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5 初心者にコックリングはどうなの※

「は……、ハッ……、っふぅ」  やっと庭園までたどり着いた俺は、足から崩れ落ちた。  ここなら誰も追ってこないだろう。王子が来ないことを祈るだけだ。 「はぁ……、はー……うっ」  足はガクガクと震えて使い物にならない。茂みに隠れて寝そべるのが精一杯だ。  なるべく刺激しないように向きを変えるが、葉や草に肌をくすぐられて息が漏れた。  昼飯に何か盛られた。  もっとラグナの言うことを真剣に聞いておくんだった。  訓練に向かう途中、ちょっと頭がボーッとするな、と思ったら、どんどん身体に熱が溜まってきて、おかしなことしか考えられなくなった。  このまま訓練場に向かったら、絶対まずい。  かといって、どこかの個室に逃げ込んだら向こうの思う壺だ。数人で俺を探す声が聞こえて、確信に変わった。ヤる気だ。  誰も来ない場所を考えて、とっさに俺はいつもの庭園へ逃げ込んできたのだ。 「はぁ……っくそ、いつ効果が切れるんだ……明らかに、違法だろ、これ」  思考に逃げようとしても、すぐに霞んでいく。  内ももにグッと力を入れて股を挟む。  気が緩むと、出すことしか考えられなくなる。  ……いや、ただ出したい、というだけじゃない感じがする。腹の奥がずっとジンジンしておかしい。  早く終われ。早く、早く……。 「こんなところで何してるの」  よく通る声に、ヒュッと息をのんだ。  嘘だろ。なんで今日に限って。 「アイク? どうし……」  動けない俺の頭上に、逆光のご尊顔が入り込む。王子の目が見開かれた。   「……王子」 「誰にやられたの」 「……分かりません。すみません……あっ」  王子は俺の全身に視線を走らせた後、服をめくり上げた。  触れられただけで電気のような刺激が走る。   「ちょ……っと、今、触らないでください……」 「随分なものを付けられたね」 「え……?」  細められた目の向かう先は、俺の腹。つられて視線を下げると、そこには幾重にも曲線を重ねてハートや羽根を模したピンクの模様が。  ……これ、俺、知ってる。深夜アニメでやったところだ! 「淫紋!」 「……セーカイ。なんで知ってるの? すけべ」 「ち、違いますよ! たまたまです!」 「一般人が、たまたま出会う知識じゃないんだけど……」  言えば言うほどむっつりの称号が輝いてしまう。予習の成果が出てしまっただけなのに! 「まあ、知ってるなら話は早い。王族にもこういうのを仕掛けてくる輩がいるから、私も一通り知ってはいる」 「一通り……?」 「淫紋にも種類があるんだよ。で、君が付けられているコレね……はあ」  ため息をつく王子の唇をじっと見つめる。  あ、まずい。  思考が溶かされてぼやけていく。王子に出会ってしまった衝撃で一瞬冷静になれたのに。 「専属奴隷を仕立てる……、男の……、数日……、……アイク? 聞こえてる?」  目が勝手に潤み、身体中を熱が駆けめぐる。  早く、早くこの場を離れないと。このままじゃ、どんな失態を王子に見せるかわからない。  体を起こそうとするがうまく行かない。腕の力で、王子の下から這い出るように身をよじらせる。  逃げようとする意思を察したのか、王子が俺の肩に手をかけた。瞬間、痛みにも近い快感が腰から背中に走る。 「ヒッ……!?」 「どこに行くの。まさかラグナ君に頼もうと思ってる?」 「ラグナ……?」  なんで今ラグナの名前が?  ああ、そういや、なんかあったら言えって、あいつ……。  あいつなら俺を匿ってくれるだろうか。 「ラグ……うぁっ!?」  もう一度名を呼ぼうとしたら、王子に手首をつかまれた。  先ほどより強い電流が掛けて、たまらず俺は声を上げる。 「や、めてくだ、……はっ」 「振り払ってごらんよ。私は持ってるだけだよ、ほら」 「あ……っ、ぅ」  手首をつかんだまま、人差し指で手の甲をなぞられる。 「こんな状態で、どこへ行こうって?」  ぼやける視界で、王子と視線が絡んだ。  いつもは凪いだ海のような目が、俺の動きを一つも見逃すまいとでもいうかのように、爛々と輝いている。 「なんで、怒って」 「……怒る?」  王子は目を丸くし、「私が?」とつぶやく。 「……怒っているのか、私は……ああ、そうか」 「王子?」 「そう——なら、行かせられないな」  呼びかけると、緩く握られていた手に明確な意思が宿る。  王子にのし掛かられ、力の入らない俺はいとも簡単に下敷きにされた。 「王子!?」 「オルフェウス」 「え?」 「呼んでごらん」 「は!? や、無理ですよ……うわっ」 「ラグナ君のことは名前で呼ぶのに?」  王子の手が、腹の上に捲り上げられた服をさらに上へと押しやる。 「そりゃ、友達だからで! く、常識的に考えて、無理……あっ、ちょ、たんま」 「常識ねえ……情を交わす相手の名前を呼ばないほうが、よっぽど非常識じゃない?」 「じょ……っ、ひ!?」  現れた乳首を優しくなでられる。それだけで、体が跳ねた。本能がこれを正解だと訴えている。  王子の……オルフェウスの目が、嬉しそうにしなった。   「そうだよ。よかったね、これで君は生き延びられる」 「何、言っ……え、あ、冗談……」  ぐるぐると思考が回って焼き切れそう。でも、これがまずいことだけは分かる。 「あ、お、俺。どっかで抜いてきます、から、離して」 「もう遅いよ」 「ぁあっ!?」  履いていたものを下着ごと膝の下までずり下ろされる。  敏感になっている俺のものが布で擦れ、先走りがオルフェウス目掛けて散ってしまった。 「……ははっ、もうぐちゃぐちゃ」 「ごめ、なさ……」 「いいよ」  いろいろと、あり得ない出来事が起こりすぎてて、おかしくなってしまう。  こんな所で、こんな格好で、この人の前で……こんな目で見られて。 「淫紋に慣れてなくて辛いだろう? 今日は早めに済ませてあげる」  オルフェウスは何かを唱えた後、俺の後ろの窄まりに指を差し入れた。 「ああぁあっ!」  や、やばい。何これ、やばい!  痒いところに触れたみたいな強烈な快感で、脳が殴られる。  思わず浮き上がる腰。オルフェウスは、昂った俺の先端をもう一方の手のひらで塞ぐように包んだ。 「あ! あ! はなして、離してっ!!」 「これだけでイキそう? さすが淫紋……でもイッたら後がしんどいよ?」 「やだ、……ぅあ、イキた、いぃ」  オルフェウスは、子どものわがままを聞くように「仕方ないなあ」と言って、パッと手を離す。  開放されたと同時に白濁が飛び散り、視界がパチパチと弾けた。  ……これで、少しは冷静に……。  だけど、ホッとしたのも束の間。   「あ……、え!? あ、ああっ」  今度は、先ほどの何倍もの射精欲が襲いかかってきた。  収めようと添えた手で、何度も上下してしまう。覚えたての猿みたいに、止められない。 「だから言ったのに。この淫紋は本来女性に使うんだ。後ろで精を受けるまで終わらないよ」 「く、あ、止まんな……あっ」 「聞こえてないな……応急処置だけど」  オルフェウスが何かの魔法を唱えた。  昂りに突然痛みを感じて、思わず手を離す。  見れば、根元に光の輪っかができていた。  こ、これは……コックリング!!  ……なんで知ってるかって、ひとえに独り身ゆえの探究心だったとでも言っておこう。  見覚えのある形に、一瞬だけ俺の理性は戻った。  どこの世界でもエロの知識は変わらないのか。人体の構造が同じなら行き着く先は同じなのかもしれない。 「は……ぅ、うぅ」  とはいえ、つらい。  出てこようとする液体を、リングで外側から無理やりせき止められているのだ。   「ほら、こっちに集中」  挿れたままだったオルフェウスの指が、中をなぞる。  ぞわっと悪寒のようなものが背中に走った。  痛みや違和感はない。淫紋の影響だろうか。  ……いやいやいや、絶対そうだろ。じゃなかったら、こんな。挿れただけで気持ちいいはずがない。 「んん、っぁ、動かさないでっ」 「慣らさないと。まあ……準備はばっちりみたいだけど」 「あっ」  ズルリ、と引き抜かれた指に、液体状の何かがまとわりついている。  粘り気があり、オルフェウスが親指と人差し指をくっつけると間で糸を引いていた。 「ほら。お尻も女性仕様に変わってる」 「んな、な、な……!」  口がわなわなと震える。おい、このエロ特化のご都合システムは何だ! ……淫紋だ!  前世で培った俺の中の魔法のイメージが崩れていく。  開発したやつに言いたい。こんなところに情熱を注ぐな! 「後は、君の準備だけ」 「え? うわあっ」  靴を脱がされ、中途半端な所で止まっていたズボンと下着も取っ払われる。  羞恥を感じる間もなく、オルフェウスは再び指を挿れてきた。  それを抵抗もなく受け入れる俺の尻……考えたくない。せめて見ないようにと腕で顔を覆うが、余計に中の動きを感じてしまう。  何かを探すように腸壁をずりずりと擦られる。その抜き差しだけで、緩い快楽がずっと続く。 「あ、あ、……うぅ、は、………んんぁっ!?」 「……あった」  突然、今まで感じたことのない刺激が走った。 押したことないスイッチを押されたかのような、未知の感覚。 「コリコリになってる。ここ、どう?」 「あ、ん、ん、んぁっ」  擦ってくる指の動きに合わせて勝手に声が出てしまう。  腕を外して、下を見る。リングをしているのに、前は限界まで張り詰めていた。  何これ、何これ、何これ!!   「……随分イイみたいだ。私の指が好き?」 「ひ、っあ、も……も、むりっ、あっ……オ、オルフェウス、さまっ、ん」  俺の顔を凝視してくるオルフェウスが、何かに耐えるように眉間にしわを寄せた。 「まだ、ダメ。もう1本だけ耐えて」 「んん、んっ、ぐっ」  ぐい、と穴が広がる感覚。2本目の指も飲み込んだらしい。  苦しい。けど、気持ちいい。 「んん、ふぅっ……、っあ……う、ぅ……!」 「……」  オルフェウスの指は、見つけ出したポイントを的確に責め抜く。手招きするみたいに、指を一定のリズムで曲げられ、切ない感覚が全身に広がっていく。  刺激を受けて、体が面白いくらいに跳ねる。もう自分では制御できなくて、体内に留まる熱をどうにかすることしか考えられなくなった。 「や、だ! も……ほん、ほんとに……っん、おねがぃい……」  何なら半泣きだ。早くこの刺激地獄から解放してほしい。  オルフェウスは「ふー……」と長いため息をつき、自身の前を寛げた。  外の日差しは何も遮ることなく、その姿を俺の目に届ける。  性を超越したかのごとき美貌の男は、今、確かに強烈な欲求をむき出しにしていた。  睨むような目で射抜かれ、どきりとする。 「力、抜いて」  被さってきたオルフェウスの吐息が首筋に掛かる。  熱いな、と感じたその瞬間。 「……ぁあ゛、っ……っ……!」  先ほどとは比べ物にならないものに貫かれる感覚。  熱く、質量のあるソレが、俺の内部を慎重に、だけど遠慮なく割り広げていく。  視界に火花が散った。頭が熱い。いや、冷たいのか? 分からない。 「……っ、息をして、アイク」 「ん、む、りぃ……!……くぅ」  頭をなでられる気配がした。  必死に酸素を吸い込む。 「違う、吐くんだ……はぁ、そう、上手……」  オルフェウスの声に縋る。こんなことをしている張本人なのに。  従ってしまうのは、彼の声も切羽詰まって聞こえるからか。 「ん、ぐっ……んああっ!」  さっきのポイントを容赦なく抉っていくから、あられもない声が出る。 「……っはは、全部入った」 「はぁっ、はっ……」  少しの間オルフェウスは動きを止めてくれた。  そうすると中で形を感じ取ってしまって、思わず力が入る。  眼前には、紅潮して舌なめずりをする雄の顔があった。 「はぁっ……、すごいね、アイク。淫紋があるとはいえ、こんなになっちゃって」  瞳孔の開いた瞳で、俺を見下ろしている。  ……この人、こんな顔すんのか。いつもの姿からはまったく想像ができない。 「いい香り……ごめん。ちょっと、余裕がない」 「え……? あ、あぁっ! んぁっ……!」  俺の息が完全に整う前に、彼は腰を動かし始めた。ゆるゆると腸壁をなぶられ、待ち望んでいた刺激に体がしびれる。  視界に入るのは、動きに合わせて揺れる自分のつま先と、ゆっくりと近づいてきた美貌。 「ん、む」  半開きの口に、にゅるりと舌が入り込んでくる。  腕で頭を固定され、俺はその腕にすがることしかできない。 「っん……!? っふ、むぅ」  そのまま抜き差しが徐々に速くなっていく。ヌチッヌチッと、下のほうの見えないところでいやらしい音が聞こえた。  酸素欲しさに身をよじるが、顎の角度を変えてより深く唇を合わせられる。  上あごの裏を舌でくすぐられ、背筋をぞくぞくとしたものが駆け抜ける。  やばい、これ、同時は、だめだ。おかしくなる。  強引に頭を横にひねると、オルフェウスの舌が外れて空気が入ってきた。 「っぷあっ、……おま、ちょっと待ってって、言、いぁっ、あ、あ、あっ」 「待て、ないっ、て」  繋がったまま体を起こしたオルフェウスが、俺の膝裏を持っておなかのほうにグッと押し込む。  より深くまで刺さるようになって、動きはさらに激しくなった。  揺さぶりに合わせて、コックリングをはめられた俺のが切なく振動している。一突きごとに、これ以上ないぐらいの快感で脳が焼かれる。  熱も、音も、匂いも、全部が溶けて混ざって、ただ高みに上るための装置になる。 「オル、フェ、ぅす、サマっ……おれっ……もう」 「……っ」  男の顔だけが見える。  それもぼやけて、目の前が真っ白になったとき、身体の中に熱いものが注がれたのを感じた。

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