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第26話 凶器
「凶器は反則じゃねえのかよ!」
レフェリーのソードは笑って
「ハ? 何イッテンノ?
ボク、ニホンゴワカリマセン。」
「そんな奴、レフェリーにすんなよ。」
次の対戦は、洋介と はなかつを、だ。
ふざけた名前の男だが油断は出来ない。
はなかつを、と名乗った男はひょろっとして細い身体のどこにも殺気がない。
S会きってのイケメン、洋介は、やっぱり細身でスマートすぎる。だが、恭司が選んだ男だ。
何か得意技があるんだろう。
「ククリなんてあんなの有りかよ。」
「兄さん、なんで はなかつを、って言うの?」
コイツは猫虐殺の常習犯だった。
いつも鰹節を持っていて猫をおびき寄せては残虐な行為を繰り返していた。
恭司からは
「殺っちまってもいいからな。」
洋介はそう言われていたが、正攻法で戦うと決めていた。親から受け継いだ示念流殺法のただ一人の後継者なのだ。剣術ではない。
素手で命を断つ。日本に伝わる必殺術なのだ。
それを知るのは神谷の叔父貴と恭司だけだ。
洋介は父から引き継いだ日本最古の格闘術、
示念流殺法で、今日、人殺しになる覚悟だ。
はなかつを、がヘラヘラとリングの中を歩き回る。ひとりごとか、何かをしゃべり続けている。
「猫を殺すのはおもしろいんだよ。
生意気に逃げ回るんだ。怖がるんだよ。
もっと怖がれ,って追いかけ回すのは楽しいよ。
手足を切るのもいい。縛ってぶら下げるのもゾクゾクするんだよ。」
洋介は笑って
「ありがと。君に何をしてあげたらいいか、本人からのリクエスト、承りました。
お望み通り、やりますね。」
言い終わらないうちに,はなかつを、の足が縛り上げられて高い位置のクレーンにぶら下がった。特別あつらえの強力なテグスだ。
細くて、とても強い糸で、はなかつを、の足がぐるぐる巻きになっている。
食い込んだ足首から血が滴り落ちている。自重でどんどん足に食い込む。
「こんなの反則だろ!」
「猫も反則だって言ってたよ。」
手足を縛ってぶら下げてできれば一晩放っておきたいが、次の試合がある。
レフェリーが渋々
「ヨウスケサン、残念ナガラ、アナタ、反則負ケデス。」
本当に残念そうだった。はなかつを、の糸を切ってリングに叩き落とした。
「まあ、いいか。
猫たちの恨み、晴らしに行きますから。」
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