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行くと、他の部署らしき人物も何かの書類を渡したり、何かの頼み事をしているような話をしていたり、電話対応をしていたりと忙しそうだった。 それらを眺めつつも捜していた細貝の姿を見つけた。 彼は周りが忙しそうに苛立ちが隠せないといった表情を見せているのに、無の表情でPCに向かっていた。 彼にイライラするという感情はないのだろうかと失礼なことを一瞬でも思ってしまったのは、こないだの飲み会で毒されたのだろうか。 表情に出ないだけで彼だって周りの人達と同じ人間で気持ちはあるだろうに。 「あの細貝さん。お仕事の最中すみません」 恐る恐る断りを入れて言っただけ。それなのに細貝は弾かれたように顔を上げた。 その反応に大林は驚いてしまったが、それよりも驚かされたのは彼が顔を赤くしたことだ。 「え、細貝さん、どうされ──」 「あ、大林さん⋯⋯えと、書類を持ってきたんですかお預かりします」 動揺し、早口気味に渡そうとした書類を半ばひったくるように手にした細貝は、そのままPCに目を向けた。 「細貝さん⋯⋯?」 こんな彼は見たことがない。目を合わせずともこちらに身体ごと向けて両手で丁寧に受け取ってくれる。 何かしてしまっただろうか。 「顔赤いですが、大丈夫ですか?」 「⋯⋯だ、大丈夫です⋯⋯」 「僕、何かしましたか?」 「⋯⋯何も⋯っ! 何もないので、大林さんはお戻りになられた方がいいかと⋯⋯!」 緊張しているのか裏返った声で言う細貝は、本当に勘弁してくれと言わんばかりだと感じた大林は、まだ問いただしたいことがあったものの、ぐっと堪え、代わりにこう言った。 「⋯⋯分かりました。お仕事の最中、失礼しました」

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