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第27話 プロポーズ大作戦? ~クロードSide~
最悪な瞬間というのは、いつでも突然訪れる。
フレディが亡くなった時も。
両親が亡くなった時も。
リックがいなくなる前日の昼……彼を可愛がっていたら突如お預けをくらってしまう。
その溜まっていた欲望が夜に爆発し、際限なく求めた結果、朝方まで彼を離してあげられなくなってしまったのだが……目覚めると愛する人は疲れ切ってまだぐっすりと眠っていて、私が起きても全く動く気配はなかった。
さすがに私たちの生活にレイラもアーヴァンも察しているだろうし、2人にリックとの事をしっかり話さないといけないと思い、いまだぐっすり眠る彼を一人残して執務室へと向かう事にした。
邸の使用人達も私とリックの関係を察しているのか、視線が色めき立っているのを感じる。
「旦那様、リックはまだ眠っておりますか?」
「ああ、疲れているだろうから寝かせてあげて」
「は、はい!」
きっと真偽を確かめる為に声をかけてきたのだろうな。
後ろから使用人たちの黄色い声が聞こえてくる。
さて、どうしようかな……いつプロポーズしよう。
もうさっさと愛を告白して、私と結婚しようと告げようか。
きっと目を白黒させて、焦りから慌てふためくに違いない。
そんな姿を想像しただけで顔が緩んでしまう……もう絶対手放せそうにない。
執務室にレイラとアーヴァンを呼び、彼らにリックとの事を告げる。
案の定レイラから小言が止まらない。
「旦那様、リックには負担が大きいのですよ! 彼は孤児ですし、後々傷付くのは彼です」
レイラはいつでも私とリックの現実を突き付け、身分差によって私たちは結ばれる事はないのだと言ってくる。
私は侯爵だ……父上は現国王陛下の弟だった方。
血筋や身分を考えても、それなりの身分の女性を迎え入れなければならない。
「……分かってるよ」
「分かっておりません! 連日こんな事をなさるなんて……公爵令嬢の件もありますのに……旦那様とリックは結ばれる事は出来ないのです」
ああ、頭が痛い。
そんな私にアーヴァンが追い打ちをかけるような言葉を投げかける。
「旦那様はリックを連れて来るべきではありませんでした」
「…………そうかもね」
そんな事は身に染みているんだ。
出合ったあの時、彼を手に入れないと絶対に後悔すると思って保護したけれど、彼と結ばれるのは現実的ではなかった。
「でもさ――あんなに可愛くて、どうやって諦めろっていうんだい?」
「旦那様!」
「私が耳元で囁くだけで顔も体も真っ赤にして涙目になるんだよ? 抱きしめたらすぐに反応するし。 期待しないようにと思っていても、全身で私を大好きだと言ってるあの子を好きにならないでいる方が無理でしょ。 きっと神様でも無理だと思う」
「「………………」」
あれ、二人とも黙り込んでしまった。
これ幸いと言葉を続けていく。
「だから私は考えた。 身分は、まぁ追々考えるとして、子供は遠縁の子を養子にする事に決めたんだ」
「遠縁とは……」
レイラもアーヴァンも分かっていないようだけど、王弟だった私の父には姉もいて、いわゆる私にとっての伯母なのだけど、彼女の孫を公爵家の跡取りとして迎え入れる事を考えていた。
もう王族ではないにしても王家の血が入っており、男児が何人か生まれているのは聞いている。
すでに伯母上や従姉妹に手紙を出してみたところ、侯爵家を継げるのならと、返事はいい感触だった。
「そこまでお考えだったのですか……」
さすがのアーヴァンも驚きを隠せない様子だった。
「何も考えないで手を出したりはしないよ」
「直前まで考えていなかったのでは?」
レイラの視線は厳しい。
そんな事はないと言いたいけど、孫が増えたのはここ数年の話だからな。
「まぁ、跡取りはどうにかなるという話だ」
「私達邸の者も彼をとても可愛く思っているのです。リックがちゃんと幸せになれるように、旦那様には今まで以上に頑張ってもらわなくては」
「それはもう、頑張る気満々だから。 ところで、プロポーズっていつしたらいい?」
「それはご自分でお考えください」
またしてもレイラにピシャリと言われてしまう。
「そもそも恋人を通り越してプロポーズをなさろうとしている事に驚きを隠せません」
アーヴァンにそう言われて、ハッと気が付く。
「確かに恋人期間がまったくないな……彼が離れていかないようにと考えていたら結婚しか考えられなくなっていた」
「「えぇ…………」」
2人がとても残念な目を向けてくる。
それほど私が彼を手放したくなくて必死なのだから、仕方ないではないか。
もう半分開き直りながらどうしようかなと考えていたところに、突然ノック音が聞こえてきたのでレイラが確認し、扉を開けた。
それが人生で最も最悪の日を迎える知らせだとは知らずに。
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