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第31話 乱闘そしていなくなる
ゴングの音も待ち切れず、気の強い観客選抜チームは、リングに上がって乱闘になった。
レフェリーのソードはおもしろそうに眺めている。
5対5のバトルロイヤルが入り乱れて乱闘だ。
もはや、敵も味方もない。
こっちの極道とプロレスラーの寄せ集めチームには、シドが飛び入りで参加した。
テツと拳太、リベンジの洋介、鷹旗信治、そしてシド、だ。
観客チームは、柴木と楊と徐、そして不気味な人民服の男が二人。張と丙。
「何でC国人ばかりなんだ?」
「楊と徐が連れて来たんだ。」
とんでもない奴らだった。入り乱れてのバトルで反則なんか気にしない汚い技の連続だった。
張は喉ばかり狙うチョーク攻撃の卑怯者だ。
丙はローブロー、金的を狙う。
そして張と丙は、二人で組んでサミング、目を狙ってくる。
柴木はあまりの汚い試合に呆れてタッチもしないでロープの外にいた。
(俺は格闘家だ。汚い事は嫌だ。
こいつらと組みたくねぇ。)
それでもテツと拳太は正統派の技を繰り出した。奴が手に隠しているものを蹴りではらった。
細い針金。巻き取って奥歯に隠している。
形状記憶合金で伸ばすと固くなる。真っ直ぐに目を狙う。
「気持ち悪い物を口から出したぞ。」
細い物の扱いは得意の洋介が奪い取って首を絞めた。ソードが
「ノーノー、ワン、ツー」
5カウントを始めた。洋介はサッと手を離す。
絶妙なタイミングでまた喉を狙う。
「俺に反則させないでくれよ。」
低い声で言う洋介は、相手を恐れさせた。
楊は鷹旗を後ろから羽交締めにして、徐が喉を狙う。二人がかりで汚い。すかさずシドが助ける。
喉の柔らかいところはダメージが大きい。
シドの蹴りで徐が吹っ飛ぶ。
楊は手に持った小さな針で鷹旗を狙ったのだ。
楊も徐もカンフーをやると言ったが大した事はなかった。凶器を忍ばせて二人でかかってくるのが彼らの技(?)だった。
格闘技を舐め切っている。鷹旗が何かに気付いた。
「シド?おまえ、ケンカ上等、のシドか?」
「ガキの頃の話ですよ。」
「今だってガキじゃねえかよ。」
暴走族だった頃の事だった。組にゲソ入れてからは、そんな話は恥だ、と思っている。
海沿いの町で、負け知らずと言われていた。
高校も辞めてイキっていた頃だ。
鷹旗はシドの噂を知っていた。
「C国人たち汚い手を使いやがる。
俺を本気にさせるなよ。」
シドはめっぽう強かった。楊と徐は大した事はない。目潰しと喉の攻撃を封じたら何も出来なくなぅた。シドは情け容赦無く、たたき潰す。
つま先の蹴りは反則だから、膝を入れて相手の息の根を止める。
「ぐうっ…。」
崩れ落ちた楊と徐、二人仕留めた。
「俺たちの出番がなくなった。」
テツと拳太は笑って見ている。レフェリーのソードもつられて笑った。
洋介と鷹旗はそれぞれ張と丙と組み合っている。C国人の汚い組み手は反則攻撃ばかりだった。
「おまえら、喉と目と金的ばかりだなぁ!」
柴木はやる気を無くして
「シド、今度タイマン張ろうぜ。」
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