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『先生の陥没乳首が狙われているようです』六時限目②*

 碧が身を乗り出して、赤峰を腕の中に引っ張り込んだ。体が密着すると同時に、激しく唇を求められる。ぶつけるように性急に、碧は赤峰を押し倒しながら、口腔に舌を差し込み、赤峰の舌を舐め回した。 「……んんっ……ふ……」  息を継ぐ暇もない、激しすぎる口付けだった。碧は巧みに角度を変え、赤峰の快感を引き出していく。 (あっ……)  初めてキスをした記憶が、フラッシュバックする。碧はなんの前触れもなく、赤峰の顎を掴んでキスをした。  碧の唇が離れていく。赤峰は胸を大きく上下させて酸素を取り込んだ。熱を帯びた体が、外気にさらされて気持ちがいい。 (いつの間に……)  自身を見下ろすと、上着を脱がされ、ワイシャツのボタンを全て外されていた。  かつて碧に愛撫されて初めて顔を覗かせた乳首は、今はピンク色の乳暈の中に隠れたままになっている。  碧のすらりとした繊細な指先が胸元に伸びていく様子が、スローモーションのように感じられた。隠れた乳首が、乳輪の中でぶるりと震えた気がした。まるで、期待に胸を躍らせる赤峰の気持ちを表しているかのように。  碧の指先が、乳暈に触れるか触れないかというところをそっと撫でた。 「ん、ふ……」  小さな吐息が漏れる。赤峰の敏感な肌は、もはや微細な刺激も快感に変えることができた。その証拠に、乳暈がぷっくりと膨らんでいる。 「今日も、出してあげるからね」  何を出されるのか、言われなくてもわかってしまう。  碧が大きく口を開き、色付いた部分に噛み付く勢いでキスをした。 「あっ……ふ……んぁあっ!」  頬の内側をすぼめられ、音を立てて吸われる。 「あ、ひあっ! ああんっ……」  もう片方の乳輪にも吸い付かれ、ちゅうっと吸われた。 「あ……あ、あぁ――っ!」 「ほら。太陽さんも見て。出てきたよ。太陽さんのかわいい乳首」 「あ……」  言われて胸を見下ろすと、赤くなった胸の粒が、ベリーのように尖っていた。  舌先でこねくり回され、強烈な快感がダイレクトに腰に響く。肩で息をしていると、碧が表情を緩めた。 「かわいい乳首だから、舐めたくなっちゃった。かわいいのは、乳首だけじゃないけど」  碧はとびきりの笑顔を浮かべて、赤峰の唇に、触れるだけのキスを落とした。 「かわいいのはおまえだろっ!」  抗議する赤峰の声は上擦っていた。 「え? 太陽さんがそれ言っちゃう? クラスの男子たちにアイドル先生って呼ばれてるんだよ」 「知るか、そんなの」  碧は小首をかしげて言う。 「俺、かっこいいってよく言われるんだけど、かっこよくないかな」 「碧はかっこいいよ。九割かっこいいけど、俺から見たら、一割かわいいんだよ。いや、二割くらいかな」  赤峰が大真面目に答えると、碧は小さく噴き出した。 「そんな色っぽい格好で、真剣に考えてくれてありがとう」  言われて初めて思い出した。赤峰はかろうじて袖にワイシャツを通しているだけで、ほぼ上半身裸なのだ。  碧の熱い吐息が熟れた乳首を震わせる。 「んぁ……」 「すっかり敏感になったよね。ずっと隠れてたから、もともと感じやすいのかな」  碧に乳首を甘噛みされ、赤峰の細腰がびくりと跳ねる。 「あっ……はっ、はあんっ!」  もう片方の乳首もきゅっと摘ままれ、快感がどんどん下肢に蓄積されていくのがわかる。赤峰は指先と爪先をきゅっと丸めて、性感に耐えた。  じゅっという音とともに、乳首をきつく吸われる。赤峰は無意識に、下肢を碧の股間に押し付けていた。 「こうやって、ずっと吸ってたら、もう陥没しなくなるかもね」 「なっ……!」  卑猥な言葉に、英語準備室で初めて碧に恥部をさらした日の記憶が引き出される。あの日、初めて碧に陥没乳首を吸われた上に、勃起したペニスを掴まれ、碧とともに戸棚の後ろで息を潜めていた――。 「っ! ……」  下肢に違和感を覚えて、赤峰は自身を見下ろした。自分のものが硬くなっているのはさることながら、股間がとてつもなく硬い何かに当たっているのだ。  赤峰は目を見開いて硬直する。一気に顔が熱くなり、恥ずかしくてたまらなくなった。両手で顔を覆い、現実逃避する。 (何も見たくないし、何も聞きたくない!) 「ごめん。気付かれちゃったね」  赤峰は顔を覆ったまま、いやいやと首を振る。  碧の股間が、不自然なほどに盛り上がっていた。  碧が覆いかぶさってきたのが、気配でわかった。赤峰はきつく目を閉じ、顔を隠してじっとしている。今までは、碧も感じているなんて、思ったこともなかった。  碧が壊れ物に触れるように、優しく頭を撫でてくれた。体が密着しているのに、全然重くない。片腕を突っ張り、体重をかけないようにしてくれているのだ。 「ごめんね、太陽さん。怖がらせるつもり、なかったんだけど」  碧が耳元で囁くように言う。  違う。赤峰は、碧が興奮しているのがわかって、怖くなったわけではない。碧だって、生身の人間だ。赤峰のことを好きだと公言しているのだから、赤峰の赤裸々な姿を見れば、興奮するのは当たり前なのだ。  けれども、赤峰はそれを認めるわけにはいかなかった。碧が一方的に奉仕していたという現実を決して認めてはいけないのだ。 「ねえ、太陽さん。お願いだから、かわいい顔見せてよ」  碧の声が震えている。しばしの逡巡の後、赤峰は自ら手をどけた。かわいい教え子に哀願されれば、言うことを聞いてしまうのは教師の(さが)だ。  碧は満面の笑みを浮かべて、赤峰を抱き締めてくれた。 「ありがとう。太陽さん」  気のせいだろうか。碧の瞳が、少し潤んでいた。  碧が赤峰のうなじに顔をうずめる。鋭い痛みが走り、赤峰は思わず声を上げる。 「っ……あ、こらっ! ……目立つところに痕付けるなよ」  碧が赤峰の首筋に軽く歯を立て、キスマークを付けたのだ。  快感よりも何より、教師としての立場が気になってしまう。  碧はいたずらっ子のように笑っている。 「わかってる。ぎりぎり見えないから大丈夫だよ」 「ほんとかよ」  碧が、赤峰を抱き締めたまま動かない。 「碧?」 「ほんと、誰にも渡したくないよ」  赤峰は碧の広い背中を抱き返す。赤峰の中で、疑問が大きくなった。 (この前から、いったい誰のことを言ってるんだ?)  碧がゆっくりと唇を重ねてきた。赤峰も目を閉じて碧の舌を受け入れる。 「ん……ふっ……」  碧は口腔を激しく愛撫すると同時に、両手を使って乳首をいじってきた。 「あっ……は……っ! ……」  勃起したペニス同士が布越しにぶつかり合い、赤峰は体を硬くした。  碧はまだ、赤峰の上にいる。碧の両腕の中にいると、檻に囚われているようだ。赤峰は、碧の色素の薄い瞳を見詰めた。  碧も勃起している。 「あ、あお……」  赤峰の目尻から一筋の涙が流れ落ちる。生理的な涙なのか、感情が昂っているのか、赤峰にはわからない。  男同士のセックスがどのようなものか、ゲイの赤峰にはわかっていた。今まで誰とも付き合ったことがないため、赤峰は童貞な上に処女なのだ。  期待と不安が入り交じり、心臓が口から飛び出しそうだ。緊張感がピークに達して、脳の血管がどうにかなってしまいそうだった。  碧は、赤峰から目を逸らさなかった。整った眉宇には、深い皺が刻まれている。 「嫌なら、はっきり言って。俺、太陽さんが嫌がることは、絶対にしたくないんだ」  鈍器で頭を殴られたような衝撃が、赤峰を襲った。フラッシュの光を眉間に食らったみたいに、目の前が白く濁る。  どうしようもない事実が、実感を伴って赤峰に迫ってきた。  碧は今まで、やや強引ではあったが、決して無理強いはしなかった。それどころか、碧が一方的に奉仕していたのだ。その証拠に、赤峰は、一度も碧の性器を見たことがない。  容赦のない現実が、赤峰の心を引き裂いていく。 (拒もうと思えば拒めたはずだ。さっきだって、俺は自分から、碧の胸に飛び込んだじゃないか! ……俺は、碧に愛撫されることを悦んでいた……? 自分から、碧を受け入れていたというのか……!)  大粒の涙が滝のように赤峰の目尻を伝い落ちていく。 「太陽さん、大丈夫だから。お願いだから、泣かないで」  予想に反して、碧の声が足元から聞こえた。 「おいっ!」  叫んだ声は、情けなく震えている。  碧は、下半身を露出させた赤峰の股間にひざまずいていた。  碧は赤峰を安心させるかのように、無言のままにっこりと微笑む。 「あ、碧……や、め……」  赤峰の勃起したペニスに、両手が添えられる。赤峰は、目を見開いたまま動けなかった。  碧の可憐な唇がゆっくりと開かれていく。弾力のある舌先が、尿道口をこじ開けるようにねじ込まれた。 「ひゃあうううううっ!」  強すぎる快感に、赤峰の腰が大きく跳ねる。裏筋を丁寧に舐め上げられれば、もうたまらない。 「あ、ああっ……ああああああっ!」  柔らかく温かい粘膜に、赤峰のペニスがすっぽりと収まっていた。頬の内側をすぼめられ、一気に高みへと上り詰めていく。 「ひいっ……」  陰嚢を握り込まれ、細腰がびくりと震える。  赤峰は、碧に触れられるようになってから、自慰をしていない。陰嚢には、たくさんの精子が詰まっているだろう。少しでも刺激を与えられれば、碧の口の中で射精してしまう。なんとしてもそれだけは避けたい。  赤峰は生理的な涙を流しながら、碧に哀願した。 「あ、お……おね、がい……放して……も……やめ、て……」  碧は、ペニスを加えたまま赤峰を見詰めている。眼が、笑っているのがわかった。  碧は満面の笑みを浮かべたまま、陰嚢を引き絞った。 「ひぃあんっ! あ、あ――――っ!」  目の前が薔薇色に染まり、ふわりと体が宙に浮いた気がした。赤峰の瞳は、もはや何も映していなかった。満点の星が降り注ぎ、長い絶頂が続く。  恍惚とした表情を浮かべる赤峰の目尻には、大粒の涙が溜まっていた。  赤峰は激しいオーガズムに呑まれながら、絶望感にさいなまれた。

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