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閑話 (1)彫り師 佐竹 明彦の初仕事
皆さまこんにちは。
東北一の繁華街の隅っこで刺青の彫り師をしている佐竹 明彦 (23)です。
おかげ様で今ではそこそこ名のしれた、人気彫り師に成長しました。
ひとえにこの街をまとめてる、龍青会の会長さんに取り立てていただいたおかげです。
俺のデザインは、代々佐竹家に引き継がれた伝統的な刺青に、オリジナルのデザインを混ぜた世界に通用する作品だと自負しています。
高校を卒業して親父の元で修行しながら、地元のデザイン専門学校で遊び……… 。いや、学びました。
後々は親父の跡を継いで、この街で彫り師として生計を立てて行きたいと考えた矢先、親父が体調を崩し入院してしまいました。
その頃、龍青会の組長だった大学さんから直々に依頼があり、なんでも組長|縁《ゆかり》のまだ高校生の男の子に刺青を施して欲しいとの事。
ビックリですよ。カタギの男子高校生ですよ!
一体なぜ !?もしや組長、姐さんに隠してその男子高校生と…… 。
いや、いや、なんでもありません。いや、なんも言ってないから !!
……… 俺だって命は惜しいので。
話は戻しますが、ともかく、親父は胃潰瘍でしばらく安静が必要な為依頼はこなせそうにありません。
旧友たっての頼みを断らざるを得ない親父は悔しそうでした。
いや、親父あんま気にすると胃潰瘍悪化するって。
ここはひとつ、俺の出番じゃないですかね⁉︎
世界に羽ばたく新進気鋭の彫り師、佐竹 明彦の出世作を彫らせていただきたい ‼︎
親父を説得し、組長にお願いに上がりました。
組長さんは俺が男子高校生と会って、彼にふさわしいデザインを作成し、本人が納得したら俺に彫るのを任せるとおっしゃってくれました。
後日、かの男子高校生が母親を伴って家を訪ねてきました。
…… はっきり言わしてもらっていいですかね?
組長、あんた面食いにも程がありますよ?
アイドルも真っ青の美少年じゃないですかい!
身長は160センチで低めだけどなよなよしてなくて、髪はつやっつやの栗色。
でかい目はうちの黒猫みたいな琥珀色していてややつり目気味。
唇もふっくらピンクですよ?
母親が日本人のせいか肌は白すぎず若い女の子が飛びつきそうなハーフの男の子だった。
居間で自己紹介を済ませ、出したお茶を皆ですすった後、本題に入りました。
男子高校生の名は佐藤 瑠衣君。
市内の商業高校の2年生で、帰宅部でバイトをしているとのこと。
普段はカツラか髪を黒く染めて、黒のカラコンと伊達眼鏡を装着してるそうだ。
ストーカー対策とのこと。
なるほどクソ羨ましいこってすな。
組長縁 の為、何故刺青を彫って欲しいのかは聞けないし。
自己満の追求か?ナルシス君なのか?
別室で実際にどこに刺青を彫って欲しいのか
服を脱いで確認をしました。
瑠衣君はボクサーパンツのみ残して服を脱ぎ、俺に背中を見せて腰の辺りに両手を這わせました。
「 腰を抱くように龍神を彫って欲しいのです 。顔は前にくるように 」
「 腰全体に?背中や腕ではなくて? お尻や腰にワンポイントじゃなくていいのかい? 」
聞いたことも見たこともない配置だった。
何故 ⁉︎ 俺の顔に疑問符が浮かんでたんでしょう。
瑠衣君は目を合わせてから、やがてボクサーパンツを脱いで説明をしてくれました。
「 これは他言無用でお願いします。僕は数年前に女のストーカーに襲われてこんな風に怪我をしました。その際組長には色々と助けていただきました。僕が組長の龍神の刺青に惚れ込み、僕にも龍神を守り神として授けて欲しいとわがままを言ったんです 」
彼のペニスは若々しさを冒とくするかのように奇妙に亀頭が抉れていました。
そして睾丸が半分切り取られて垂れ下がっていて、数年前の怪我とはいえ、見ていて痛々しい立ち姿でした。
…… ストーカー対策、モテてクソ羨ましいとか、刺青したいただの自己満野郎、ナルシス君かなんて考えてほんと悪かったよ…… 。
親子が帰ってから、俺はじっと机の前でインスピレーションが湧いてくるのを待った。
いや、もうすでにあの立ち姿が目に入った瞬間に、構想はほとんど出来上がっていたのだ。
後は紙に俺の脳みそん中の図柄を写し取るだけだ。
龍青会四方位の龍神以外である赤龍神を使えと組長からは予めいわれていた。
それをモチーフに、だが俺オリジナルのテーマも取り入れた世界にひとつだけの赤龍神を飛翔させてみせる!
ズバリテーマはエロスと威嚇。
赤龍神の額の代紋と憤怒の表情は何人を寄せ付けない一方で、エロスを醸し出している。
決して手に入らない麗人の腰にまとわりつき、見た者の脳裏から離れないはずだ。
この麗人は赤龍神と龍青会のものだから迂闊に手を出したら命はない、組長はそう伝えたいのだろう。
どんな経緯でこんな人生を選んだのかはわからないが、俺の世界観をデザインに込めて出世作にし、組長に認めてもらいたい。
完成したデザイン画を見た瑠衣君は、一目で気に入ってくれました。
彫る時は痛みがあっても決して弱音を吐かず頑張ってましたよ。
…… へっぴり腰かわいそうでしたね。
出来上がった赤龍神は、自分で言うのもなんですけど、天才的でしたね !!
天才的に美しくて、芸術的で …… エロ過ぎました。
やっべこれ。俺の女がこれ腰にまとっていて、野郎に見られたら間違いなく拉致られてそのまま離してもらえねぇわコレ。
でも仕方ない、組長と親父には写真を見せておかなくてはならない。
あれから3年。組長と親父にも腕を認めてもらい一人前の彫り師として生計を立てています。
一般人、果ては海外からも依頼を受けて時々海外出張もしています。
そうそう、昨日会長(元組長) からお電話を頂きました。
今月15日に俺が兄貴と慕ってる龍さんが嫁を連れて挨拶に来るとのこと。
皆で祝う際、初仕事の赤龍神のデザイン画を見たいそうだ。
なんと瑠衣君も出席するらしいです。
瑠衣君やはり会長の親戚だったんですね。
あの龍青会の影の猟犬と異名を持つ龍さんが嫁を娶った !!
相手は アマゾネス、いや、キャバ嬢ナンバーワンのあの女か⁉︎
龍さんは蓮さんの株投資で金唸るほど持ってるらしいしな。
…… 金大好きケバ嬢じゃなきゃいいけど。
かといって、一般人じゃなよっちくて龍さんの情婦 はつとまんないだろうしなぁ。
一体どんな相手だろう?
15日が楽しみです。
龍さん、俺もお祝いに駆けつけますからね!
待っててください!!
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