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(16) 囲い込む龍

僕は母が亡くなってから、一度東京に引っ越してみようかなと考えたことがある。 誰も僕を知らない場所で、生きてみるのもいいかな~なんて。 今の職場で仕事を覚えて、旅費を貯めて東京見物に行って来ました!結果、ぼ、僕には朝の通勤ラッシュ無理~ !!でした。 田んぼ道メインの自転車通学、通勤しか経験のない僕。 駅の地下改札口から湧き出てくる人人人と二酸化炭素に、僕はめまいがして通路の壁に貼り付いて、流れに乗れませんでした。 都会のみなさんの通勤、通学のじゃましてすいませんでしたぁ! でもなんとかアニ◯イト見たり、ハトバス乗ったり、浅草見学堪能しました。 それに僕、東北のこの町でも友達いない事に気づいたよ…… 。 高校の生徒会長がなかなかのイケメンで、女子が騒いでいたからふと眺めていたら、副会長と目があったことがあった。 その副会長とトイレで鉢合わせした時に、 「彼は俺のものだからあげないよ 」 とささやかれて僕は心底震え上がった。 あの一瞬で僕が生徒会長を邪な目で眺めてると感じ取ったんだよ! ごめんなさ~い! もう二度と生徒会長見ないから許して~(泣) 教室の隅っこにゲイバレ回避結界張って暮らしていたよ。 高校生の時はバイトと看病で行けなかったけれど、ここは海沿いのユメマッセでもコミケやってます! 大人のおもちゃの店『淫魔の森 』に行く野望は果たしたから、今度はコミケに行ってみるぞ !! ハードルが下がった気がするけど気のせいかな…… ? また変装しないと。 初冬に入ってから東北地方も雪がちらつく日が増え始めた。 積もるほどじゃないけど、自転車通勤には辛い季節だ。 龍さんが僕を車で連れて行った家は、数年前の東北地方を襲った地震で津波に襲われた場所にあった。 僕が現在住んでるボロアパートからは2キロしか離れていない。僕がアパートに住み始めたのは母の死後だから、2年未満だ。 そこは自動車の整備、解体の工場兼住宅だった。 津波に襲われ、1階部分の工場は被害にあったが、建物自体は無事だった。 「2階と3階の住居をリフォームして住もうかと思う」 住居部分はかなり年季が入っていた。 「 龍さん、ここ買ったの? 」 購入してリフォームまでしたらえらい出費になる。 「 俺が同棲すると伝えたら|義父《おやじ》がここを使えと言ってくれた。お前がここに住むということは、義父やそれに付随するなにがしかに付き合っていく事になる。それは覚悟して欲しい。瑠衣、それでも俺と一緒に暮らしてくれるか? 」 「 僕と同棲して龍さんが恥ずかしい思いをするのは嫌だよ? それでもいいの ?」 「そんなことにはならないし、俺はもう覚悟を決めてる。あとはお前が決めるだけだ 」 龍さんの声から緊張が伝わってきた。 龍さんと一緒にいたいなら、いずれは龍さんの世界を受け入れてなくてはならないと思っていた。 僕の過去が龍さんの人生と関わりがあったのは偶然だけど、入れ墨の龍神が二人を巡り合わせてくれたのかもしれない。 「 僕も龍さんと暮らしたい。リフォーム費用僕にも負担させてください 」 よろしくお願いしますと頭を下げると、本当に息が出来なくなるくらいに龍さんに抱きしめられた。 く、くるしい~…… けどしあわせでしゅ…… い、息が…… 。ギブ、ギブ~ !! 早速今夜龍さんのお義父さんとお食事することになりました。 け、計画的はんこう~ !? 2階のベランダは工場の屋根の上らしく、20坪以上ありそうで、僕はバーベキューやガーデニングができそうだね~とはしゃいでしまったよ~。 「意外にアウトドア派か?」 龍さんが笑いながら尋ねてきた。 「 違うよ~。僕は年金もらうようになったら、山の|麓《ふもと》に小さい小屋建てて、自給自足して暮らそうと思ってたんだよ~ 」 「…… お前の人生設計はお一人様路線前提なんだな…… 。修正しなきゃならねぇな…… 」 なんだか 龍さんがつぶやいていたよ。 リフォームプランは知り合いの工務店の若旦那にお任せしてるから、希望があれば次回の打ち合わせまで龍さんが伝える事になった。僕も次回は参加するよ~。 龍さんは狭いのは息がつまる為、広々していて、3階は龍さんと僕だけのプライベート空間で、2階に客室を作れとだけ言ってあるそうだ。ざ、ざっぱだなぁ~。 買い物には、龍さんは革ジャンにジーンズ、サングラス。 僕はダウンジャケット、ジーンズ、ニット帽、カラコン、伊達眼鏡で変装して出掛けました。 イ◯ンのおもちゃ屋さんにコタツにゃんこのぬいぐるみを見に行ってみたけど、正直どれが僕に似てるのかわからなかった。 超デカサイズはアパートに置けないから、ミニサイズ(30センチ)を5種類全部買っちゃったよ、龍さんてば! サバにゃん、可愛いけど、目つき悪…… 。ちょっと龍さんに似てるかも…… 。 ちょっとおデブちゃんだよね。 龍さんはシックスパックでカッコいいからなぁ。へへへ。 メインクーンのメイにゃん、長いしっぽモフモフサイコー‼︎ 子猫のチャトにゃん、かわいいにも程があるぞ ‼︎ それ リアルチートですか⁉︎ スコティッシュフォールドのスコにゃんと、メイにゃんは、僕と同じ琥珀の瞳なんだね。 仲間がいたよ~。どちらかかなぁ?僕に似てるのは…… 。 一個ずつ僕が抱っこしてる写真を撮り、どれが似てるから詳しく精査するんだそうだよ。そ、そこまでしなくても…… 。 龍さんにお義父さんから電話がきた際、僕はトイレに行くと告げてその場を離れた。 トイレの個室から、昔、母子共々お世話になった弁護士に電話をした。 加藤弁護士はすぐにでてくれた。 「 もしもし。ご無沙汰しております。佐藤瑠衣です 」 「 瑠衣君かい?久しぶりだな!元気かい?もしかしていい知らせかな? 」 「はい、この度結婚したいと考えてる人が出来ましたので、お預けしていたものを用意していただけますか? 」 僕も男としてビシッと決めなくてはならない時がきたぞ ‼︎

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