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第20話

 数日、同じような日々を過ごした。  褥(しとね)でルイを見送り、大刀と異世界渡りの訓練を繰り返し、夜にはルイを迎える。明日は俺も連れて行けと駄々をこねて。  そして明け方、褥(しとね)でまたルイを見送る。  その後、空気を入れ替える為に、窓を開けると窓辺に小さな薄桃色の野花が置いてあるのを見つける。  リアムからの贈り物だ。  だがルイの不在中、誰もこの迎賓館には侵入できない結界が張られている。それはリアムでも例外ではない。  だから黒竜(リアム)はおそらく朝とも夜とも知れない時間、誰にも認識できない結界を張り、いつもこの薄桃色の野花をこの窓辺にこっそり置く。  リアムは金持ちの貴族だ。その気になればこの迎賓館を埋め尽くす豪奢な花を俺に届けさせることもできるだろう。もっともらしいメッセージを添えて、それこそ公式に。  俺はルイか俺のどちらかに運命の番が見つかれば、婚約は破談になるとリアムに喋ってしまっている。  それなのに黒竜(リアム)は俺の運命の番だと名乗りを上げず、おそらく一番綺麗に咲いている薄桃色の野花を探し、朝とも夜とも言えない時間にこっそりと俺に届けにくる。  俺のようだと、綺麗だと言った花を。  運命の番同士、初めから感覚的部分で分かっていた。  あの黒竜(リアム)は空を飛んでいて、たまたまこの野花を見つけた。  野草だがとてもとても綺麗な花。俺に贈れば、俺は喜んでくれるだろうと、黒竜は妙な自信を持って、俺の所に来ていた。  それはとても純粋な気持ちだった。 『俺を選んで』  窓辺の薄桃色の野花はそのままにして、今日もそっと窓を閉める。  そうして枯れた薄桃色の野花の上に、今日もみずみずしい薄桃色の野花がぽつんとひとつ。  明日は、枯れた花束になる。

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