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あれからどことなく気まずくなり、ちょっとした用事も、出す必要性のある書類も、他の総務の人間に頼んで渡すことにした。 その際、何となく細貝のことを見やると彼は表情をどこかに捨ててしまったのではないかと思うぐらい無表情で仕事に打ち込んでいた。 傍から見ればいつも通りの細貝だ。何ら変わりはしない。 周りがよく言う"仕事はきちんとしてくれるけど愛想がなくて、近寄り難い人物"。 そうであるはずなのに、何故あの時、熱を出したみたいに顔が赤くなったのだろう。 心に引っかかりを感じながら過ごしていた時のこと。 同僚と談笑しながらフリースペースに向かうと先客がいることに気づいた。が、それは細貝と見慣れない女性が昼食を摂っている最中のようだった。 大林自体出張が多いため、細貝が食事をしているところはごくたまにであったが、大抵一人でいることが多かった。だから今回のように女性といるところなんて見たことがなかった。 大林も知らないどこの部署か分からない女性と楽しげにしている。 細貝の微笑みにも似たその笑みなんて見たことがない。胸辺りが胸焼けしたみたいに不快感を覚える。 「大林さん。そこに突っ立ってどうしたんです?」 「あ⋯⋯いや⋯⋯なんでも⋯⋯」 「っていうか、あの細貝さんが他の部署の方といるなんて珍しいですね」 「そう、ですよね。ところで一緒にいる方はどこの人なんですか?」 「確か、人事の方だったかと。名前までは⋯⋯」 「そうですか。人事の人となんで⋯⋯」 「それに何だか親しげですよね。あんな細貝さん初めて見ました」 「ええ、本当に⋯⋯」 細貝が誰かといるなんて彼の勝手だ。それなのに何故、こんなにも気落ちしているのだろう。 「まあ、それよりも早く食べましょうよ。私お腹ペコペコですよ」 「あ、はい。そうですよね」 後ろ髪を引かれる思いで、足早と席を確保する吉田の後を追った。 その様子を細貝が見ていたことに気づかずに。

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