29 / 55

第29話

 俺の性器の先端から蜜があふれ出ていることに気が付いたルイが興奮したように熱い息を乱した。  それだけで全身に震えが走る。  ルイは俺の双丘をやんわりと撫で、開いた。蕾にぐっとルイの熱い舌先が潜り込んでくる。 「嫌だ! ルイ! やめろ! 嫌だ! 嫌だぁぁ!」  襞をかき分け潜り込む舌はたっぷりと唾液をまとっていて、容赦なく、敏感な中の粘膜を刺激してくる。  たまらなかった。言いようのない気持ち良さに身体がヒクヒクと震え、性器の先端から雫がぱたぱたと溢れる。脳が蕩ける。  自分の身体に心が裏切られる。  濡れた音とともに、内部に侵食してくる愉悦は、自分が別の何者かに変えられてしまうような恐怖をはらんでいるのに、どうしようもないほど、気持ちがいい。世界が弾ける。 「あ……ッ、く……ッ、う……ぅ」  愛撫もろくすっぽない、性器も触られていないのに、俺の性器の先端から、こぽり、こぽり、と緩慢な動きで精液が吐き出され、床にぱたぱたと落ちていく。 「は……あ、ぁ……」  扱いて吐精するより何倍も気持ちがいい。吐いた息が自分で思うより甘く蕩けている。 「……舐めただけで……これは感度はほどほどの看板を今すぐ下げた方がいいな」  ルイの言葉に全身がカッと発火した。  誰のフェロモンのせいで!    殴りにかかれば、易々とのしかかられた。  ルイを見上げれば、生来の美貌に妖艶淫靡さが加わって、この世のものじゃなくなっている。これはまずい。こくりと喉が鳴る。   喰われる。  ルイは艶然とした微笑みを俺に見せつけると、自分の長い指先をゆっくりと口に含んだ。  たっぷり唾液をまとったルイの指先を見て、血の気が引いた。 「待て! ルイ! ルイ! お願いだ! やめ……ッ、んぅーーーッ!」  腰を掴まれ、四つん這いで尻を高く掲げさせられた。たっぷりとルイの唾液を含んだ長い指先とルイの舌が共にゆっくりと侵入してくる。  急速に熱が身体に浸透する。甲高い声を上げると、ルイの長い指が内襞を広げるようにゆっくりと律動を始めた。 「ひ……っ、ぃ……あ、ぁ」  どうしようもなく気持ちがいい。気持ちが良すぎて動けない。逆らえない。もっと欲しい、欲しいと、中がルイの指を求めている。  さっき吐精したばかりなのに、性器を腹まで固く反り返らせ、身悶える俺にルイは容赦なく中へと唾液を流し込み、指で内部に擦り付ける。小刻みに指を動かされて、大きく首を振りながら背をのけ反らせた。  気持ちが良すぎてたまらない。無意識のうちに蜜を溢す俺の性器に手を伸ばせば、その手をルイに掴まれた。 「まだだ、我慢しろ」  恥も外聞もなく涙声で、ルイに後ろを弄られながら今、イきたいんだと訴えれば、ルイが俺の性器の根本に結界を張った。  目がチカチカして、腰が泳ぐ。 「い、痛、あ、あ……ぁ、な、何を」 「イタいくらいがいいんだろ?」 「……! ルイ……あ、ぁ、も、嫌だ、許して」  ルイがかすかに興奮した息を吐き、俺の背中から腰までを優しくなぞった。 「感度が良すぎるんだ。前だけでイくと後が辛くなる。イたきたければ後ろでイけ。ほら」 「ん、は……っ、ぁ、あぅ……」  ルイは一度抜いた指を二本に増やし、後孔を広げるような動きで唾液を流し込むと、中のいいところを狙って、指をぐちゃぐちゃと律動し始めた。 「後ろだけで、もう上手にイけるだろ? ほら」 「あ、ぁ……はぁ、ん、く……っ! んぅ……」 「そう、いい子だ」  涙目で睨めば、ルイは指を再びゆっくりと律動し始めた。  ぐちゅん、ぐちゅ、とルイの唾液が中で踊り出す。  吐精していない俺の性器の先端から雫がじわじわと滲んでくる。頭が白濁し始める。 「は……っ、やめ、ルイ……!! それ、おかしく、なる……ッ」 「いやらしい身体だ。優しい俺に買われて良かったと感謝するんだな」 「優しく、な、んん……ルイ、ルイ、もう……俺、俺」  絶え間ない刺激に後穴が柔らかくなってくるとルイは指を三本に増やし、指を馴染ませるよう小刻みに動かしながらも的確に俺の内部にある敏感な所を責めてくる。 「ルイ……っ、も、嫌だ、苦し……ッ」  今、自分が置かれた状況が何か分からなくなり、絶頂に達したい思いだけが頭に渦巻くと、急に指を抜かれて、蕾に熱く隆々としたルイの性器が押し当てられる。  びくりと我に返った瞬間、熱く隆々としたルイの性器押し込まれてきた。 「ルイ……ッ! く……ぅ、あ、あ、な、何で」 「お前は俺が金で買った」 「……そんな……」  金で買えば何をしても、いいのか……? 「く……っ、はぁ、はぁ」  強引にめり込むルイの性器は狭い後孔をめいいっぱい広げていた。無理だ。裂ける、と思うのに、ルイはゆっくりと慎重に腰を進めてくる。  ルイが、何を考えているのか、分からない。ただこのままルイを受け入れれば激しく後悔するのが分かっていた。  それでもルイの快楽の混じるかすかに乱れた息遣いを背中に感じると、愛しさが込み上げてきて、未来なんかもう、どうでも何でもよくなってくる。馬鹿らしい。自分が馬鹿らしくて、拳を固く握りしめた。 「……痛いたいな、ヴォルフ……」  挿入の衝撃で俺の性器はすっかり萎えていた。性器の根本に張られた結界はいつの間にか消滅している。  さっき婚約解消された。金で買われて、キスも愛撫もない。後孔を舐められ、解されたのはお情けか。顔が見えない後ろ向きで突っ込まれて身体と心に痛みが加われば快楽も吹き飛ぶ。  繋がった部分が熱い。額に汗を滲ませ、浅い息を吐きながら、肘を折り、後孔にルイの性器を咥え込んだまま、尻を突き出した。 「……ヴォルフ……」 「好きに…動け…今夜は、金で買われた。ルイの、ものだ」 「…………」  ルイが俺の背中を指先でひと撫でし、強く腰を打ちつけてきた。ルイの大きな性器が奥まで入り込み、頭が真っ白になる。視界にチカチカと火花が散る。 「う、ぁ……はっ、はぁ」  身体の奥に熱の塊を突き刺されたみたいで、全身がガクガクと震える。息は激しく乱れ、目尻から涙が溢れた。  背中で戸惑うルイの気配を感じた。今更、同情されても腹立たしいだけだ。  自分の性器を自分で扱いて、快楽を求めれば、腰から力が抜けていく。  ルイは動かずじっとしていてくれた。動かしようにもギチギチで動きようがないのかもしれないが。  自分の性器を扱いていれば、性器を埋め込まれた圧迫感はしだいに薄れ、中でまざまざとルイの性器の形を感じるようになると、じんわりとした小さな想いが胸に沁み込んでくる。ルイと繋がれたーーーー金で買われた男娼として。 「快くなってきたか?」  ふいに腰を軽く揺さぶられて内臓が押し上げられた。  大きく太いモノで律動される感覚は圧倒的で、ずぶっずぶっと濡れた音がする。  ルイの唾液には媚薬の効果が含まれていたはずだが、俺の性器は小さく縮こまったまま、蹂躙するルイの暴力に耐えている。  ルイの動きがぴたりと止まった。 「ヴォルフ、誰にそそのかされて、何を使って、俺以外の竜人の匂いを消したのか知らない。だが俺の匂いまで消してしまっているぞ」  驚きで心臓がぎゅっと縮まった俺の背中をルイの手がそうっと滑っていく。 「やはり気付かず、粗悪品を掴まされたのか。意図されて掴まされたのか。これだとお前が未開通と言ったところしか、俺は可愛がってやれない。俺はお前に快楽以外、あげたくない」  呻くようなルイの小さな声に震えれば、ルイが俺をなだめるように浅く腰を動かし始めた。 「ヴォルフ、繋がっている今、間違っても、マーキングされた竜人の名前を呼ぶな。どこにマーキングされたのかも教えるな。俺が冷静でいられなくなる」  リアムのマーキング、ルイは気がついていたのか。いつから……? それにルイは嫉妬、してくれている……? 「……は、あ……ぁ、んん……」  思考が分断する。  敏感な部分を性器の張った部分で擦られて背中にぞくぞくとした甘い痺れが走った。腰が蕩けるような感覚。思い出してきた。  俺も竜人で、ルイにマーキングしている。ルイの性器を俺以外に挿入すれば、ルイはあの雷に撃たれたような激しい痛みを覚えるようになる。上書きは可能かもしれないが、俺以外の身体に挿入するのは痛みで困難を極めるだろう。  胸に昏い喜びがじんわりと滲み始める。  ぐりぐりと内壁を擦られ、内部がひくひくと収縮するとルイが荒い息を零した。 「ルイ」  甘く名前を呼べば、ルイが俺の性器を扱き俺を快楽へと導き始めた。  中の感じる部分を穿たれ、直接性器を扱かれればたまらない。  悲鳴じみた嬌声が喉から溢れ落ちた。床にぱたぱたと白濁した俺の体液が飛び落ちる。信じられないくらい気持ちがいい。生理的な涙がぼろぼろと溢れた。 「……ッ、少し、我慢してくれ」  容赦なく断続的に穿たれた。  それでも律動に合わせて性器を扱かれれば、与えられる快楽として過ぎていたようだ。  気が付けば、達した記憶もないのに、床にはまた、白濁した俺の体液が大量に飛び散っている。  いっぱい出したのに、どうしてこんなに出るのか。  そんな呟きを溢すと、ルイの動きが激しくなった。何度も吐精したはずが、ルイの熱でぐちゃぐちゃに穿たれると、快感を素直に受けた性器が勃ち上がる。  泣きながら身悶えし、腰を揺らせば、また達してしまいそうで、ずり上がって逃げようとすれば、引き戻された。  ルイの息が荒くなり、穿たれる速度も増してきた。痙攣して動けない。  過ぎる快楽は痛みに近く、がくがくと足が震える。悲鳴が上がる。 「出すぞ…ヴォルフ」  内部でルイの性器がひときわ大きくなり、熱い飛沫が内部に広がるのを感じると、それに引きずられるようにして俺も吐精した。  獣じみた荒い息を吐き、背中から抱きしめられると鼓動がすごい勢いで鳴り続けている。  身体の力を抜いてルイに身体を預ければ、ルイと繋がったまま一緒に褥へと転がるように落ちた。  全身が汗まみれで息がまったく整わない。 「明日も、明後日も、明々後日も、俺がヴォルフを買う……だから、どこにも行くな」  ……後明後日はどうするんだ。もういっそこのまま、番ってしまえばいいんじゃないか。そう言いかけて、口をつぐんだ。  俺は飽きられてる。 「明日も、明後日も、明々後日も、ルイが大金払って俺を買えばいい。そうすれば俺は大金持だ」  ルイの美貌が一瞬、翳りを帯びた。  汗で濡れた横髪をそっと耳にかけられる。頬に口付けされる。そう思ったが。  ルイは一度自分の指先に口付けし、その指を俺の頬にそっと乗せた。  俺の頬にそっと口付けたのは憂う顔だった。

ともだちにシェアしよう!