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第22話 やめておく
「怖いからやめておくよ。」
リキの答えに恭司はホッとして蜜は不満そうだった。蜜のトラウマが蒸し返されたくはない。
恭司の元には、C国から報告が上がって来ている。少数民族の保護は、国際問題に繋がるので、表立って行動は出来ない。
彼らは神谷の叔父貴のコネでマレーシアに出国出来たらしい。最終的にブータンを目指す。
人数が少なかったから何とか脱出できた。ウイグル族やチベット族、全部を救いたいが個人では無理だ。
ジェノサイドは動物から人間に移行する。狂った指導者の元、いつも弱い者が犠牲になる。
「恭司はとりあえず、国内の動物虐待動画制作に関わるグループを壊滅させるのが仕事だ。
日本は法がゆるゆるだから、奴ら舐めている。
金網デスマッチの参加者や事前のチケット購入者に名前のわかっている奴らがいる。
俺はそいつらを拷問して殺す。」
神谷の叔父貴は言った。
ギニアから古い友人が訪ねてくるからよろしく、と頼まれている。
叔父貴はC国から帰国途中だ。C国で動物愛護法の厳格化を働きかけて来た。いくら叔父貴と言えども、ただのヤクザには隣国を動かす事は、一朝一夕には難しい。やっと犬猫食の禁止法を取り付けた。
C国内で動画制作が厳しくなった奴らは、日本に来ているという。
「ギニア人のグレースに会ってくれ。
彼女は力を持っている。シャーマンなんだ。」
叔父貴に託されて初めてグレースに会った。
組の若いもんは一目でグレースに心を開いた。不思議な暖かさのある女性だった。
本人の希望で、金網デスマッチの会場にお連れした。
「お疲れじゃないですか?」
主催者のテツが挨拶に来た。
「ああ、テツ。ジョーから聞いてますよ。
あなた強いのね。今日は全く負ける目はないわ。
このリングには死の匂いが充満している。
いいわ、ジャーが許すと言ってる。
日本の戦士、思い切り闘いなさい。」
グレースのゆったりした物言いに、みんな妙に安心感を持った。
テツの仲間たちもたくさんの入れ墨を入れている。近くにいたシドが呼ばれて
「あなたたち、綺麗なタトゥーを入れてるわね。
私もギニアでは彫り師なのよ。」
黒い肌に不思議なタトゥーの入った腕を見せてくれた。みんなでしばらく、入れ墨談義に花が咲いた。みんなリラックスしている。
グレースの持つ不思議な力、だった。
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