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第40話 真実の狂気。

「君が己を打破するにはどうしたらいいかと懇願しにくるのを待っていたのに、家に閉じこもってしまうなんて」  何故私がダニエル教官に懇願すると思い混んでいるのだろうか。  私は自分を破れとを言われたのだ。  自身と対峙をし勝利なければ、その先には進めないのだと教えられ、私は必死にピアノに向かって専念していたというのに。 「君を家から出すために、君の家に火を放ったのは間違いだったと、僕はようやく気付いた」  ダニエル教官は私の耳元でそう囁いた。 「……教官が私の家に火を放ったのですか?」  聞きたくない真実に怯え、そして絶望と狂気を感じた。  そんなことは、あってはならないことだ。  そのせいで私の両親は命を落としたのだから。 「まさか君が重傷の火傷を負い、面会謝絶になるなんて。私の可愛い小鳥、痛い思いをさせてしまったね」  教官の手が私の右肩から背中にかけて触れてきた。 「でも君がいけないんだ、アルフレッド。……何故僕の誘いを断ったんだい?」  身体中に悪寒が走る。 「震えているね、可哀想に……。これからは僕が君に愛情で満たそう」  教官は狂っている。  自ら火を放ち私に火傷を負わさたことが悪いことだと思っていないのだ。  だから醜いケロイドが残る右肩に気安く触れるのだろう。 「……私に触れないでください」 「アルフレッド、どうした?教官の言葉は絶対だと最初に教えたはずだろう」  そうだ、初めてダニエル教官に個人授業を受けたときに、そう聞かされた。  けれど、それは間違いだ。 「右肩に触れないでください」  私を包み込む大きな身体から逃れ、怒鳴った。 「あなたは教官として失格です!!」  教えを広める教官として、そして人間として、間違った道を選んでしまったダニエル教官を私は叱り付けた。 「君がそんなに怒るところを見るのははじめてだ、アルフレッド。……満足な演奏が出来ない自分を叱るときよりも、とても怖い表情だ」  何がおかしいのか、教官はクスクスと笑い始めた。 「この村から出ていきなさい。あなたは街に戻り罪を償わなければなりません」 「その権限があるのは君ではないはずだ。そして僕を訴えるとなると、君が醜く負った火傷のこと、そしてセドリックの事故のことも話さなければならない。君にそんな勇気があるのかな?」  だからなのか、セドリック。  ダニエル教官に会わせたくないと言った理由はこれなのか?  私が火傷の跡を公に出来ないだろうと思ったからこそ、心の優しいセドリックは、私を思い教官を訴えられなかったのかい?  こんな私を守りたいと、彼は思ってくれたのか。  ダニエル教官は私の腕を取り、再度引き寄せてきた。 「そうだね、君が僕のもとに来るのであれば、セドリックのことは諦めよう」  私は知らずのうち、セドリックに守られていたのだ。 「なんてことだ……」  それなのに私は彼を愛せないと否定していた。  こんなにも私を思ってくれていたのに。  教官は私の抱きしめ頬に口付けてから、畑を去っていった。 「では、またくるよ。アルフレッド」

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