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第11話 強い意志
気力を振り絞って、蜜の肩を掴んで引き離した。
「ダメだよ。リキさんに顔向け出来ねえ。」
蜜の泣き顔を見て、ギリで思いとどまった。
「俺、帰るよ。スウェットじゃ暑いな。
なんかTシャツ貸して。」
濡れて脱ぎ散らかした服を回収して帰る支度をした。リキの大きなシャツを差し出して
「シドは僕が嫌いなの?」
蜜の肩を抱いて
「いや、大好きだよ。今、好きになった。」
でも男にはスジを通さなければならない時がある。
「親父と親父の親友のリキさんを裏切るわけにはいかねえのよ。」
見つめる蜜に言い聞かせた。本当は、自分に、だった。
帰ろうと玄関ドアを開けたら、ノブに変なものがかけられていた。
レジ袋に入った猫の死体だった。
「ヤバいな。リキさんが帰ってくるまで、蜜を一人で置いていけないな。」
「酷い!この辺りで見かける子だ。
誰がこんな酷い事を。」
蜜に見せてしまった。こんな事をする奴がいるのなら、安心して帰れない。
「かわいそうに、かわいそうに。」
蜜が涙を流している。
シドはどこかに電話している。
「ええ、はい。何人か、この辺りをパトロールしてください。」
屈強な組員が手配されるだろう。
シドは始末屋の存在を知らないが、何となく裏家業の事は想像がついている。
組の中でも特に腕の立つ者たちが行動を共にしているのを見ている。
組長の恭司には、以前言われた事がある。
「シドもそのうち、組織を知るだろう。
俺に命を預けてくれるか?」
「盃、頂けるんですか?」
親父のその言葉を待っている。
「いつまでも、部屋住みって訳にもいかないだろう。覚悟は出来てるか?」
「もちろんです!」
シドは10代の頃、ヤンチャだった。海岸沿いの若いもんには知られた暴走族だった。
事故で車を大破させ、今は組の運転手でクラウンを転がしている。運転は上手い。
「いつも、リキさんがいない時は一人で留守番なのか?」
「うん、僕、何も出来ないから。」
肩を抱いて
「そんな事ないよ。
そばにいてくれるだけでいいんだ。」
「でも、セックスはしないんだね。」
「人のモノには、手をつけないものだろ?」
「僕はリキのモノなの?」
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