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第8話 海辺のデート
あの日以来、蜜は毎日海の家に通ってくる。
シドに会いたいのだ。好きになったら我慢というものを知らない蜜はシドに会いにくる。
「シドッ。」
海の家のお客さんがシドと話している。大学生くらいの可愛い女の子。
蜜は立ち止まった。他人の顔色には敏感なのだ。シドは女の子と話に夢中で気が付かない。
(あっ。)
邪魔になってはいけない空気だ、といち早く感じ取って立ち尽くした。
くるっと背中を向けて帰る事にした。今日は自転車を置いて来た。トボトボと歩いて帰る。
女の子と話していたシドが、帰って行く蜜の小さな後ろ姿を見つけた。
「あ、ごめん。知り合いが来たから迎えに行かなくちゃ。また、今度話そう。バイ。」
女の子を置いてシドは走った。
「みぃつぅ!」
大声で叫ぶ。気づいた蜜が振り向いて笑った。
立ち止まって待っている蜜に、シドが息を切らせて追いついた。
「何で帰ろうとしたんだよ。」
「別に。お邪魔かな、と思って。」
蜜の手を掴んで
「今日はデートしようって言っただろ。
帰るなよ。」
「デートって何するの?」
「何って。ああ、散歩とか,するんだ。」
「セックスはしないの?」
「え? おまえそんな事に慣れてんのか?」
蜜は、男はみんなセックスをしたいんだ、と思っている。今までがそうだったから、他にデートって事がわからない。
シドは女の子と付き合った事はあるが、男の蜜との距離感がわからない。
それでも蜜は、シドが追いかけて来てくれて嬉しい。手を繋ぐのもドキドキする。
風で揺れる髪をかきあげて見つめるシドは素敵だ。蜜もサラサラの髪を風になびかせてピカピカのおでこが可愛い。キスしたい。
海岸から幹線道路に上がった所のコンビニで、ソフトクリームを買った。
ベンチで並んで食べる。こんな事が楽しい。
こんな気持ちになるのは初めて。
(リキも大好きだけど、シドといるとドキドキする。)
それにさっきのような女の子といるシドを見ると少し悲しい。二人はとても似合っている。
蜜は女の子と話した事がない。
(僕は女の子と話がしてみたいのかな?)
自分の心に聞いてみる。何だか違うような気がする。
蜜は、普通の人はすぐに裸で抱っこしたりはしないものだ、という事を知らない。
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