16 / 30

第16話 山賀

 急いで力丸を受け取って首の針金を外した。 かなりきつく締められて力丸はぐったりしていた。蜜は悔しかったが、何かされるとリキが危ないと思い、黙って力丸を抱いて保護した。 「お宅の猫で間違いないね。」  何か思惑がありそうな顔をして山賀と名乗った男は帰って行った。  部屋に戻って蜜は 「針金で首絞めてたよ。」  震えている力丸を撫でてやった。  リキは恭司に連絡した。組の若いもんには近所の見回りを頼んでいるが、完璧では無い。  気になるので恭司に報告だ。 「ようっ。大変だったな。 こっちも色々報告が入って来てる。」 恭司はいつもながらフットワークが軽い。 「酷でえ、動画サイトが見つかった。 やつら、ゴキブリ並みに湧いてくる。」  それでも一つ一つ潰していくしか無い。  金網デスマッチの噂が広まっている。闇の殺人大会。そこに絡んでくる奴らがいる。  殺人動画が撮りたい,と言って来た者がいる。 リキには裏家業を知られたくない。  金網デスマッチの事は簡単に話した。本気で殺し合うとは思っていないだろう。 「近所の人だって? 山賀ゆうじって言ったっけ? 一緒に来た女の子ってこの子かな?」 恭司はスマホの写メを見せた。 「そう、この人。 なんで恭ちゃんのスマホに写真があるの?」  職業柄(?)刑事事件で立件された猟奇犯罪はチェックしている。 「この女は殺人の前科がある。坂下モナミ。  動物虐待の常習犯だ。山賀ゆうじも同じだ。  力丸、無事で良かった。」  心配な情報がまだあった。 「山賀とモナミが連携してるのは要注意だ。 しかももう一人、27才の男、ってのが浮上している。虐待動画配信の元締めだ。  莫大な収益を上げてるから、C国では何も言わない。」  少しだけリキにも教えておくことにした。身を守るため。 「地下格闘技の大会があるんだよ。 もちろん非合法だが。  ウチの腕っぷしの強い奴らも出るんだよ。」  始末屋だとは言わない。 「へえ?あのテツさんも?」 テツはB・Dでも強くて有名だった。 「今度は本気のデスマッチだ。 死人が出るかも知れない。」 「あの、山賀って奴は格闘家には見えなかったよ。もう一人は女の子だし。」 「ああ、奴らは、大会の見物客だ。 あと、特別ゲストの大阪から来た奴が気になる。  どんな極悪非道な奴かな。 とにかく動画が酷い。残酷なんだ。  あんな事考える奴の頭は完全にイッチマッテルって事だ。」

ともだちにシェアしよう!