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1章(10)

「も……、イきたくな…っ」 緩慢に首を横に振って拒絶を見せる湊の身体をベッドの上で反転させ、腰だけを高く突き上げさせる体勢を強制してくる。 まだ続けるつもりか、と薄らいでゆく意識の中で思うものの、声に出すことはできなかった。苦しいのに、また期待している自分がいた。 瑞樹が湊の細い腰を掴み上げ、緩やかに腰を打ち付け始める。 「もういや…っ」 「これで…終わりだ」 「く、ふぅ、ん……っ、ん、ンっ」 二度、三度と絶頂に達して、少しだけ冷静になりつつあった湊が、それでもなお熱に覆われた頭で必死に思考を巡らせる。 結局こうして流されてしまっている自分がいるのだと実感して、僅かに情けない気持ちになった。 何か考えていたはずなのに。 何かを言葉にするはずだったのに。 この両手で彼を突っぱねるはずだったのに。 その全てが、溶かされた頭の中から弾かれていた。 「あ、あっ、ぁ、…あっ」 背後から容赦なく突き上げられて、律動に合わせるようにひっきりなしに嬌声が溢れ出てくる。 先ほど吐精した瑞樹の体液と潤滑油が混ざり合い、どろどろとした淫らな液体が湊の体内で掻き混ぜられ淫猥な音を響かせた。 そのまま、未だに小さく痙攣する奥深くまで亀頭が押し入ってきて、背を仰け反らせ甲高く喘いでしまう。 「あ、ひっ、あぁッ!」 逃げるように揺らいだ腰を捕まえ、次に形のいい小さな尻に手を這わせ揉みしだく。随分と小振りではあるもののそれはそれで瑞樹の欲を煽るようで、その手つきはいやらしさを増していく。 「いや、ぁ…っ、もうっ、もう……ッ、」 いやいや、とするように、シーツに顔を押し付けながらも必死にかぶりを振ってこれ以上の快楽を拒絶する。 しかし、瑞樹が強く腰を打ち付けてくると、まるでもっとと強請るように肉棒を食い締めてしまうのだ。 「湊」 「はあっ、も、だめ…っ、あっ、ぁっ、ぐちゅぐちゅ、して……んあッ」 「湊……」 未だ幼さにも似た若さを残す顔を赤く染め、上気させながら、自覚の有無に関わらず湊が感じ入った声をあげればあげるほど、瑞樹の欲は膨らんでいった。 掴んだ腰を自らに引き寄せるように湊の身体を揺さぶりながら、結合を深くさせどんどん強く打ち付けられて、逃れられない快楽に追い詰められていく。 「ひあぁ…ッ、あっ、あっ!み、ずき……ぃっ!」 思い切り、何度も何度も穿たれて上半身はシーツの上に完全に伏していた。くたりと力なく投げ出された手にどうにか力を入れてシーツを掴むものの、快楽を逃がすには至らなかった。 「も、くる、し……っ」 強烈なほどの圧迫感に呼吸が切迫していく。 肌と肌がぶつかり、粘着質な濡れた音を立てながらも一定のリズムで腰を打ち付けられて、自らの中が断続的に収縮をし始めたのが分かった。 ──苦しいのに、気持ちいい。 訳が分からなくなっていく愉悦の波に翻弄されて、自分の意識が奪われていく。 「あぁっ、やっ、だめ…っ、だめっ、奥っ」 「好きだろう?」 「ゆるして、もう…っ、あっ、あッ、おか、…しく、な……っ」 「いいよ……っ」 汗ばんだ項に、瑞樹の吐息がかかった。 「それでも、愛してやる」 大きく腰を動かされ、奥深くまで亀頭を銜え込まされる。粘膜同士がぶつかり合ってじんじんと痺れてくる感覚に全身がびくびくと震えた。 「やだ、あっ、あっあ、きもち、ぃ……っ」 自分の身体の境界がなくなってしまったようだった。 熱くなった全身が、瑞樹の身体と溶け合ってしまったようだった。 「ぃあっ、いい……ッ!や、やめ……っ」 いや、いい、やだ、いい、やめて。 自分が何を言っているのか全く分かっていない湊の様子に、瑞樹が唇の端を舌で舐めながら意地悪く尋ねてくる。 「やめてほしいのか…?」 「やっ、だめ……!」 「どっちだ…湊」 円を描くように腰を動かし、強い刺激をわざと送らないように緩やかな抽送にされて、切なくひくつく自分の中を自覚する。 もう、何でもいい。ちょうだい。 「はや…く…っ、お願い、」 花束のことも、あの女性のことも、全てを忘れ去られるほどに、今この瞬間は目の前の男をただ欲していた。 「あ、ふあ…ッ、…て……奥、突いて…っ」 欲しくて欲しくて、堪らない。 身体も心も全て満たして欲しくて、恥も外聞もなく必死に懇願する。 「よく言えたな」 「あっ、あっ、ふ…、ぅん…ッ!」 深くまで一気に腰を打ち付けられて、背中が大きく波打った。 白い背中が艶っぽく見えて、瑞樹が上体を倒して身体を密着させれば、その体温にすら感じて湊が小さく喘ぐ。 ぴったりと合わさった肌が汗でしっとりとしていて、大きく呼吸を繰り返す度に触れ合う体温が心地良い。 「ひっ、いあッ! あっ、ふ、あぁ……っ!」 瑞樹は腹に腕を回し、拘束するように自分の身体とぴったり密着させながらも、腰を動かすことはやめない。 少しも身動ぎのできない状態でどんどん追い込まれることになり、湊がただただ甘い声を零していた。 ───気持ちいい…気持ちいい。 好きな男に求められて、快感に浸らされるのはあまりにも気持ちが良くて、他のことなんてどうでもいい。 瑞樹が自分を求めて、自分で気持ち良くなって、…自分が瑞樹を求めて、気持ち良くなれるのなら、もう、なんでも良かった。 「だめ…っ、触ったら、」 後ろから手さぐりに当てた乳首を強く摘まんではぐりぐりと指の腹で潰されると、自分の中がどろっと反応する。 「こんなにも摘まんでほしそうにしている」 「あ、あっ、いあ……っ!んっ、あ、ぁ…ッ」 背中に密着した瑞樹の体温が気持ち良かった。 項から肩にかけて、唇が這っていき、肌に歯が食い込んでくる。痛いはずなのに、今は気持ち良さが上回っている。 「あっ、あっ、あ…っ!も、イ、く……ッ」 「こっちを向いて」 「は……っ、んっ」 「イく顔を…、…っ。 お前の顔を、見せるんだ」 なんとか顔だけで振り返って、背後から覆い被さり欲望を打ち付けてくる瑞樹と目を合わせる。 瑞樹の望みは、できることなら何だって叶えてあげたかった。 「ひッ、あぁあ…っ!あっ、あ…ッ!」 目と目が合って、欲情した瞳を見た瞬間にもうだめだった。 痙攣させながら達して、中に銜え込んだ瑞樹の雄をきつく食い締める。 何度目になるのか分からない深い絶頂感に、白ばむ自分の意識を必死に手繰り寄せようとするものの、深いところまで落ちていく感覚に襲われた。 「く……っ、しめ、つけて…ッ」 「ああぁ──っ!…め、…だ、め……っ!」 力なく項垂れ、シーツに頬を擦りつけた。 身体を自力で支えることができず、腰を掴む瑞樹の手だけが頼りだった。その腕が力を弱めれば、今に白い波の中に崩れ落ちてしまいそうだった。 「あっ!おく……っ」 「…っ、は……。 お前の、……奥で、全部呑み込むんだ、俺のものを」 「い、ひうっ……やあっ、いっぱい、中…なか……ッ」 覆い被さられた身体に押さえつけられながらも、びくん、と大きく身体を跳ねさせ激しい抽送でもたらされる深い悦に浸っていた。 「みず、き……っ!」 中で弾けた熱い飛沫が、断続的に奥の壁を叩くのを感じる。 奥深くで射精された心地良さを感じながら、名前を呼び、喘いだ。 瑞樹が、熱い吐息を漏らすのを背中に感じていると、射精しながらも再び腰を引かれ、まるで精液を塗り付けられるかのように奥深くまで肉棒を呑み込まされた。 睡魔なのか、意識の消失なのか、視界が白ばんだ。 区別ができないほど、もう限界だった。

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