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お誘い

週末の夜、結季が神妙な顔で紫呉に話しかける。 「あの……紫呉さん……」 「なぁに、ユキちゃん」 ソファで寛ぎながら雑誌を眺めていた紫呉は視線を結季の方へと向ける。モジモジとしながら俯きながら結季は小さく呟く。 「あの……その…………ーーっち、したいです」 「ん?何がしたいって?」 「あの……」 そっと傍によってきて隣に座る結季。 「……ぇっち……したい……ダメ、ですか?」 紫呉のシャツをキュッと握りながら結季はもう一度つぶやいた。 「っ!?……ダメなわけないじゃない……むしろ大歓迎よ?」 珍しく結季の方からそんな言葉を聞いて紫呉は顔がにやけるのを必死に堪えた。 「……なんですか、その顔」 嬉しくて仕方ないのにデレデレな顔を見せたくないと頑張った結果どうやら微妙な表情をしていたらしく、怪訝な顔をされてしまった。 「嫌ならいいです……勝手にひとりで何とかするのでっ」 アタシが煮え切らない返事をしたせいでユキちゃんがむくれてそっぽ向いちゃったわ。そういう所も可愛いし、むくれてるユキちゃんのお顔って本っ当に可愛いのよね。 「そんなのダメよ!せっかくユキちゃんから誘ってくれたんですもの。そんなの据え膳食わぬはなんとやらでしょ♡」 「無理しなくて大丈夫ですから。紫呉さんお疲れのようですし……」 確かにここの所、締切やらなんやらで忙しくしていたからといって恋人を無下になどしない。むしろ恋人と濃密な時間を過ごせば過ごすほど紫呉の仕事への熱は比例していく。 「疲れてたってユキちゃんに触れたらいつだって元気になるわよ。だからお願い、一人でするなんて寂しいこと言わないでちょうだい」 しゅんとした悲しそうな声で結季に向けて紫呉は言った。 「でも……」 あくまで遠慮する結季。遠慮というか、自分が欲求不満だと伝えてしまった事についてあとから恥ずかしくなってきた、という所だろう。意地でもこちらを向かない結季に対して紫呉は小さく息を吐いてからいつもよりも低い声で結季の名前を呼んだ。 「結季……本当にいいの?」 普段出さない男の声で名前を呼ばれた結季はゾクゾクと背筋を震わせた。紫呉の男の部分をぶつけられると見た目とのギャップと相まっていつも以上に身体が熱くなる気がする。 「……抱いて、紫呉さん」 「ん。ここでする?それともベッド?」 「……ベッドで」 「了解。ならシャワー浴びてくるから少しだけ待ってられる?」 「はい……」 結季はもうとっくにシャワーを浴びていたので、こくりと頷き先に部屋で待ってると伝えるとそのまま小走りにリビングを後にした。 * * * 素早くシャワーを終え、バスタオルを腰に巻いた状態で寝室へと行くと結季はベッドの端にちょこんと座ってまっていた。 「結季からセックスしたいって言うの珍しいからすぐ煽られちゃった」 紫呉はさっきから男モードが抜けず言葉遣いが戻っていない。結季の隣に腰を下ろすと既に準備万端と起立を主張するようにタオルが持ち上がっている。それに気がついた結季はゴクリと唾を飲み込んだ。 「……触れてもいいですか?」 「もちろん、どうぞ」 そろりと足の間に手を伸ばしタオルの隙間から差し込む。 「硬い……」 「言ったでしょ、煽られたって。今日は止めてあげられないかもよ?」 意地悪そうに笑う紫呉の顔は雄みが強い。 「いつも止まらないくせに……」 「結季が可愛すぎるから愛しすぎちゃうんだよね」 「……嬉しい、です」 「結季……」 「んっ……」 そっと結季の頬を撫でると自然と目を瞑る。すると直ぐに唇が重なり、それはあっという間に深く濃厚なものへと変化していく。舌で上顎のところを擦られるだけで下腹部が疼く。 キスに溺れながらも結季はゆっくりと紫呉の起立を優しく手で包み込み上下に動かす。ぎこちない動きがもどかしくて逆に快楽を引き出していくようだ。 「はぁっ、ん……ぅ」 唇が離れると少し酸欠のような感じで頭がクラクラした。 「……舐めても?」 「どうぞ」 結季がやりやすい様にと少しだけ足を広げる。ゆっくりと体勢を低くし、最初は先端の所をチロチロと舌先で刺激する。それからゆっくりと口の中へとソレを迎え入れると唇を窄め上下に顔を動かす。 「んっ、ふ……っぅんン……」 鼻から漏れ出る声は甘く切ない。ただ一方的に触れているだけだが、結季のソレもとっくに反応してうっすら先走で下着を濡らしていることに気がついた結季は膝を擦り寄せる。 「っはぁ、きもちい……結季の口の中熱くてヌルヌルでやばいかも……」 頭を撫でながら息を詰める紫呉の声を聞いて結季は咄嗟に夢中でしゃぶっていたソレから口を放す。 「まだイッたらダメ……イクなら……」 こっちで、と紫呉におしりを向けるようにして四つん這いになり自ら下着を下げる。 「なにそれ、エロすぎ……誰に教わったのそんな誘い方……」 「……そ、んなの貴方にきまって……ひぅっ、ンン」 まだ言い終わらないうちにいつの間にかローションで濡れた指が臀部を這い、その合間をノックする。指の腹で押されているだけなのにヒクヒクと後孔が収縮するのが分かった。 そのままツプリと指を押し込まれ、結季は腰を揺らす。 「んぁっ……」 「トロトロに溶けてる……一人で準備してたのホントだったんだ……」 「だって、ほんとに……欲しくて……んぁっ、ア、そこ……っ押しちゃっ、んッ」 結季の弱いところを指先で突っつくとさっきよりも激しく結季の腰が揺れる。 「いま挿れたらオレも持たなさそうだなー……」 紫呉はそう言いながら指をゆっくりと動かしながら快感を引き伸ばす。 「ふぁっ、ンン……っ、も、う焦らさないでください……」 「ん?」 「焦らすの……やぁ……紫呉さんのもう欲しいの……っ、いれてほし……」 普段から快感に弱い結季はすぐに入れて欲しいと懇願する。 「可愛い結季のオネダリもっと聞きたいな?」 「やっ、いじわるっ……ぅンン、ぁっ」 人間の欲望とは際限ないものだとこういう時実感する。今までは入れて欲しいと言われればそれだけで満足だったが今日は何故だかもっと厭らしい姿の結季が見たいと思った。 「もう1回聞かせて?」 「っん、ずるい……」 「ずるいのはどっち?結季がこんなにエッチだったなんて知らなかったよ」 「えっち、なんかじゃない……っ、紫呉さんにだけっ」 涙を浮かべながら結季は体勢をゆっくりと変える。四つん這いだったのが仰向けになり、大胆に足を開いたかと思えば自分で後孔を見せつけるように臀部をわり開く。そしてーー…… 「紫呉さんの……おちんちんで、俺のナカ気持ちよくしてくださぃ……っ」 「……うん、イイよ。でも待って、ゴムだけ付けるから」 「いい、いらない……そのままの貴方を感じたいっ、ダメですか……?」 「ダメなわけっ……でも、どうなっても知らないよ?」 「いいっ、紫呉さんの好きにして……ァあんっーー」 あの生真面目な結季がナマでしたいという事は珍しく、さっきから煽られっぱなしの紫呉はもう我慢の限界だった。結季が言い終わるよりも早く、拡げられた後孔に起立したソレを宛てがい挿入していく。余計なものが無いだけにダイレクトに感じる粘膜の熱さに紫呉は一瞬動きを止める。 「やぁっ、なんで……、止めないで……」 「ごめん、良すぎてイキかけた……」 「嬉しい……俺のなか、気持ちいいんだ……っ」 快感に潤んだ瞳でそんな事を言われてしまっては紫呉の理性は吹っ飛ぶ他なかった。 「無理させたらごめん……っ、今日はもっと奥まで愛したいっ」 そう言うと紫呉は結季の足を抱えあげさらに深く繋がる様にと腰を進めていく。 「ひぁっ、ンン!……っお、く入って……く、るぅ……」 普段はあまり刺激しない前立腺のさらに奥にある壁をめがけ紫呉は体重を移動していく。壁に突き当たって目の前に星が飛んでいるかのようにチカチカし、上手く息ができない結季。 「あぐっ……うっ、ふっ……」 「やばっ、結季の奥地開発って感じ……」 紫呉もまたフーフーと息を荒くしつつ抽挿を繰り返す。 「んっ、ぁっ……うくっ……」 溶けきった結季の身体は紫呉の質量と熱を容易に奥まで呑み込んでいく。 「き、もちいっ……ゆうき、ゆうきっ」 「ひぐれひゃ……俺、もう……っイッちゃ……んぁっ」 「俺もっ、結季……中に出すからっ」 「んんッ、出して……紫呉さんのっ、ちょうだいっ……」 ギュッと紫呉の背中に抱きつき無意識に爪を立てる結季。紫呉は結季のそれに応えるかのように腰をうちつける。 「い、く……イクっ、紫呉さっ……んぁぁーーっ」 「くっ……ぅ」 ほぼ同時に2人は果て紫呉は結季のナカを、結季はしくの腹の辺りをその飛沫で汚した。刺激の強いセックスのせいで結季はそのまま意識を手放す。 * * * 「……身体がダルい」 夜が明け、朝日の眩しさで目を覚ました結季は開口一番に言ったのがそれだった。不機嫌そうな口調だが紫呉は怖気ずくこともせず、軽やかな口調で返答する。 「そりゃぁ、昨日あれだけ激しく愛し合ったんだもの、当たり前でしょ♡」 あ、後処理もちゃぁんとしたから安心してちょうだいね♡と付け加えて伝える。 「……それは、ありがとうございます」 「いいのよ、アタシが無理させちゃった訳だし?」 昨日の記憶が鮮明すぎて結季は恥ずかしいのを隠すかのように紫呉を睨む。そんな結季の気持ちを察してか紫呉は話題を切り替える。 「さぁて、今日からまたお仕事頑張りましょ〜!」 「コーヒー入れますか?」 「今日はアタシが入れるわ。ゆきちゃんはもう少しゆっくりしてていいわよ」 そう言うと紫呉は寝室を後にしてキッチンへと向かった。何度抱かれても翌朝の甘ったるい雰囲気は気恥しくてソワソワしてしまう。そんな結季のことをちゃんと理解した紫呉の気遣いに安堵する。 「……はぁ、紫呉さん、好き……」 一人になってポソッとつぶやいてからゆっくり立ち上がりカーテンを開ける。窓の外は雲ひとつない真っ青な夏の空が広がっていた。 〈終〉

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