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【オマケ】優介と修作

修作視点です。 * 今日は隣人が部屋に遊びに来ている。前期試験が終わって夏休みに入ったが、お互い実家には帰省せずにバイトやらサークル活動やら毎日慌ただしく過ごしていて、こうやってクーラーの効いた部屋で最近話題のカップアイスを食べながらのんびり過ごすのは久々だ。 隣人で親友でもある中岡優介に急遽呼び出され‥っつっても隣りなんだけど‥「大切な人ができた」と報告を受けてからもうすぐ1ヶ月になる。男の俺から見てもカッコイイと思える優介だから、知り合ってから今まで浮いた話が全くなかったのに驚きなんだけど、数日後に相沢を紹介されて更に驚いた。そういえば前に、ナナのことを聞かれたときがあったなぁと思い出して、俺はふたりの出会いを心から祝福した。 「そういえばフクちゃんはさー、イッチーと付き合ってどれくらいでキスしたの?」 「は?!ええっ??‥っ冷たっ!!」 突然の質問に、思わず食べていたアイスを足に落として慌ててしまう。 「フクちゃんってこういう話振ると、いつもリアクションが面白すぎるんだけど」 「お前がいつも突然すぎんだよ!」 恋愛の話は正直ちょっと苦手だ。そんなに経験が多いわけではないからアドバイスを求められても困ってしまうし、楽しさよりも恥ずかしさのほうが勝ってしまって上手く話せない。こういう話を、結構腹を割ってできるのは優介くらいかもしれない。 「な、なんだよ急に」 「いや、一応参考までにと思いまして」 「‥‥こ、告白したその日に‥」 当時のことを思い出してちょっと照れていると、いきなり大きなため息をつく優介。 「はーーだよなぁ‥キスくらいするよなぁ‥」 俺より絶対的に経験豊富であろう優介の恋愛事情にはものすごく興味がある。まして俺と同じで恋人は同性‥ちょっと、聞いてみたい。項垂れる優介に、俺は同じ質問を返してみた。 「優介は?さすがにもうして‥」 「‥だ‥」 「ん?」 「まだキスしてなーーーい!!!」 テーブルに突っ伏してガチ泣きしている姿を見て、“付き合う前にそれ以上のことをしてた”なんて口が裂けても言えないな‥と思いつつ、ちょっとかっこ悪い親友の一面を垣間見た俺は、新しい恋を全力で応援したいと思うのだった。 頑張れ、優介。 おわり

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