 挿れないと言ったはずだ……!」 「俺は挿れない。挿れられない」  以前聞いた。  マーキングの一種だ。竜人は嫉妬深く、独占欲が強い。  ルイの性器を一度でも俺の身体に挿れてしまえば、俺の身体は他の竜人の性器を受けつけないようになる。具体的に言えば他の竜人の性器を挿れる時にひどい痛みを伴うそうだ。つまり性交渉が気持ちのいい行為ではなく、苦痛を伴う行為になる。マーキングの上書きはできるそうだが。  だから婚約期間が終わるまで、俺とルイは身体を繋げることができない。口淫もできない。どちらかに運命の番が現れれば、性器を受け入れた側にひどい苦痛が待ち構えているからだ。  中を弄る異物感と気持ち悪さで震えていれば、ふいにルイの指先がある一点を刺激した。  強烈な快感が背中を駆け抜ける。  息をつめれば、ルイの琥珀色の瞳が妖しく輝き、内部に埋め込まれたルイの長い指がゆっくりと律動し始めた。ぐちゅぐちゅと水音が響き始める。 「や……あ、あ……っ、嫌だ……っ、ルイ!」  性器と内部を執拗に擦られて急速に快楽が全身に浸透する。それでも未知への快楽に怯え身悶えると、ルイが強い視線を注いでくる。 「婚約披露は後明後日。今夜、竜人の国の竜人達が無事到着したそうだ……今すぐ……挿れたい。ヴォルフは俺だけのものだと分からせてやりたい」  「ルイ」    それで竜人の国の竜人達の中に、お前の運命の番が現れれば、俺は一体、どうなるんだ?  そう聞こうとして、口をつぐんだ。    俺相手でさえ、ルイはこんなに強い独占欲と執着心を見せる。相手が自分の運命の番なら、それこそ国を滅ぼす勢いで執着するんだろう。俺の存在など初めからなかったように。  それでもルイとの婚約を解消したいと思わない俺は、やはり、卑しい、身の程知らずな男娼なんだろう。  おかしくて、笑った。  悲しすぎると泣けないんだと知った瞬間だった。 「ヴォルフ……?」 「何でもない。挿れて欲しい。俺もルイと繋がりたい」 「ヴォルフ! 違う……! 今のはそういう気持ちで俺がいると言うことが伝えたかっただけで……! 待つ、から」  ルイの鼻先に音を立てて唇を落とした。  俺がルイと同じ竜人で、同じように相手を発情させるフェロモンが分泌されるならルイもーー発情すればいい。  ルイの喉が低く鳴り、俺の内部から指を引き抜くと、硬く猛ったモノを俺の蕾に押し付けてきた。  ルイを固く抱きしめ、ルイの匂いを深く吸い込む。  ルイをこの身体に優しく受け入れるために。  ルイが運命の番を見つければ、俺はもう、何も残らない。死ぬ理由より強い生きる理由がなくなる。  今、ルイが、欲しい。

ともだちにシェアしよう!