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第27話 期待。
私は幼い頃からピアニストになりたくて、毎日ピアノの勉強をしていた。
なぜ私がピアノをはじめたのか、それは街の楽器屋で見かけた一台のグランドピアノが切っ掛けだった。
ピアノは大きい楽器で、音階もいくつもある。
それを自由自在に弾けたなら気持ちがいいだろう、そう感じたのだ。
そしてグランドピアノは響が良い、更に気持ちがいいに違いない、そう思った。
そして私の家はそこそこ裕福だったから、街の音楽学校に通わせてもらうことも出来た。
けれど私はそこからが問題だった。
演奏家としての才能がなかったのだ。
それに気付いたときには悔しくて、一晩中泣いた。
私は誰よりもピアノが好きなのに、誰よりも才能がない。
苦悩し涙した十五歳の夜に家が家事にあった。
火元は父親のタバコの吸い殻だろうと思われた。
その理由は出火元が両親の寝室だったから。
唯一の家族父と母が死に、僕は右肩の広くを大火傷の重症を負い、孤児となった。
それでも私はピアノの演奏家を諦めることができず、ふと立ち寄った教会で司祭様と出逢うことが出来た。
「神はその人が乗り越えられるくらいの試練を与えます。君の試練はその傷かな」
そして私はピアノを勉強しながら、この神父という天職を見付け、神に使えるようになった。
私は成人し、この小さな村の教会を任されてから、セドリックと出会った。
愛らしい天使のような彼は、ピアノを習いはじめた。
容姿と同様に天使の歌声のような澄んだピアノの演奏をする彼に、私は惹かれていった。
その時に私は気付いたのだ、セドリックは音楽の神に愛されているのだと。
この子のためならば、どんなことでもしてやりたい、彼のために力になろうと決めた。
そして彼は私の母校の音楽学校に進学することを決め、単身で街に行った。
けれどセドリックが十五歳になった進級のための試験中に鍵盤の蓋が閉まるという事故が起きたことを知った。
十七歳になっても帰ってこない彼に会う決心をし、実際に対面したら、何と声を掛けていいのか分からなくなった。
それでも私はセドリックの力になろうという思いは変わらず持っていた。
そのときに気付いた。
私は音楽に依存しつつ、セドリックにも依存していることに。
力になりたいという『期待』は、彼を追い詰める材料になっていたのかもしれない。
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