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第22話 おかえり
◆
「新ダンジョンの最奥で我々が発見したアイテムの解析結果が届いた」
アルシオンの言葉に、生徒会室がにわかにざわついた。
「なんだったんですか……?」
アクアがごくりと喉を鳴らした後、問いかけた。
「鍵だ」
「……鍵?」
アルシオンの言葉にアクアが首を傾げる。
「解析の結果、古代遺跡の扉を開く鍵だとわかった」
「古代遺跡って……北の海の、あの遺跡群?」
「ああ」
レンはルカの隣で静かに話を聴いていた。
いよいよ、始まるのか。
胸がざわめく。
「海底神殿だ」
――海底神殿。
本来、アクアが人魚種として覚醒する場所だ。
「調査はオルキウスたち、ノワールヴル家が出ることになっている。それから、王族直下の回復隊が同行する。……で、だ」
アルシオンは、そこでレンとアクアを見た。
「レン。それと、アクア。二人も同行して欲しい」
レンは胸の奥でざわめく鼓動を押さえ込みながら、小さく息を吐いた。
「おう」
「はい」
アクアはさほど驚きもせずに頷いた。
その横顔は、どこか覚悟を決めているように見えた。
もしかしたら、最初からこうなることを知っていたのかもしれない。
「レンは分かるけどさ、なんでアクアも? 危なくない? 俺、全然行くよ?」
フィンが疑問の声を上げた。
アルシオンは首を振る。
「今回の部隊編成はこれでいく。……王家からの指名だ」
「俺も同行する。危険な目には遭わせないよ。今度はノワールヴル家も動くしね」
オルキウスはにこりと笑う。
アルシオンが「それと……」と続けた。
「今回の調査は極秘扱いだ。参加者以外への口外は禁ずる」
◆
「――わあ。すごい絶景……!」
数日後。
レンたちは海底にある古代遺跡に到着した。
蓄光性のヒトデやクラゲたちがぼんやりと遺跡を照らし、まるで満点の星空のような幻想さがある。
レンの目の前を青白く光るクラゲが通り過ぎる。
ゲームでもこの古代遺跡には訪れていた。
だけど、現実として目の前で見ると、感動を超えて圧倒された。
「みて、レン! すごいよ!」
そう言って、アクアはレンの腕をつかむ。
「え? ……おお、クリオネだ! すげぇ! さすが海の天使!! 捕食シーン見れねえかなあ。……えっ、こっちはなんだ!?」
レンが興奮してぶつぶつ呟いていると、アクアは最初に興奮して声をかけてきたのは自分なのに、なぜかちょっと引いていた。
「二人とも。遊んでないで行くよ」
「あ、ごめんなさい」
「わ、悪い……」
オルキウスに諭されて、レンは気を引き締め直す。
古代遺跡の最も巨大な遺跡――海底神殿に近づいていく。
(パルテノン神殿みてえだ)
何本もの支柱でできた建物の中に、広間のようなものがある。
神殿に降り立つと、ふと何かが聴こえた気がした。
「……?」
レンは不思議に思って立ち止まる。
「レン? どうかしたか?」
オルキウスが怪訝そうに振り返ってくる。
レンは眉をひそめた。
「なんか……聞こえなかったか?」
「? ……いや、何も聞こえなかったぞ」
「……そうか」
アクアを見ると、ハッとしたような顔をしている。
「何か聞こえたの?」
アクアに問われて、レンは頷いた。
「おう」
「……なんで、レンまで………」
アクアの顔から血の気が引いた。ひどく驚いている様子に、レンは首を傾げた。
「あ?」
「何が聞こえたんだ」
オルキウスに訊ねられる。
「あんましはっきり聞こえなかったけど……」
レンは声を思い出す。
女性のような、柔らかい声。
「おかえり」
胸に流れ込んでくるように。
「そう言ってたぜ」
なぜか、懐かしい感じがした。
やわらかなその声が、なぜかいつまでも脳裏に残った。
◆
―― 一方、その頃。
ジョウ・ホワイトファングは、自室で胸のブローチを開いて眺めていた。
そこには、一人の線の細い青年が写っている。
息子のレンが産まれた日を思い出した。
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