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Ⅵ 図書館
エドウィンとマリルーは駐車場に戻ってきたが、車に乗り込むとマリルーはエドウィンを見た。
「このまま帰るつもり?」
「いや。大学の図書館に寄ろう。過去の新聞記事にゴーストの関与した事件が載っているかもしれない」
「私もそう思っていたところよ」
二人は口端を上げて微笑み合うと、大学へと車を走らせた。
「おっ、エド。お前も勉強しに来たのか?」
二人が大学の図書館に入ると、エドウィンは友達のライリーとバッタリ出くわした。
「ライリー。今は勉強しに来たわけじゃ……」
「そちらは……お姉さんか?」
エドウィンが言いかけると、ライリーは彼とマリルーの面差しが似ていることから、そう尋ねた。
「いや、双子の妹、マリルーだよ」
「双子! へえー、道理で似てると思ったよ。俺、経済学部のライリーっていうんだ。ヨロシクな」
そう言ってニカッと笑ったので、マリルーも笑みを浮かべて、
「よろしく、ライリー。マリルーよ。ルーでいいわ」
と答えた。
「……ところで俺、今から自販機ラウンジで休憩しようと思ってたんだが、一緒にどうだよ?」
ライリーの提案にエドウィンとマリルーは顔を見合わせた。帰宅しようとしたところでユリウスから電話が来たため、数時間何も口にしていなかった。
「……ああ、そうだな。せっかくだからつきあうよ」
エドウィンが答え、マリルーも一緒に少し休憩することにした。
「夏休み中に金を稼ぎたいが、いいバイトがねえんだよなー」
図書館内にある自販機ラウンジのキューブスツールに腰掛け、缶コーヒーを片手にライリーが溜息交じりに零す。
「エド、お前は夏休み、何すんの?」
エドウィンはライリーに話題を振られて、数日前のユリウスとの会話を思い出した。
「……ああ、俺とルーは、ヴァルム・コンツェルンの保有するリゾートホテルでバイトする予定なんだ」
既にその話はマリルーにもしており、彼女も一緒に働くことになっていた。
「ヴァルム・コンツェルンだって!? すげぇ! リゾートバイトは生活費も浮くし、割良いって聞くしな! まだ募集してんのか?」
「……それが、知人のツテで採用してもらったから、今も募集しているかどうかわからないんだ。もしやる気があるなら、お前のこと、話してみようか?」
ライリーが身を乗り出して聞いてきたので、エドウィンは些か戸惑ったものの、とりあえずそう答えた。
「なあんだ、そうなのかよ。なら頼む、絶対に雇ってもらってくれ! コネがあるなら使わなきゃ損だろ!」
ライリーの言い分に双子は苦笑したが、彼の包み隠さぬ物言いに好感を覚え、頼みを引き受けたのだった。
コーヒーブレイクの後、ライリーと別れたエドウィンとマリルーが協力してゴーストの関与した事件を調べた結果、彼らが常に警備を引き離すための偽の通報を行っていたことがわかった。該当する記事をすべてスマホで撮影し、ユリウスに送信する。
「……よし。今日のところはここまでだ。ハーバータウンに帰ろう」
「そうね」
二人は頷き合って図書館を後にした。
「……母さん、ドリアを作ったから、早く帰ってきなさいって」
帰りの車の中でマリルーがLINEを確認して、言った。少し遅くなるとは連絡していたものの、辺りはすっかり暗い。
「あと二十分ほどで着くって伝えてくれないか?」
「OK」
マリルーは母にLINEを送り、二人は食卓の温かいドリアを想像して幸せな気分になった。
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