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第23話 期待していた?

 けれど私への試練の状況は、あまり変わってはいなかった。  教会に一歩入るとセドリックが迫ってきたのだ。 「アルはミカとも寝たんですよね。俺は少しも優しく出来なかった。今、仕切り直したいです」  あの薬草畑での行為が『寝た』だなんて、すっ飛んだ発言だった。  そして私の心の傷口を抉るようなことを平気で言うセドは、もうあの優しくて儚げな彼とは違うのだろうか。 「セドリック、今日あなたは何のために教会に来たんですか」  後ずさりながら私はそう言うと、セドは嬉しそうに笑った。 「アルに会うためです」 「ならばその目的は果たされたでしょう。学生は勉学に励むのが仕事です」  そうだ、セドは今村の学生。  故に未成年なのだ、道を正してやらなければならない。 「村の学校は街の学校よりも内容が劣っていて、何もかもが簡単すぎて学ぶものがない」  ……確かにそれはそうなのだ。  村の学校の教科書を見ると、得意科目ではなかった教科すら、今の私でも簡単に解けてしまうものだった。  だからミカエルのようなあんな風紀が乱れた生徒が出てきてしまうのかもしれない。 「ならばセドは私が学生時代使っていた問題集を貸してあげましょう」  私がそう提案すると、セドは更に嬉しそうな笑顔になる。 「アルが使っていた問題集……、あなたが使ってた物で是非学びたいです」  やる気になってくれたセドが嬉しくて、私は自室に向かい窓際の棚下の段の木箱の中身を探った。  すると僕の後ろからセドが抱きしめてきた。 「……止めなさい、セド」  勉強に興味を持ってくれた嬉しさで、私はセドを自室に招いてしまった。 「やっと二人きりになれたんですから、止めるわけない」  彼の顔が迫ってきた瞬間、私は目を瞑っていた。  瞑ってしまっては何をされてかけているのか分からなくなってしまう。  それがわかっているのに、私はそうしてしまった。  唇に柔らかくて暖かい感触があり、薄目を開けて確認したら、思った通り口付けを交わしてしていた。  やっと終わった口付けから解放された私は、唇を片手で抑えて距離を取った。 「……っ、もうこんなことをするのは辞めなさい!!」  セドの手は私の腕を掴むと、身体を強引に押し倒され、その手は私の服を乱した。 「アルは俺を学習しないね。それとも俺に甘いの?」  露出した首元に唇を這わせながら彼は言った。  確かに私はセドに甘いかもしれない、それは認めよう。 「私はセドとこんな行為をしたくはない……」  そうだ、彼も強引な行為をしたりしないと誓ってくれたはずだった。 「本当にそうかな?……俺はそう思わない」  這う唇は胸の突起を強く吸った。  弄られるような手付きに、漏らしたくない声が出てしまいそうで、私は咄嗟に名前を呼んだ。 「セド……リックっ」 「こんなふうに甘やかしてほしい、って。本当は期待してたんでしょう?」  私は期待していた?  そんなはずはない、私はこんなことは望んでいない。

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