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Ⅱ 再会

「エド!」  キョロキョロとブースを探していたらしいユリウスがエドウィンに気づき、真っすぐに向かってきた。近づくにつれて彼の顔に自然と笑みが浮かぶ。 「エド、久しぶりだな。会いたかった……!!」 「お久しぶりです、ユリウスさん……わ!? ユ、ユリウスさん!?」  ユリウスが思わずぎゅっと抱き締め、それと同時に周囲で『キャー!!』という女子たちの黄色い悲鳴が起こり、エドウィンが驚きながらも不思議に思った、そのとき、 「んっんー!」 とユリウスの傍にいたクラリッサがわざとらしく咳払いしたことで彼は我に返った。 「ああ、紹介しよう。こちらは私の8歳下の妹、クラリッサだ」 「クラリッサです。クララと呼んでください。よろしく、エドウィン」 「エドウィンです。よろしく。俺のこともエド、って呼んで下さい。妹のマリルーを紹介したいけど……」  笑顔で握手した後にエドウィンが振り返ると、ブースには数人の客が並んでいた。 「……今はちょっと忙しいみたい。とりあえず三人で見てまわりましょうか?」  エドウィンの提案に兄妹は頷いた。  それから、エドウィンはユリウス・クラリッサ兄妹とともに、賑やかな模擬店が並ぶ通りを歩き回った。流行りのタピオカドリンクを買い、チュロスを食べ歩きしながら、様々な催しを観てまわる。クラリッサは見るものすべてに興味を示し、 「あれは何?」 とか、 「あっちも面白そう!」 と目を輝かせながら学園祭を満喫していた。ユリウスはそんな妹の自由奔放さに呆れつつも、エドウィンと肩が触れ合う距離で歩けるこの状況に、密かな幸福感を噛み締めていた。エドウィンが時折、無防備に向ける笑顔に、彼の心臓は何度も跳ね上がった。 「わあ、二人とも見て! あそこのゲーム、面白そう!」  そんな中でクラリッサは人がごった返す一角を指差した。見ると、ターゲットに当たると景品がもらえる射的や輪投げなどの屋台が並んでいる。 「順番が来るまで時間がかかると思うけど、並びますか?」  エドウィンが聞くとクラリッサは少し不満そうにしながらも好奇心には勝てなかったのか頷いた。  そのとき、威勢のいい掛け声が聞こえ、応援団のパレードが三人のいる方に向かって行進してくるのが見えた。パレードの隊列が目の前を通り過ぎる轟音と熱気が辺りを包み込み、通路にいた観客がわらわらと脇へ避けた一時的な混乱で三人は人の波に押され、他の二人を見失ってしまう。  十数秒後。パレードが過ぎ去り、再び視界が開けた。だが…… 「クララ?」  ユリウスが周囲を見回すが、そこに妹の姿はなかった。そして彼は地面にあるものを見つける。 「これは……クララのスマホ……クララ!!」  ユリウスはスマホを拾い、半ば叫ぶように妹の名前を呼ぶ。 「落ち着いてください、ユリウスさん。クララさんは小さな子供ではありません。学内放送で呼びかけてもらいましょう」 「あ、ああ。そうだな」  今にも駆け出さんばかりのユリウスにエドウィンが冷静に提案すると、彼は多少の落ち着きを取り戻し、頷いた。 「今から俺は放送室に向かります。ユリウスさん、あなたは彼女が自力で戻ることも考えて焼き菓子ブースで待っていて下さい」 「わ、わかった」  ユリウスは動揺しながらもエドウィンの指示通りフードコートへと足を向ける。次にエドウィンはスマホを取り出した。 Edwin:ユリウスさんの妹が迷子になった。今から彼がそちらに向かうから、ブースで待機してもらってくれ。俺は学内放送をかけてもらう。彼女が戻ったらすぐに連絡を  エドウィンはマリルーにラインすると放送室へ向かって駆け出した。  エドウィンは放送室に着くと事情を説明し、学内放送を頼んだ。 『えー…皆様にお知らせします。ただいま、学園祭に来場中の15歳の少女、クラリッサさんが行方不明になっています。オリーブ色のワンピースを着ています。お心当たりの方は、スタッフまたは本部までご連絡ください。また、クラリッサさんご本人がこの放送を聞いていたら、フードコートのカフェ“ルビー”の焼き菓子ブースにお越し下さい。お連れ様がお待ちです』  スタッフが放送を終えるとエドウィンは礼を言って放送室を後にした。

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