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第2話

「よう、浮間じゃないか。お疲れ」  メニューから顔を上げると相席で目の前に座ったのは職場の先輩である洲永恒星(すながこうせい)だ。匠海より七つ上のアラフィフ。しかし同じ四十代でも決定的に違うのは四十七歳とは思えない筋肉量と百八十センチを超えるスタイルの良さだ。 「え、洲永さん、どうして新橋にいるんですか……?」  彼はつい先月、異動が発令されて品川エリアの担当になったはずだ。同じ東京営業部だから帰社する建屋は同じだけれど場所は六本木。新橋で電車を降りる意味が分からない。 「俺が新橋でメシを食っちゃ悪いのか?」 「あ、いえ……」  歯切れの悪い返事をしているあいだに洲永は店員を呼び止め、「今日の日替わりなに」とフランクに尋ねた。 「サバの味噌煮定食よ」と店員が微笑むとすぐに「じゃあ日替わりをひとつ」と告げた。先に入ったというのにまだ注文していなかった匠海も慌てて同じものを頼んだ。  洲永が魚料理を選んだことで匠海の胸には緊張が走る。なぜなら彼はものすごく食べる所作が美しいからだ。  そして匠海はそういう人の食べる姿を見ると意思とは関係なく性的興奮を覚えるという能力を持っていた。それがあらわになったのは先月、洲永の異動が発令された日。有志で開かれた飲み会で、しばらく起動することなかった匠海のその能力が現れてしまったのだ。

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