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1章(8)

「ん……っ」 くちゅ、と音を立てながら口の中に入っていた指が引き抜かれる。 抜かれていく指に切なさを覚え、濡れた瞳でその指を追っていた。 「あっ、ぁあッ……!いあっ」 しかし、淫らに銜えることを再開され、唾液でたっぷりと濡れた指をゆっくりと体内に入れられて、声が上擦る。 「あっんん、いっしょに、しちゃ…ッ」 唾液で濡らすだけでは、指の半ばまでしか挿入するのが難しいようで、半端な位置で抜き差しをされる。 それでも、性器を舐められながらゆるゆると指を動かされると気持ちが良かった。 「はあっ、あっ、ぅん……ッ!」 びく、と肌が震える。 思わず足の間にある男の頭を太腿できゅ、と挟んでしまい慌てて力を抜いた。 「ふ、ぅ……っ、あ、あっ、」 瑞樹がようやく性器から口を離し、今度はベッドサイドに置いていた瓶に手を伸ばした。 中途半端に口淫で高められた昂りが苦しかった。 乱れた息を整えている隙に潤滑油をとろ、と垂らして後孔からシーツまでを濡らしていく。 「……っあ、ぁ……ん、…ふ」 片手で湊の脚を掴み、開かせながら潤滑剤で濡れたもう片方の指を、潤んだそこに侵入させる。 「ひうっ……、あ、あ、んぅ……ッ」 長く綺麗な指が自分の中に入ってくる感覚に、大きく息を吐き出して違和感を逃がしていく。先ほどとは変わり、瑞樹の指が根元まで入ってくる。 十年間肌を合わせているとはいえ、回数は限られている。 鋭い痛みを感じることはなくなったものの、僅かな違和感は感じざるを得ない。それでも、自分の身体は中に入ってくるものを拒むことはしなかった。 「は、ぁん……っ、んっ」 指をゆっくりと出し入れさせながら、瑞樹が覆い被さってきて口付けを迫られる。 熱に浮かされて、霧がかかったように霞む視界とぼんやりとした意識の中でもたらされる唾液まみれの口付けは、あまりにも気持ちが良かった。 「ん、んんぅ……っ、ふ、あ…」 くちゅ、くちゅ、と音を立てながら舌と舌が絡み合い、その間にも体内に指が押し入っては引き抜かれていく。 快感を煽っていくように、徐々に徐々に指全体で内側の壁をなぞっては、入り口から少ししたところを時折強く押してきた。 「あ、あぁ……ッ、ん、はぅ…っ」 少しずつ出し入れさせる速度を速めたと思いきや、すぐに指を引き抜かれて喪失感に後孔が疼いた。 「や…っ、抜いたら、」 「かわいいな。なくなるのが、嫌なのか」 「あっ、あっ、あっ……!」 喪失感が切なくて、涙を浮かべるよりも先に再び刺激を与えられ、今度は中に入ってくる指が増やされる。 二本の指が内壁に沿うように擦り上げてきて、その度に、薄く開きっぱなしになった唇の間から意識せず甘い声が途切れることなく出てきた。 「あっ、ぁうっ、そこ……ッ」 二本の指の腹で執拗に強く擦りつけられると、堪らなく下腹の辺りから疼きが全身にまで広がっていく。 ねっとりとしたとろみのある潤滑剤が指の動きに合わせて湿った音を響かせた。 「好きなんだろう…?知っている」 「ひ、ぃあっ、あッ、……んっ!」 強い刺激が欲しくて、自然と背中が浮き上がる。 「んあっ、あッ、…めっ、」 中に指を出し入れさせながらも、潤滑剤を絡めさせた手のひらに性器を包まれ上下に扱かれる。 にちゅ、ぬちゅ、と卑猥な音がやけに大きく聞こえて、聴覚までも犯されていく。 直接的な性器への愛撫と同時に、中の良いところを的確に擦るように指の抽送がされるせいで、自分が一体どこから快感を得ているのか訳が分からなくなってしまう。 「やっ、んッ…!あ、ぁ、イッ……!」 強い快感の波が内側から押し寄せてくるのに耐えるよう、身体の下に敷かれたシーツを必死になってくしゃりと掴み、筋が浮かび上がるほど強く縋り付いた。 その間にも、瑞樹は責め立てる手を休めることなく、熱に覆われた身体をどんどん追い詰めていく。 「あっ、あ、…め、……だめ、イ、く……ッ」 か細く、消え入りそうな声で限界を訴えていると、瑞樹は二本の指で探り当てた弱い部分を、器用に内側を引っ掻くように擦り上げる。 敏感な部分に集中的に刺激を与えられて、腰が浮き内腿が軽く痙攣した。 もう、だめ、イく──……。 そう感じて、自分の中がどろどろに溶けていく感覚に身を任せるように全身を震わせる。 「んあ…っ」 しかし、瑞樹が体内から一気に指を引き抜いて、性器への愛撫も中断される。 再び中途半端に投げ出されることになった身体が刺激を求めて疼いているのを自覚すると、そのまま、瑞樹が一息つくこともなく腰を強く掴んできた。 「ひ、あぁっ!?」 掴まれた腰を引き寄せられた湊が驚いている間に、瑞樹は散々愛撫されて柔らかく開かれた場所に、硬く猛った己のものを押し付けてすぐ強引に挿入してきた。 反射的に瑞樹の背中に腕を回し、しがみつくように強く抱きついてしまう。 「イっ……!あ、あ…っ、あッ、あぁあ──…っ!」 膨れ上がった勃起を、止める隙もなく体内に一気に挿入されて、半ば強制的に連れて行かれた快楽の果てに上擦った声をあげながら全身を震わせた。 散々焦らされてようやく入ってきた熱の塊の圧倒的な質量に屈服させられる。 絶頂に達して、爪先がきゅ、と丸まり、全身を痙攣させながら息を張り詰めさせた。 「や、あ───…は、あっ、ぁ……ひ、ぅん…っ」 突然訪れた快楽の極みに呼吸すら満足にできず、全身を震わせながら意味をなさない声を漏らし続けた。 あまりにも気持ち良かった。 いきなり絶頂の縁に落とされたから甘苦しいものの、それでも気持ち良さの方がずっと勝っていた。

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