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第28話 神の使いとあろうものが。
「私は何のために生きているのだろう……」
簡単な薬の調合をしている最中、無意識に私は言葉を発していた。
しかし一緒に作業をしていた妖精ちゃんの様子を見てみたが、彼女は別のことに気を取られているらしく、気にする素振りはなかった。
「昼過ぎまでにこの作業を終わらせて、読書再開するのよっ!!」
私の隣で調合した薬を瓶に詰めてくれている妖精ちゃんの手捌きは神がかっていた。
彼女は今恋愛小説にハマっているらしく、昼を過ぎると夢中になって読書をしている。
私も最初は彼女が勧めてくれた小説を読んでみたのだけれど、良さが分からず本を積んでいる。
「妖精ちゃん、今どんな内容の本を読んているんだい?」
『同性愛の苦悩恋愛小説よ』
「ど……同性愛か。それはまた禁忌な本を読んでいるんだね」
神に使える妖精ちゃんが、そんな禁忌な本を読んでいて信仰に影響はないのだろうか。
読むのを止めさせるべきでは、と、そう思いながらも止めることは出来なかった。
『たまたま好きになった相手が同性だった。それでもようやく身も心も捧げあった相手なのに、家族に引き裂かれようとしているの。そんな二人は離れ離れになるかもしれない!!ああっ、切ない。お願い二人を引き裂かないで!!……続きが気になって仕方がないわ』
彼女は瞳を輝かせて私を見上げた。
「は、はははは、妖精ちゃんがハマるくらいなんだから、……さぞかし面白いんだろうね」
私はそんな彼女を否定できなくて、無難に返事をした。
『そうね!!今のアタシの生き甲斐よ』
そんな恋愛小説が生き甲斐なのか……、世も末だ。
『アタシの生き甲斐はセドリック×アルフレッドとその小説よ』
なんですか、その掛け算は?!、と思いつつも私は苦笑した。
「私達も生き甲斐なのかい?」
『当たり前じゃない!!ワンコ美少年×儚げ神父って美味しいのよ。……理事長の息子美少年と儚げ神父を取り合うワンコ美少年、でもアタシはセドリック×アルフレッドよ。ミカエル×アルフレッドは嫌!!』
受け身側が後にくることは理解出来た。
とりあえず、どうやら今の私は妖精ちゃんの好きな恋愛小説のようになっているらしかった。
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