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第9話

隣の部屋のライトが遠い。 「あっ……あっ、ふあっ」 明るい広間に繋がるベッドルームは、夜の暗さに包まれていた。リザベルがライトを点けないから、暗闇の中で暴れている。 ユノは裸のままベッドに連れて行かれ、全身をむしゃぶられていた。 もう許してほしい。そう懇願するも、リザベルは優しく笑い、キスするだけだ。むしろもっと強い快楽を与えられてしまう。 「ユノ……隠さないで。私に曝け出して」 そう言うけど、これ以上彼に見せるところなんてない。柔い部分も奥まった部分も、何なら中まで広げられていた。 彼の長い指が潜り込んでくる。怖くて、思わず彼のうなじに歯を立ててしまった。 「寂しいなら寂しいと言って。不安なら、何が不安なのか言って。独りで生きなきゃいけない理由なんてないんだ」 指を引き抜かれ、彼の熱い性器が尻に当てられる。どきっとして、喉が鳴った。 「私が傍にいる。だから、本当の気持ちを教えて?」 「う……っ」 もう嫌だ。気持ち良すぎて辛い。 でも……彼の想いを拒絶するのも辛い。冷たく接してるんだから愛想を尽かしてほしいのに、全然諦めてくれないし。 「ユノ。……ずっとひとりで、寂しくなかったのかい?」 何が何でも逃さないという意志。そして、重すぎる愛。それから目を逸らすのも、もう限界だった。 俺は不安なんだ。自由になれたけど、この広い世界で生きていくことが。 「……寂し……い」 つま先が宙に浮く。とけた下半身と、リザベルの顔を交互に見ながら、ユノは涙を流した。 「ほんとは、すごく怖い。俺、何にも知らないから……それに、誰も信じられないし」 「うん」 「でも、貴方のことは……信じられる」 「……うん」 腰を打ちつけられ、ひっ、と彼に縋りつく。少しだけ先端が入ってきて、未知の恐怖に身震いした。 でも、彼なら大丈夫……なんて思ってしまっている。 「大丈夫。私は、君をひとりにはしない」 死ぬまで隠し通そうと思っていた、禁断の夜。 情欲より、孤独が暴走していたのかもしれない。誰かにこの不安を聴いてほしくて。俺は必死に、目覚めない彼に縋りついたんだ。 本当はずっと、心の底から祈っていた。目を覚まして、と。 「貴方に、ずっと会いたかったんです」 城での孤立していた自分が初めて手に入れた繋がり。 宝石のように美しい人。 眠りから目を覚まして、自分を知ってほしかった。 自身の欲深さに戦慄するし、顔から火が出そうなほど恥ずかしい。けどリザベルさんは、そこで初めて嬉しそうに微笑んだ。 「良い子だ」 「ん……」 唇が重なる。 優しく俺の頬を撫でた後、律動を始めた。 「ユノ……力を抜いて」 「あっ」 熱くて太いものが入ってくる。想像以上の質量に仰け反ると、上から強く抱き締められた。どこかへ行かないようにするみたいに……動きは激しく、優しい口付けをする。 「もう死にたいなんて言わせない」 肌がぶつかる音が響いている。壊れそうなベッドと並行して、身体はコントロールを失った。 「君はこれから幸せになるんだ。私にたっぷり愛されて……ね」 最奥を強く擦り上げられ、言葉にできない浮遊感に襲われる。 「リザベルさん……っ……俺、もう……っ」 「あぁ。一緒にイこう」 腰を持ち上げられ、宙に飛沫が舞う。一際強く中を突かれたとき、目の前が真っ白になった。 視界が明滅している。 「ユノ、気持ち良かった?」 繋がった部分を擦り当て、リザベルさんは俺の乳首を吸った。 「ん……あっ……」 「私に愛されてることが分かった?」 「うん……」 いや、ほんとはあまり分かってない。でもここは素直に頷いた方が良い気がして、コクコクと頭を振った。 「ユノ、もっと触ってほしいところはない? ……こことか」 「ひゃっ!」 性器の下の、柔らかい玉を揉まれ、甲高い声を上げる。 どこもかしこも彼にほぐされ、陥落している。なのにこれ以上触られたら、本当に壊れてしまいそうだ。 「も……も、やだ」 「そのわりには自分から腰を振ってるけど。気持ち良いんじゃないの?」 「気持ち、よくない……あっ! や、気持ちい……から、やだぁ……っ!」 「ユノ。素直に言ったらやめてあげる」 彼は鬼畜だ。優しいかもしれないけど、こういう時は本当に信用ならない。 でも嘘をつくとお仕置きされそうだから、正直に気持ち良い、と答えた。 「ほら、まだ素直じゃないんだから……」 「だって……意地悪するから」 酷くしないでと言うと、優しく熱の中心を撫でられる。 「リザベルさんは慣れてるかもしれないけど……俺は怖いんです。気持ち良いことも、自分の身体じゃないみたいで怖い」 目に涙を浮かべながらむくれると、彼は子どものようにあどけない顔で笑った。 「ごめんごめん。可愛すぎていじめたくなるんだ。……これも、君だけだよ」 もう出ないと言ってるのに。先端を爪で引っ掻かれ、また激しく仰け反ってしまった。 「やあ……っ」 とろとろになった部分が淫らな糸を垂らしている。普通、目を覆いたくなるような状態なのに……彼が向ける視線があまりにも熱っぽくて、隠すことをしなかった。 体はもちろん、心の中を曝け出すのは勇気がいることだ。裸を見られるより恥ずかしいときもある。 でも後悔はない。彼に強引に暴かれたことで救われた。 隠していた気持ちを伝えることがこんなにも心地よく、ホッとするなんて。……知ることができて本当に良かった。 疲れ切って眠りに落ちるまで。俺は彼から与えられる熱で浮かれてしまっていた。

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