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幕間■カラカッタ

 私は間違えたのではない。陥れられたのだ。  アラバスター様の行方を知った日、私は己の眼識の無さを思い知った。  あの哀れな麗人は我が宰相の命により、遠い辺境地に追放されていた。やっとあの醜悪な檻から解放されたというのに。  そもそも私がスタトゥアリオから国を解放しようと発起した理由は、アラバスター様なのだ。  暗君に囚われた麗人、アラバスター・フェルエナ様。  傾国の装飾石、無能な宮廷術師などと貶める者も多いが、あの方はそのような無能ではない事を知っている。まだ成長期だった私は、アラバスター様の聡明さと麗しさに感動した。  彼を解放したいが故に、私は反乱軍の指揮をとった。そう言っても過言ではない。勿論、あのような暗君の元では民が皆不幸になる、と憂いだ上での発起だったが、暗君からの解放の象徴として、アラバスター様はぜひとも私と共に、この王都を支えていただきたかった。  それなのに――スピネルは最後まで『貴女の為』などと叫んでいた。片腹痛い。私がスタトゥアリオのように、アラバスター様の美しさに我を忘れてしまう事を危惧したのだろう。  私は、心を許しすべてを託してきた家臣にすら、信頼されていなかったのだ。  もう誰も信じない。私は、間違えない。私だけの判断で、ほしいものを手に入れる。  宰相は罷免した。今や私に意見する者など片手で数えられるほども居ない。それでいい。その方が、間違えない。  グラスウォールの領主は、記憶にあるよりも老けて見えた。想像していた通り生意気で、話の通じぬ男だった。そうでなければ、こんな卑しい地に流されることも無い。  ああ、早く、一刻も早く、アラバスター様をこの地から救い上げねば。  これは返還要請ではない。  そもそも、私は彼の追放を許していない。手違いで不遇な仕打ちを受けたかの人を、救出するために私は自ら、穢れた地に足を踏み入れたのだ。  私は、間違えない。  必ずや、あの麗しい方を助け出してみせる。

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