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(24 )土び井ー解放 !

僕が龍さんと運命的な? 出会いをして、入籍してめでたしめでたしとなるには、まだまだクリアしなくてはならない事が沢山あると思っていた。 でもその為に土井さんを犠牲にするなんて考えてもいなかった。 病院には龍さんと僕が乗ったワンボックスと、土井さんが乗ったもう一台だけが到着した。 繁華街から少し外れのお洒落な外見の雑居ビルの裏口から、エレベーターで目立たぬように運び込まれた。 6階の 「 山本ビュティークリニック 」のスタッフ用玄関から入り、看護師に案内されて奥まった診察室に入る。 土井さんはCT撮影の為別室へ運ばれていった。 龍さんは二人きりになるなり僕を診療ベッドに座らせて、怪我の具合を見せろと脱がしにかかってきたよ! 「山本先生はまだあっちで処置してるから服脱いでろ。腕蹴られてたろ? 」 ジャンパーの袖をそっと抜いてみたけど、左腕がズキッと痛んで僕は顔をしかめちゃったよ。 ニットを脱がせ僕の腕が赤黒くなっているのをみた龍さんは、 「 あいつ殺してやる 」 と、ドスの効いた口調で言うから慌てて止めたよ~! 目つきが猟犬になってる~。 「 龍さん、見かけより痛くないから! 殺しちゃダメだよ⁉︎ 」 新婚生活が獄中生活になっちゃうよ! ダメダメ~! ラブラブいちゃいちゃタイム絶対死守~‼︎ 龍さんの怒りを抑えようと背中を片手で撫で撫で~どうどう~。 眉間のシワ浅くなってきた~ふぅ~。 ドアがノックされて、加藤弁護士が入って来た。 「遅くなりました。おや、龍さん気分が悪いんですか? 」 「 いや…… 」 「 瑠衣君、怪我をさせてしまい申し訳ありませんでした。あの女はあと30分から1時間後に到着すると予想してました。瑠衣君と私が去ってから龍さん達が彼らを拘束する計画だったのですよ 」 「 瑠衣が加藤さんと電話してる時、加藤さんの横に俺の|お義父《おやじ》がいたんだよ。あの女瑠衣に迫りやがって…… 」 ギリギリギリ…… 。 龍さん歯ぎしり怖い~。 どうどう、撫で撫で~…… 。 「 ……怒りをなだめてたんですね…… 」 加藤弁護士が呟く。 加藤弁護士がスマホを操作してボタンを押し、音量を上げると机に置いた。 スマホからヘビの声が聞こえてきた。誰かと話しているようだ。 「 …… もしもし。あたし。あのさー、すごくエロいタトゥー入れた若い男がいるのよ。そいつムカつくからハメ撮り配信してやろうかと思ってさー。…… そう。そう。わかった。今からそこに行くわ。クスリと拉致る道具用意しててよ。あ、おもちゃもいるし。……ぎゃはははっ。あんたも|犯す《やり》たいわけ?……マジ変態じゃん‼︎ 」 ガサゴソ雑音が入るのは着替えでもしているのか? 「…… あ、撮影したら、男はあの変態オヤジに売っでもいいかも。顔は結構キレイだからさー。まあ、あのオヤジは男のちんこしゃぶれたらなんだっていいんだろうけどさ~ぎゃはははは~ 。じゃ、後で! 」 スマホの再生を止めて、青ざめる僕に伝える。 「 この再生を聞いた若頭が、若い衆を応援によこしてくれました。龍さんも親の具合が悪いと早退させて、合流した次第です 」 ヘビは、僕が考えてた以上に|邪《よこしま》な大蛇だった。 加藤弁護士は続ける。 「あの二人は警察に渡してもすぐに出てきてまた悪事を働きそうですね。瑠衣君と同僚の方への償い…… まあ、慰謝料で誠意を見せていただいて、その後しばらくは海外で働いてもらうのがいいかと私は考えています 」 「 海外? 」 アメリカとかだろうか? 「 …… とある紳士が大きな船を持っていましてね。一年のほとんどをクルーズしています。コックやボーイの他にラウンジで紳士を和ますホステスを募集してまして。年に4回程南の島でバカンスもあるし、何より、お給料まるごと貯金出来ますからね。若い女性たちに人気なレア求人なんです 」 お金持ちの知り合いがいると、おいしい仕事があるんだな~。 てっきりボコボコにして身ぐるみ剥いで街から追放かと思ってたよ。 温情に溢れてるよね。僕、誤解していたよ~。 「 あの二人には、慰謝料を天引したお給料で働いてもらおうかと。男性はボーイでお願いしてみますよ。働きながら、バカンスを南の島で過ごせる。瑠衣君も安心ですよね? 」 加藤弁護士の素敵な笑顔決まりましたぁ! もちろん僕に異存はない。 それよりも心配なのは土井さんだ。 土井さんの血だらけで潰れていた顔を思い出し、涙が浮かんできた。 「 僕よりも、土井さんが顔や身体に怪我をしてしまって申し訳なくて…… 。あの時内緒の話がしたくて外の階段を使ったからあんな事に…… 。土井さんは僕が尊敬する先輩なんです! 顔がハリー◯ッターの屋敷しもべに顔がそっくりだから、土()井ーとか言われてて。その上女性職員に『土()井ー解放! 』と靴下や雑巾を投げつけられても怒らず、優しい人なんです! だから、だから ぼく…… 」 龍さんが下を向いて肩を震わせてるぞ? 加藤弁護士も何度も咳払いしている。 のどが痛くなったのかな? 「 屋敷しもべ…… 。久々に聞いたぞ…… 」 龍さんが呟く。 「…… わかりました。土井さんが安心して治療を受けて、早く回復するよう山本先生にお願いしますね。慰謝料の件も私に任せてください 」 加藤弁護士、頼もしい! 「 はい、よろしくお願いします! 」 「瑠衣、 加藤弁護士はやり手だから安心しろ 」 「うん、ありがとう龍さん。助けに来てくれて嬉しかったよ」 龍さんと僕は微笑みあった。 僕はその後、山本先生( 30歳過ぎのサーファー風イケメン)に診察もらい、湿布を貼り帰宅した。 龍さんは僕の腰の龍神を見せないように上半身だけ診察させた。 僕は明日土井さんのお見舞いに来ることになった。 土井さんは今夜は安静にしてもらうそうだ。 明日おいしいもの持ってくるからね~。 土井さんが屋敷しもべフェイスから解放されることになったのは、僕のせいだとはその時は知らなかった。 そしてあの暴漢が遠洋漁船の船員に、ヘビはその漁船の船員たちの性欲処理の為に雇われた事実を知るのは、まだ先のことだった。

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