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『先生の陥没乳首が狙われているようです』十時限目②*
「ふ……あっ……あんっ……や……っ……あ、ああっ……」
赤峰の喘ぎ声が体育倉庫にこだましているようだった。
赤峰の胸の粒に、透明なカップ状のものが吸着している。カップから伸びたシリンダーが、液晶画面が付いた箱型の器械につながっていた。
(牛にでもなった気分だ)
まるで、搾乳されているようだった。
シリンダーの中の空気が徐々に抜かれていくのがわかった。
「ふ……あ……っ……は、ああっ!」
乳首が引っ張られ、シリンダーの中で引き伸ばされているようだ。
「ああっ……は、あ……んっ……」
限界まで吸われれば、弛緩するようにまた空気が送り込まれる。
無機質な器械が、赤峰の乳首を吸い上げているのだ。
海鋒が持ち込んだのは、陥没乳首用の吸引器だった。
透明なカップの中で、顔を出した乳首が赤く腫れている。
「も……む、り……かい、ほう……たすけ、て……」
赤峰はだらしなくよだれをたらしながら、潤んだ瞳で海鋒を見詰めた。
硬くリボンで結ばれたペニスは、はち切れんばかりに勃起して、先走りを漏らしながらぷるぷると震えている。
乳首にのみ与えられる生殺しのような微細な刺激に、赤峰はひたすら耐えるしかなかった。
「ふっ、ふふ……はっはっはっ」
海鋒は下卑た笑みを浮かべ、透明なチューブを乱暴に引っ張った。
「ひあんっ!」
カップが外れ、赤くなった乳首がぷるんと震える。
海鋒は赤峰の顎を乱暴に掴んだ。
「俺の苦悩がおまえにわかるか? 部活の着替えや合宿の時、無防備に綺麗な体をさらすおまえに、俺はそのたびに欲情していた。何度おまえで抜いたかわからない。愛しているよ、太陽。青二才につまみ食いされなくて、本当によかった」
赤峰は唾を吐いて、海鋒の手から逃れると、海鋒に対する怒りの感情を露わにした。
「碧のことを、そんなふうに言うな!」
海鋒は恍惚とした顔で言う。
「いいねえ……いい! もっと、蛇蝎 の如く俺を嫌ってくれ」
海鋒は陶然としたまま、碧にすら触れられたことのない双丘の狭間に指を伸ばしてきた。
「俺を拒絶しながら俺を咥え込み、いい顔といい声で啼 いて、俺を悦ばせてくれ」
「おまえ……変態かよ! ……ひあっ……あ、ああっ! ……」
花輪に指をかけられただけで、びりびりとした刺激が背筋を這い上がっていく。
「薬が効いてるんだな。今、楽にしてやる」
海鋒はそう言うなり、熟れた乳首を口に含んできた。
「ひゃあっ!……ああっ、ああんっ! ……くっ……っぁ……あ、ああっ……はああああんっ!」
舌先で乳首を転がされ、悩ましい嬌声ばかりが口を衝いて出る。乳首を刺激されているだけなのに、ありえない快感が全身を駆け巡る。
(感じちゃダメだ! 相手は海鋒。碧じゃない!)
そう思うのに、淫らに高められた肉体は、快楽に抗うことができない。縛られたペニスの亀頭から先走りが滲み出て、赤いリボンに染みを作っていく。
「あ、ああっ……は……や、やあああっ……!」
快楽に翻弄され、赤峰は思考停止状態に陥った。
後頭部を固定され、再び唇を奪われる。口を閉じて抵抗しようとしたが、上唇を挟まれ、舐め回されただけでびりびりとした随喜が沸き上がり、呆気なく舌を挿入されてしまった。
「んんっ……ふ……」
同時に長い指で両方の乳首をこねくり返される。
「はっ……あ、ああっ……いっ! ……っ……!」
海鋒に股を割られ、露出し、先走りを滲ませたペニスがスーツの生地に擦れ、際限のない愉悦が延々と続く。赤峰は縛られたまま生理的な涙を流し、まな板の上の魚のようにのたうち回った。
「ひっ……!」
海鋒の指が花輪に突き入れられる。
「まだ、菊花は散らされていないようだ。望月に落とされなくて、本当によかった」
絶望感にさいなまれた赤峰の脳裏に浮かんだのは、他の誰でもない、碧の極上の笑顔だった。
たわんだ枝から、雪が落ちるように、赤峰は唐突に理解した。
(ああ。俺、碧を愛してるんだ)
今頃になって気付いても、もう遅い。赤峰の目尻から、後悔の涙が伝い落ちていく。
海鋒は一旦指を引き抜くと、あらかじめ用意していたらしいローションを手に取った。赤峰の体勢を、腰を突き上げる形にすると、嗜虐的な笑みを浮かべなら、会陰に向けてローションを垂らしていった。
「ひあっ……あ、ああっ……ああんっ!」
冷たい液体がペニスや陰嚢に当たり、赤峰は身をくねらせる。
海鋒は顔を不気味にゆがめたまま、指先にたっぷりとローションを付けて、赤峰の後孔に塗り込んでいった。
「い、いやっ! ……っ……は、はああっ! ……ひあああんっ!」
媚薬によって高められた内壁が海鋒の指を悦んで受け入れているのが自分でもわかった。
「や……やめっ……かい、ほうっ……やめて、くれっ! ひゃっ! ……あっ、ああっ!」
快楽のツボを探し当てられ、赤峰の四肢が痙攣する。縛 められたペニスは、とうに限界を超えていた。
赤峰は快楽地獄に苦しみながら、愛しい人に思いを馳せる。
(こんな……こんなことになるくらいなら、碧に、本当のことを言えばよかった!)
「もう充分だろう」
海鋒の低く掠れた声が響いた。海鋒の指が引き抜かれる。
「あっ……っぅ……」
海鋒はベルトを緩めることなく、スラックスの前をくつろげてペニスを取り出そうとしていた。
とうとう犯されてしまう! 赤峰は声の限りに叫んだ。
「いやっ……いやだああああっ! 俺に触っていいのは碧だけだ! おまえじゃない!」
海鋒は赤峰の叫び声を物ともせず、爛々と輝く瞳で赤峰を見詰めている。
赤峰は、前開きから突き出た海鋒の性器を目 の当たりにし、全身から血の気が引いていくのを感じた。冷や汗が剥き出しの肌を伝い落ち、体温を奪っていく。
海鋒のペニスは、赤峰のものとは似ても似つかなかった。グロテスクなまでに血管が浮き出ており、赤黒く変色していた。凶器と言ってもいい代物だった。
「や……無理……絶対入らない……」
赤峰は弱々しく首を左右に振りながら、縛られた不自由な体でなんとか海鋒から逃れようともがく。
海鋒が一歩踏み出したその時、赤峰の背後から、フラッシュの光と共にシャッター音が響いた。
海鋒が険しい表情で怒鳴る。
「貴様……望月!」
赤峰は碧の灰緑色の髪を呆然と見詰める。
「え……なんで? 碧……」
碧は赤峰を振り返り、口元に笑みを浮かべ、「もう大丈夫だから」と息だけで囁く。
赤峰には、碧がこの場にいることが信じられなかった。
碧はスマホを構えたまま、赤峰をかばうように海鋒の前に立ちふさがった。
「そこまでです。海鋒先生、今すぐこの場所から消えてください。さもなければ、あなたの恥ずかしい写真をネットにアップします」
海鋒は形のよい眉を吊り上げ、鬼の形相で碧を睨み据える。
「ひぃっ!」
初めて見る海鋒の憤怒の表情に、赤峰は怯えて碧の後ろに隠れた。
「タレント風情 が! 高校生のおまえに何ができる! 生徒の分際で、教師の俺にたてつく気か!」
乱暴な言葉の応酬に、赤峰は目を見開いて絶句する。碧は大丈夫だろうかと後ろ姿を見上げると、意外にも碧は声を立てて笑い出した。
赤峰は自分の置かれた状況も忘れて、素直に感心する。
(さすが芸能人。肝が据わってるなあ)
碧はスマホを通して海鋒を見詰めたまま、冷淡な口調で言った。
「やっと本性を現しましたね。今自分が、相当マヌケな格好してるって、わかってますか? あなた、イタリア製の高級スーツにストライプのネクタイで決まってますけど、社会の窓から大事なものが丸出しですよ。都大路を歩いたら、通報されちゃいますね」
「なっ!」
海鋒の頬が真っ赤になる。
碧に指摘されて、赤峰も噴き出した。ネクタイやスーツは一切乱れていないのに、スラックスの前開きからグロテスクなまでに血管が浮き出た赤黒いペニスが突き出ているのだ。
海鋒はこちらに背を向けて、慌てて股間に手をやっている。「くそっ」と呟いているのが聞こえた。ペニスが大きくなりすぎて、なかなかしまえないようだ。
やがて苦々しい表情を浮かべて、碧に向き直った。無理やり押し込まれたせいで、一目でわかるほど股間がもっこりと盛り上がっている。
「体育倉庫から出て行ったら、写真は消してくれるんだろうな」
赤峰は笑いをこらえながら、少し海鋒のことを気の毒に思った。
「大事な交渉道具ですから、消去はしません」
言いながら、碧はスマホを操作している。やがて海鋒に見えるように画面を向けた。
「スマホを壊しても無駄ですよ。自宅のPCに転送しました。その代わり、海鋒先生が俺の要求を呑んでくれたら、一生表には出さないとお約束しましょう」
海鋒は不承不承といった感じで返事をする。
「わかった。要求はなんだ」
「二度と太陽さんに近付くな」
碧は語気を強めて、そう言ってのけた。その瞬間の顔を見られなかったのが残念だ。赤峰はうっとりしながら、碧の凛々しい背中を見詰めた。
打って変わって、碧の語調は穏やかになる。
「と、言いたいところですが、三年四組の担任と副担任という立場上、それは難しいでしょう。ですから、もう二度と、太陽さんに指一本触れないでください。着替えを覗くのもダメです。今までは、太陽さんが鈍感なのをいいことに、覗きまくってたんでしょうけど。プライベートで会うのも禁止。これで手を打ちます」
海鋒の顔に、怒りとは別の感情が現れる。一抹の寂しさや不安、そういったものが感じられた。
「望月。おまえは知らないだろうが、俺と太陽とは」
「気安く名前を呼ぶな!」
碧の一喝に、その場が静まり返る。
「海鋒先生、自分がしたことわかってます? あなたは太陽さんを凌辱しようとしたんですよ。緊縛して無理やり犯そうとしたんです」
(緊縛……! 無理やり犯す!)
碧の言葉のチョイスに、再び体が疼き出した。
「たとえ未遂であったとしても、今までのような友人関係が、これから先も続くとでも思っているんですか。あなたはどこまでおめでたいんです? そんなことは不可能です。海鋒先生は、今まで太陽さんと築いてきた信頼関係を台無しにして、太陽さんの友情を裏切ったんです」
図星を指され、海鋒は唇を噛み締めて押し黙った。
「碧。言いすぎだ」
赤峰は身をよじって快感をやり過ごしながら、小声で指摘する。
海鋒にも聞こえていたのだろう。眉宇に皺を寄せて、泣きそうな顔をした。
「警察には通報しません。今すぐ立ち去ってください」
海鋒は拳を握り締め、ドアに向かって進んでいく。ドアの手前で振り返り、赤峰を一瞥して出て行った。
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