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第35話 執着心 1
俺の頭を撫でる優しい手の感触……誰だろう。
クロード様ではないような。
徐々に意識が戻っていくと、頭がはっきりしてくる。
そうだ、俺は殿下の看病をしていて、眠ってしまったのか?!
ハッと顔を上げたところに王太子殿下の顔がすぐ近くにあり、慌てて距離を取った。
「申し訳ございません! 看病する側なのに眠ってしまい……」
「フッ。 よく眠っていたぞ。 そなたのおかげで私もよく眠れた……おかげで少しスッキリしたな」
「本当ですか?! よかったぁ……」
よく見たら本当に顔色がよくなっている。
「殿下、失礼いたします」
一声かけてから殿下の首に手を当て、熱がないかをチェックした。
まだ完全に良くなった感じではなさそうだけど、眠る前よりはとてもいい感じだ。
ホッと胸をなでおろして熱が下がってきている事を伝える。
「この状態なら一晩眠れば熱も下がるのではないでしょうか。 昼間よりかなり良くなっています」
「そうか、それなら良かった。 お前もそろそろ休むがよい、疲れたであろう」
「いえ、疲れは大丈夫です。 私も眠っていましたし」
「ははっ、そうだな。 しかしクロードがうるさいはずだ。 お前を独り占めしていたら何を言われるか分からん」
「そんな事は……」
殿下に指摘されると途端に恥ずかしくなり、口ごもってしまう。
ご主人様と両想いになったのだから堂々としていればいいのだろうけど、まだ夢見心地で現実味がない。
クロード様が嫉妬に狂ったりする事があるのだろうか。
そんな俺の心を見透かすように、殿下がありがたい言葉をかけてくださった。
「自信を持て。 お前が思っている以上にクロードに執着されているぞ」
「そう、だと嬉しいです」
嬉しい言葉に顔が熱くなってくる。
そうだと嬉しいけどなぁ……ご主人様ならなんでも嬉しくなっちゃうから。
痛いのはいやだけど、クロード様がそんな事するはずないって思うし。
大好きな人の事を考えるとすぐに表情筋が緩んできてしまう。
「そんな顔を他の男の前で見せてはいけない」
「?」
そこへ突如扉が開かれ、クロード様が駆け寄ってくる。
「リック!! 殿下!!」
「クロード様?!」
「相変わらず鼻がきくな、お前は」
「私のリックに触れるのは禁止です」
ご主人様に後ろから抱きしめられ、途端に彼の匂いに包まれた。
鼻がきくのは俺の方だと思う、というのは口には出せないな。
でもこの体勢は嬉しいけど恥ずかしいやらで、どう反応していいか分からない。
「病人相手に、もっと言う言葉がないのか?」
「お加減いかがですか、殿下。 これでいいでしょうか? リックを構えるくらいですから大丈夫ですね」
「まったく……さっさとフレデリックを連れて行け」
「言われなくともそうします」
「ちょ、ちょっとクロード様! って、わぁぁ!」
ご主人様に抱きかかえられた俺は彼の首にしがみ付いた。
殿下のいる前なのに……!
「殿下、ゆっくりお休みください」
「……明日に響かないようにしろ」
「善処します。 では」
「クロード様……! で、殿下、申し訳ございません! また明日頑張ります!」
「ははっ。 明日の前に今日がんばれ」
もう恥ずかしくて埋まってしまいたい!
そんな俺を全く下ろす気配のないクロード様は、俺が何を言っても無言で部屋へと連れ帰ってしまったのだった。
ベッドに乱暴に下ろされ、抗議の声を上げる。
「クロード様! 殿下の前であんな事を……!」
「黙って」
「んむっ」
「殿下、殿下って」
「はっ……んん~~~っ!!」
唇を塞がれ、言葉を発する事が出来なくなる。
必死で服を掴み抵抗してみるけれど、彼の力に勝てるはずもなく、ベッドに組み敷かれてしまう。
「なんれっ」
「君の恋人が誰なのか、分からせないとね」
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