12 / 30

第12話 虐待犯

 玄関の猫の死体は、組の仲間が連れて帰った。 「叔父貴が庭に埋めてやれ,と言ってます。」  以前から神谷の叔父貴はこういう動物の惨殺死体やロードキルの被害者を見つけると、自宅の広い庭の槇の木の下に埋めた。深い穴を掘って、線香を手向けて手厚く葬った。 「酷えこと、しやがる。 犯人はわかってるのか?」  交代で強化したパトロールで目星はついているという。 「山賀ゆうじという男です。 動物虐待で何度も事情聴取されてますが、 勾留まではいかず、放免されてます。」  それでもその地域では札付きで、警察も目をつけては,いる。 「器物損壊ですか?」 「法律は生き物を器物と捉えているからな。」  動物好きな組員が悔しがる。 「そのうち、尻尾を出すだろ。  こういう奴らは小動物じゃ飽き足らなくなって人を殺るようになる。」  しっかり見張ってろ、と叔父貴は言った。  格闘技のドラゴンホールは、地下の金網デスマッチでおびき出す事になった。  始末屋が闇で開催する命懸けの格闘大会。 組のネット番の情報操作でおびき寄せる。 「奴ら、絶対に参加して来ますぜ。 殺しても許される格闘技の大会ですよ。」  昔からプロレスで金網デスマッチというのはあったが、今までのものは、多分にショーアップされたヤラセだった。  叔父貴が主催するのは、本気の殺し合いだった。掃除屋が控えている。死体処理の掃除屋。 弔いもなく、ゴミのように処理される。  誰にも知らされず、死体も見つからない。 負けたものの課せられた寂しい死。  この上もない地獄に捨てられる。 「猿のポラちゃんにした事の百倍返しをしてやりますよ。」  動物虐待の調査をしていると全国から情報が寄せられる。  同じか、それ以上の苦しみを与えなければ浮かばれない。見つけ次第、間に合えば全力で助ける。医療に繋げる。  残念ながら亡くなってしまった動物は手厚く弔う。  胸糞な動画配信で金儲けしている奴らは、生き地獄に落とす。 「山賀ゆうじの所に、あの坂下モナミが身を寄せています。」 「坂下モナミ?」 「ああ、父親殺しの。」 「同級生も殺ってますよ。 小学校の6年生の時です。」  少年法に守られて大した罪にもならず、もう世に出て来ている。 「小学生で人殺しか⁈」  その前に近所中の猫を解体してバラバラにした、と自供してます。 「始末案件だな。」

ともだちにシェアしよう!