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(13)忍び寄るヘビ
「 あれ?佐藤君髪染めたの? へー、なんか雰囲気変わったねー! 」
「 あ、ほんとだ!なになに、彼女でも作る気になったわけ?」
「癖毛だったんだ~。ふわふわだね 」
不意に手が伸びてきたから、僕はさっと後ずさった。
「あれ、なんだか誰かに似てない?……あ、ほらコタツにゃんこのぬいぐみ!? 」
「 それ猫だから!! しかもぬいぐるみって!!(笑)~~!!」
月曜日の遅番出勤をした途端、若い女の子達に捕まった。
コタツにゃんこ……あれ雄猫でしたかね?僕も好きだからいいけど。
二人は勝手なこと言って、去っていった。
……ふう。女性パワーはすごいなぁ。
あのパワーがあるから母も僕を育ててくれたんだなーと感心する。
「瑠衣、お前もう変装やめろよ。可愛い頭が禿げたら困る! 」
別れ際、龍さんにお願い?された。
結局、職場前で回収されてから日曜日の夜まで、(リアルアルファ)龍さんと過ごしたのだけれど…… 。
食事や睡眠(僕がいっちゃって気絶した)の他はほぼイチャコラしていた…… 。
ラブホに寿司屋の出前とれるんですね。知りませんでした。
僕は龍神の額に、龍さんの育ての親が若頭として所属する組の代紋が刻まれていたのを知らなかった。
すごく素敵な模様だと思ってたんだよね。
龍神の顔は位置的に左側の腰骨からおヘソの手間にあるから見下ろせるんだけど…… 。
僕はナルシストじゃないから毎日じっくり観察しないと言った。
「 まあ、じっくり見ていいのは俺だけだからな ‼︎ 」
絶対他人に見せるんじゃないぞと念を押されました。
「 龍さん、僕は温泉やプールは出禁なんだよ。 民衆の娯楽を捨てる覚悟で刺青を入れてお守りにしたんだから、心配は無用だよ ~」
笑ったら、抱きしめられた。
えへへ、幸せ…… 。
龍さんが僕のことを尊重してくれて、それ以上刺青についての追及がないのはありがたかった。
今は二人でいる幸せに浸っていたい…… 。
おっと、二人でしたあれやこれや思い出してヨダレが垂れちゃったよ~恥ずかしい~。
変装はゲイバレ防御結界だと説明しだけど、絡まれたら恋人がいると宣言しろと一蹴された。
メガネとカラコンは死守したよ。
イメチェンが劇的だと注目を浴びすぎて対処しきれないからね。
カツラなしは蒸れて痒くならないから助かるよ~。
どうやら危惧していたほどの関心もひかずホッとした。
数少ない男性の土井さんにはお昼に会えて、
「イメチェン大成功だね。好きな人でもできたのかな? 」
優しい笑顔でツッコミきましたよ。
僕が最近通信アプリを始めてから、ニヤニヤしてスマホをいじってたのに気づいていたとの事。
はい、その通りです。
龍さんとラブラブな?やり取りしていました!幸せですんません!!
「じつは、一目惚れした人と付き合うことになったんですよ~ 。その人にイメチェン勧められちゃって 」
えへへ、土井さんに報告しちゃいました!
「おつかれ様~。土井君、佐藤君。今日からうちのユニットで働く鈴木さんよ。ベテランだけど、この施設になれるよう教えてあげてね 」
休憩室に気のいいおばちゃんの相沢さんがやってきた。
横にはアラサーの巨乳でなんだか色気ムンムンな感じの女性が立っている。
「 今日からこちらでお世話になります、鈴木 洋子です。ご指導よろしくお願いしますね 」
ハキハキと言うより、若干お色気気味の口調で挨拶されました。
かなりきついお化粧しているのは、有料老人ホームで働いていたせいかも。
有料老人ホームは以前、短期間派遣されたことがある。お金持ちばかりだから、身だしなみやマナーにとても厳しい所だったなぁ。
僕のカツラとメガネが田舎臭くて気に入らないと入居してるマダムからクレームがきた。不快にさせるのは申し訳ないから派遣先を変えてもらった。
この特養老人ホームは、介護度が高い入居者さんが多いから、入浴介助や身体介助で汗だくになる。お化粧がはげちゃうだろうなぁ。
「 佐藤君髪染めたの?珍しいわね~ 」
相沢さん気づいてましたか。
「 佐藤君の彼女さんのアドバイスだそうですよ。羨ましいですね 」
土井さん、宣伝ありがとう。
「 佐藤君彼女できたの⁉︎ 誰?何歳?この施設の人⁉︎ 教えて! 」
相沢さんの食いつきに僕らはびっくり。
温和なおばちゃんも他人の恋愛には敏感なのかな?
先週は貧乏でモテない発言してたからな~。驚くよね。
「 まあまあ相沢さん、それプライバシーに関する情報ですから 」
土井さんが取りなす。
「 へへへ。ここの人ではないですよ。年上の人です 」
これ以上は内緒だけどね。
あとは年上のOLさんでも想像して欲しい。
龍さんは26歳で市内の食品卸会社で働くサラリーマンだと昨日知ったばかりだ。
名刺もゲットしたぜ‼︎ 商品管理部の係長だって!
高卒だから年数で役職ついただけだ、と謙遜する龍さんもカッコいいです ‼︎
は~僕の彼氏がカッコ良すぎてツライ。うそです ! ちょっと言ってみたかったんだ~。
「よ、よかったわぁ!ほら、佐藤君てば、お母さん亡くなってからひとりで頑張ってたでしょう?心配してたのよ 」
それも個人情報バリバリだが、おばちゃんの優しさ( 別名=余計なお世話 )発動 は、お袋さん気質だから仕方がないかな、と周りは受け止めている。
僕と土井さんはから笑いでその場を流した。
土井さんは人手不足気味の職場だから即戦力はありがたいね、とホッとしていた。
土井さんは靴下や雑巾投げる女子社員はもう移動したから、派遣期間を更新するつもりだと教えてくれた。
僕も今月中に年明けの更新をするか返事をしなきゃなぁ。
シフト制だから、龍さんとすれ違いがつらい。
昼間だけのデイサービスにしようかなぁ。
でも、今この施設の人達は基本良い人間だからなぁ。迷ってしまう。
僕が施設内にヘビがいる事に気づいたのは、数日後のことだった。
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