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第46話 生誕祭の準備は忙しい
庭園での襲撃があってから15日ほど――――
今日はいよいよ王太子殿下の生誕祭が行われる。
夜には国中の貴族が集まり、夜通し祝いの宴が催されるので、俺もその準備に追われていた。
もうお腹の痣はなくなり、痛みもないので通常業務を小走りで進めていた。
そこへ、遠くから俺を呼ぶ声が聞こえてくる。
「フレデリック!」
振り返るとそこにはリヴィエール殿下が立っていて、まだ宴まで時間があるからか、軽装のままこちらへ歩いてくる。
クロード様もだけど美しい人はどんな服装をしていても輝いて見えるなぁ。
「何を考えている?」
「え? いや、相変わらず綺麗だなと思いまして……」
「ふん。 僕が美しいのは当たり前だ」
「ふふっ」
自信家なところも相変わらずで、思わず笑ってしまう。
「その様子だと怪我は完治したようだな」
「はい! もうすっかり良くなりました」
「そうか……良かった」
そう言ったリヴィエール殿下の表情はとても穏やかで、気にかけてくれていたのが伝わってくる。
王太子殿下と想いが通じ合ってから、とても優しい表情が増えた気がする。
雰囲気も落ち着いて見えるし、やっぱりエルンシュカ殿下の愛は偉大だなぁ。
「今夜、ですね」
「そうだな……でも楽しみなんだ。 こんな風に思える日がくるなんてね……お前のおかげだよ」
「私はなにも……! お二人の絆が深かったからです! 私も今夜、楽しみにしてますね」
「お前は護衛として参加するのか?」
「はい。 皆様をお守りする役目を殿下から賜ってます」
「そうか……クロードのパートナーとして出席すればいいのに」
それはクロード様からも打診があったけれど、俺の方から断ったのだった。
この王宮にいるのはあくまで仕事で滞在しているわけだし、クロード様のパートナーを王太子殿下が囲い込んでいると周りに思われるのも避けたい。
この仕事が終われば侯爵邸に帰る、という約束もしているから……今回は仕事として参加する事に決めたのだ。
「ご主人様にもちゃんと話して決めたので。 それにバラデイン公爵の件が片付いていませんから……」
「まったく、お前は真面目だな。 クロードは相当落ち込んだだろう?」
「はい……」
「ふふっ。 アイツがしょぼくれる姿を見たかった気もするが」
そうなのだ、クロード様はこの件ですっかりへそを曲げてしまい、毎日メソメソしているのだ。
俺が根負けするのを期待していたのだろうけれど……頑として意思が変わらないので、昨夜もいじけて先に眠ってしまったり。
きっと侯爵邸に戻ったら機嫌も直るはず。
そんなやり取りをしているところに、当の本人が現れた。
「殿下とリックは随分仲良しですね~~」
「クロード様!」
「クロード……嫉妬深い男は嫌われるぞ、気を付けろ」
「なっ!」
「兄上に迷惑ばかりかけていた僕が言うんだから、間違いない」
「怖い事言わないでください、殿下!」
リヴィエール殿下の言葉にクロード様が大慌てしている姿が可愛くて、声を出して笑ってしまう。
「ふふふっ」
俺がクロード様を嫌うなんて事、万が一にもあるはずがないのに。
大好きなご主人様の腕に自分の腕を絡めて彼の顔を見上げる。
「私のご主人様はクロード様だけです」
「リック~~」
「はぁ……アホらしい。 そろそろ行くよ。 また後でね」
「はい!」
俺たちの様子に呆れたリヴィエール殿下はその場を去って行った。
でもその後ろ姿にはもう寂し気な様子はない。
今日の祝いの宴が素晴らしいものになるように俺も頑張らなくては、と気持ちを新たにしたのだった。
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