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第二十一話 コスモス迷宮からの脱走

「パパ! あのお兄ちゃん、ドア壊しちゃった!」 遠くの方から、小さな子どもの無邪気な声が飛び込んできた。 その子どもの親は、さっとその子を自分たちの背中に隠した。 近くにいた家族連れや、散策中の人々の視線が、一斉に紗生(さき)とトオルへと集まり始める。さっきまでのどかだったコスモス畑に、「今の、何?」という不穏なざわめきが、じわじわと広がっていく。 誰もが遠まきにヒソヒソと様子を伺い、捕まえようと追いかけて来る人はいなかった。 (ヤバい!僕たち完全に不審者になってる……! スマホで晒されたら、………もしかして人生終わる?) 一般市民から向けられる冷ややかな警戒の目が作る重苦しい空気に耐えかねたトオルは、考えるより先に紗生の空いている方の手首をガシッと掴んでいた。 「逃げるよ!!」 「えっ、トオル先輩――」 「走れーっ!!」 紗生は壊したドアノブをその場に放り投げると、トオルに手を引かれるまま、どこか面白そうにそのあとを駆けた。

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