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第37話 ステゴロ

 シドは、神谷の叔父貴の暗殺部隊を知らされていない。別動隊があるのは薄々気づいてはいたが、具体的な仕事は知らなかった。  ヤクザになったからには、切った張ったの出入りがあるのは覚悟の上だったが、始末屋とか掃除屋とかの存在を知ったのは、金網デスマッチの時だった。具体的な事は知らされていない。死人を片付ける仕事とだけ。  シドは恭司さんを尊敬している。若い頃から何かにつけてシドを助けてくれた。  単車が好きで一人で走っていた頃、因縁をつけてくる族がいた。つるんでないと突っ張れない田舎のガキの集団。いつもビーチロードを走っている迷惑集団。  ある時、シドが囲まれて10数人を相手に、殴り合いが始まった。  海水浴シーズンの前で、海の家を建てる準備に若いもんと来ていた恭司が、それを見ていた。  田舎ヤクザはテキヤの仕事もする。 「なんだよ、こっちはひとりかよ。 おまえら、恥ずかしいな。」 黙って眺めていた恭司が立ち上がった。  地元でいつもつるんで悪さをしていた輩。 「上総連合だ。文句あんのか?」  恭司は笑って殴り合いに参加した。  ボロボロになっていてもまだ立ち上がるシドの助っ人に入ってくれたらしい。 「頼んでねえよ。」  突っ張るシドはもうヨレヨレだ。 「何だよ、おっさん。ガキのケンカに一人で混ざるんか? いい度胸だな。読経は寺でやれよ。 あ、今の上手い? 俺のリリック、冴えてるじゃん。」  ラッパーを気取る上総連合の小野って奴だった。言い終わるのを待って恭司の正拳が一発顔面に入った。  鼻血を撒き散らす頭の小野を見て、イキッた連中が一斉に飛びかかってきた。  組の若いもんが 「恭司さんにステゴロかますとはいい度胸はそっちだよ。このクソラッパー!」 「近頃のガキ,タイマン張れねえのかよ。 みんなでやれば怖くないってか?」  恭司一人で連中を片付けた。 「マジもんのヤクザに喧嘩売ったの、わかってる? S会、永田組だ。」 「えっ?やべえ!」 「てめえら、ペテンの下げ方も知らねえのか?」 「すみませんでした。 S会なら、俺たちもお世話になっています。  俺たちのケジメでエンコ飛ばしますから。」 「いらねえよ。テメェらの汚ねえ小指なんか。」   恭司はシドの肩を組んで 「こいつは今から俺の弟だから。覚えておけよ!」  名前も知らないのに弟か? 「シドって言います。山岡士堂。」

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