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18 捕縛※
ローバは試験管のようなものを持ってきた。
呪文を唱えると、中の液体が極彩色の輝きを放ち始める。アメリカのケーキか孔雀の羽でしか見ない色合いになってるぞ……。
「さ、飲みなさい」
渡されたラグナは、何のためらいもなく一気飲みした。お前、男気の化身か?
ほどなくして、ラグナの体がカッと閃光を放つ。
思わず目を瞑ると、2~3秒して光は収まった。
次に目を開けたとき、目の前にいたのは俺のよく知るラグナだった。今日もばっちりイケている。
ラグナは不安そうな顔で自分の両手を見つめた。
「戻ったのか……?」
「ラグナ! 大丈夫、完璧に戻ってるぞ。ローバさん、鏡はありませんか」
「魔法の鏡でよければ。使うと魂が吸い込まれる鏡か、自分の欲望を映し出す鏡か……」
「よくないです……あっ、そうだ!」
鏡で思い出した。巫女の手鏡を持ち歩いているじゃないか。
尻ポケットから手鏡を取り出し、俺は戦慄した。
「割れてるぅ!?」
圧力が掛かったであろう1点を中心に、蜘蛛の巣上にひびが入っている。
接着されているのか破片がはがれることはなかったようだが、鏡として使える代物ではなくなっている。
……森での戦闘、からの逃走。馬に体をぶつけた記憶……思い当たる節がありすぎる。
なんて言い訳しようか。オルフェウスの顔を思い浮かべたとき、突如体の奥から痺れるような疼きが走った。
「え……?」
思わずしゃがみ込む。鏡が絨毯の上に滑り落ちた。
じくじくと鳩尾から熱が広がってくる。かゆみにも似た、もだえてしまう感覚。
「アイク?」
ラグナに肩を掴まれた瞬間、火に炙られたように鋭い痛みが走った。
「ぁ゛っ……!」
「おい!? どうした」
手を払いのけた反動で倒れ込む。
力が入らない。脳を支配してくるのは、ここ数日で何度も味わった強烈な刺激。
一度渇きに気づくともうダメだ。あれが、欲しい。
『つまりこの7日間、君は私に犯されないと発情で気が狂うってこと』
……最後にしたのは昨夜。
今、何時だ?
「魔女! アイクの様子がおかしいっ」
「おやまあ……これじゃお姫さまっていうより奴隷だね。この子のご主人様は坊やかい?」
「な、な……!?」
「ああ、違うのか。なら誰だ?」
頭上でラグナとローバが何かを言い合っている。
全身を巡る熱で、何も考えられない。
「魔法でどうにかならないのか!?」
「ご主人様を探してきな。そいつを呼ばないことには治らないよ」
「——呼ばれなくても」
激しい衝撃音。
視界は粉塵で覆われ、息苦しさに咳が出る。
誰かに抱えられて、ようやく息ができるようになった。
思いきり吸い込んだ空気に、ずっと欲しかった匂いが混じっている。
これ。これが、欲しい!
「オルフェウス第二王子!? 何でここに」
「……おいおい、これのどこが『王子』だって? 私の結界をぶち破るなんて、とんでもない化け物じゃないか」
「悪いけど、君らに構ってる時間はない」
「アイクを離してください、王子! そいつ、ヘンな術に掛かってるみたいで……」
「ラグナ君。私は虫の居所が悪い。それ以上、私の視界に入るな」
閉じた瞼の向こうから、煌々と輝く光を感じる。
ゆっくり目を開けると、青白い光の壁を必死にたたくラグナがいた。魔女も壁の向こう側から興味深そうにこちらを見ている。
光の壁はドーム状になっており、俺たちを包み込んでいる。すなわち……俺と、オルフェウスを。
「オルフェウス、さま」
彼はちらりとこちらを見たが、何も言わない。
いつぞやの、いけすを見る目に似ていた。
ああ、何か言わなくちゃ。
何か、何か……何だっけ……。
言うべきことはいくらでもあるはずなのに、言葉の形に束ねられない。
身体が燃えるように熱い。
言葉を紡げば、早くしてくれとねだってしまいそうで。
開いた口から唾液が垂れる。
オルフェウスが顔を近づけてきて、その唾液を吸い取った。
舌を突かれ、痺れるような幸福感に包まれる。誰かに聞かせるみたいにわざと音を立てられ、耳まで犯されている気分になる。
向こうのほうで、壁をたたく音が激しくなった。けれど、俺はそんなのどうでもよくて、ただただ早くこの熱をどうにかしてほしい。
必死にオルフェウスの頭をかき抱くと、少しだけ彼の目が柔らかくなった。
「帰るよ」
体にかかる歪な重力。
景色はジェットコースターに乗っているみたいにビュンビュン移り変わって、まるで目が追いつかない。
俺の意識は強制的にシャットダウンされた。
* * *
ぬちょぬちょ、ぐちょぐちょ。
粘っこい、あられもない音が下のほうから聞こえる。
「……、……」
呼吸が苦しい。身体にはずうっと電流が走っている。
一際強い衝撃が走り、うっすらと意識が形を成してくる。
「ぁ゛ッ! あ、はぁ、ッ……!」
うまく息を吐けない声。それが自分の口から出ていると気づいた。
陸に打ち上げられた魚みたいだ。息継ぎはうまくできないし、体も勝手に跳ねている。
反った背中を誰かに支えられた。
「……、危ない。落ちるよ」
座り込んだら、余計に深く刺さって体の中を抉られる。ビリビリと、もう何度目かも分からない刺激に視界がぐらついた。
「も、で、出な……ん゛ぁ、ムリッ」
「無理じゃ、ない。ほら……頑張らないと、終わらないよ」
「無理、っはやく、あぁ、早く、出しでぇっ……」
気がつくと、情けなく腰をへこへこと振っていた。
どのくらいの時間こうしているのだろう。
いい加減意識が飛びそうだ……いや、多分数回トんだ。
そのたびにオルフェウスに正気に戻されては、続きを促されている。
……思い出してきた。ここに連れてこられるなり、この地獄をずっと強いられているのだ。
咥え込んだ棒は確かに熱く膨張しているのに、魔法でも使っているのか、一向に弾ける気配がなかった。
淫紋は中に精液を受けるまで鎮まらない。最初は強引に足を開かされたのに、今じゃ自分からオルフェウスにまたがって尻を振る始末。
もう気持ちいいとかの次元じゃなくなっている。
常に快感のボトルが満杯になっていて、少し刺激を注ぐたびにイってしまう。
「あっ……んぐ、ぅうぅ……ッ!」
またイった。
脳天にぶっとい針が刺された感じ。
「……後ろだけで何回イったかな。気持ちいい?」
「も、嫌だッ、」
「嫌でも、君は私を求めるしかないね」
「……っあ、イきたく、ない……ぅう、おかしくなるぅ……」
「なってよ」
「ぁあ゛ぁッ!」
下から突き上げられ、オルフェウスの体にもたれ掛かる。
けれど、彼は動きを止めてくれなかった。
逃げようとしていた腰を抱かれて、なす術なく飲み込まされて。
「あ、あっ、っ、はぁっ、あ」
「ね、中に欲しい?」
「ふぁ゙……ッ、ほし、ぃッ……欲し……っ!」
ねっとりとした突き上げが、執拗に俺のイイトコロをなぶっていく。
中をギュッと締め上げたのを感じたのか、オルフェウスはかすかに笑った。
「ふふ、そう……じゃあ誓って。もう二度と私から離れない、どこにも行かない」
「や゙っあ゙ぁ……あぁあっ、欲しい、っおねがい゙……んっぁ」
「は、聞こえてないね……いいよ、じゃあ、これしか考えられないようになっちゃいな」
「お、ねがぁっ……ん、んんんー!」
唇を喰まれる。
我が物顔で侵入してくる舌。触れた部分が溶けてしまいそうなほど熱を持っている。
上からも下からも、狂いたくなるような快感を叩きつけられ、また意識が遠のきそうになった。
……ああ、いっそこのまま身を任せてしまえたら楽だろうなあ……。
「もう、どこにも行かせないから」
「や、ぁ゛……っ、も、むり、ぃ゛!」
「誰にも……」
なあ、なんでアンタがそんな顔してるんだ。
責められてるのはこっちなのに。
話がしたいのに、俺の冷静な部分がもうほとんど残っていない。口から出せるのは嬌声とよだれだけ。
聞かなきゃ、なのに。
「……、っは……、ぅ……」
「……限界かな。一旦休憩だね」
オルフェウスが何かの呪文を呟くと、中がぐぐっと押し広げられる。
あ、クる。待ち望んでいたものが。
直感で分かった。嬉しさでへらりと口が緩む。
突き上げに合わせて中を締めると、オルフェウスの眉がギュッと寄せられた。
「……はぁっ……」
「あぁ゛ッ、……ッィ、ぐっ、~~~ッ!」
胎内に放出された瞬間、背中を駆け上がってきた暴力的な多幸感にギューッと首を絞められた。
心臓の音が耳のすぐ裏で鳴っている。
あー……これ酸素足りてねーわ……。
意識が保てたのはそこまで。
自身の体が傾き、オルフェウスの虚ろな顔が少し和らぐのが見えた。
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