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第43話 刺客

 「殿下! 私のそばを離れないでください!」  「う、うん!」  やはり人数は6人……少し時間を稼げばクロード様が駆けつけてくれるはず……!  もし相手の目的が俺だけなら殿下を逃がす事も出来る。  殿下が目的なら、絶対にお守りしなくては。    「ふん。我々の邪魔をするならお前を殺し、殿下をいただく」  「そんな事はさせない!!」    俺が声を上げた瞬間、目の前の6人が襲いかかってきた……!  殿下を後ろに隠しながら、目の前の一人ずつ相手をしていく――――  座っていたのがガゼボで助かった……!  入口が狭いのでいっぺんに人が入って来られないから。    美しい庭園に、剣と剣がぶつかり合う音が響き渡る。  「おのれ!! そこをどけっ!!!」  「嫌です!!」  一人目、二人目と何とか間一髪のところでかわしていく。  でも……やはり短剣では、かわすので精一杯かも……!  「フレデリック!!」  後ろからリヴィエール殿下の不安そうな声が聞こえてくる。  チラリと窺うと、やはり瞳には涙が浮かんで揺れ動き、恐怖がにじみ出ていた。  「大丈夫です、殿下! お守りしますから!」  「よそ見している場合か!!」  ドガッッッ!!!!  突然刺客の一人にお腹を蹴られ、ガゼボの壁に叩きつけられてしまう。  「ぐあぁっ!!」  「フレデリック!!!」  うずくまる俺に殿下が覆い被さった。    「フレデリックを殺させはしない! お前たちの目的は僕だろう?!」  「殿下、我々の目的はこの男を殺し、あなたを連れて行く事です。 そこを除けてくれませんと、殿下がお怪我いたしますよ」  「それでも僕は除けないから!!」    ダメだ……俺が守られてどうする……!  こんなんじゃクロード様や王太子殿下に顔向け出来ない!  俺はリヴィエール殿下の腕を引き、彼を後ろに隠して自分を盾にした。  「ダメですよ、殿下……それは俺の役目です」  俺の後ろで殿下が何か言っているけれど、構わずリーダー格の男を見上げた。  男達は皆こちらを見下ろし、目的の達成を確信したのかニヤニヤと嫌な笑みを浮かべている。  「フッ。 せいぜい神に祈るんだな」  目の前の男がそう言って剣を振り上げた。  神なんて信じた事もないし、孤児だった俺の中で唯一神だとするならば、それはクロード様かもしれない。  クロード様————こんな時でも胸に願うのは、ご主人様に会いたいという気持ちだけ。  強く、強く願った。  瞬間。  「リック――――!!!!!」  遠くからご主人様の俺を呼ぶ声が聞こえてきて、彼の後ろから衛兵が駆けてくる姿が目に入ってくる。  クロード様…………間に合った……安心感からか体の力が抜け、床に両手をついた。  「な、なぜこれほどの兵が!!」  「さっきの指笛は、クロード様に……危機を知らせる為のものだ……っ」  「あの時の……!」  6人いた曲者は皆ガゼボに入っていた為に逃げ場がなくなり、あっという間に捕縛されていく。  「全員連れて行け! 拷問官に引き渡すのだ!」  ひえ――……クロード様からもの凄く怖い言葉が飛び出した。  真実を聞き出す為に拷問にかけるのだろう。  でもこれで首謀者が分かるはずだ。  誰なのだろうか……俺の頭に過ぎったのはさっきまでやり合っていたあの男、バラデイン公爵が浮かんでくる。  でもまさか……こんな白昼堂々襲わせるなんて…………色々考えていたけれど上手く思考がまとまらない。    「フレデリック!!」  「リック!!!」  リヴィエール殿下とクロード様が俺の名を呼んでいる……でも応えたいのに、上手く声が出てこない。  そうか、さっきお腹を蹴られて背中を打ち付けて――――  一人で戦った緊張感や疲れ、痛みや安心感も相まって、意識が朦朧としてくる。  「殿下……クロー……ド、さ……ま……」  項垂れる俺をクロード様が抱き締め、大好きな匂いに包まれていった。  この匂いを嗅いだら、もう大丈夫と思えるんだ。  「リック、遅くなってすまない!」  俺はご主人様の胸に顔を埋め、瞼を閉じた。  クロード様のせいじゃありません。  そう言いたいのに。  その代わりに彼の胸に頬ずりを繰り返す。  リヴィエール殿下やご主人様の声に混じって、王太子殿下の声も聞こえてくる。  でももう瞼を上げられないよ……ごめんなさい、皆。    深い暗闇に落ちるかのように意識を手放した。  守り切れて良かった――。  そして次に目覚めると、俺を心配そうに覗き込むクロード様と王太子殿下、リヴィエール殿下の三つの顔があり、とても驚いたのは言うまでもない。  

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