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(35) 成敗と花嫁修業
龍青会組長の大学さんはリビングの椅子に腰掛けて、事の発端は自分にあると説明してくれた。
龍さんから男の僕を嫁にしたと電話をもらった時、組長はクラブ『 胡蝶蘭 』の事務所にいた。
たまたま組長の愛人候補であるジーンズの娘が隣で聞いていて、組長にしつこく問いかけたから追い出した。
「 その後すぐテツに連絡したら、龍が少し前に調べた男の写真がある、と免許証の写メを送信してきた。アンタだった 。こいつはおそらくベッドで俺のスマホからその情報を盗んだんだろう 」
ギロリとジーンズの娘を睨む。
「 ひっ 」
リビングの床に正座させられた娘達3人の横に、いつのまにか蘭ママも来ていた。
豪華な着物で汚いフローリングに正座してる。
僕はつい、組長と同じダイニングの椅子を勧めちゃったよ。
蘭ママは丁寧に断わると、自分の目が行き届かず、僕に迷惑をかけてしまい申し訳なかったと詫びた。
ジーンズの娘は、キャバクラで働いてるレイに僕の事を話した。
レイさんは龍さんをずっと狙っていて、結婚したと知り一目見てやろうと2人に付き添いを頼んだそうだ。
勤めてる店には遅刻すると連絡を入れていた。
「 少しだけ文句を言って帰るつもりが、ドアから出てきたのがすごい美少年だから、レイがびっくりしてスタンガン握っちゃったんです。そしたら彼が気絶したんです」
ニットワンピースの娘が説明する。
パニックになりついここまで運んだものの、その先を考えておらず、相談してたら僕が目を覚ましてしまった。
僕がおしっこが漏れると焦るから、漏らされたらたまらないとトイレまで連れて行った。
「 トイレから声が聞こえたから覗いたらスマホを持ってたから、警察呼ばれたらマズイと取り上げようとしたら揉み合ってあんな事に…… 」
レイが震えながら締めた。
キャバメイクがハゲ始めてるよ…… 。
「……… 」
リビングが沈黙に包まれる。
「おい、おまえ達瑠衣のアレを見たな?」
龍さんの問いかけに3人は頷く。
「 あなた達、声に出して答えなさい! 」
蘭ママがピシリと声を放つ。
「 はい!見ました 」
「 はい、見てしまいました。すいません!」
「 はい、見ました。すいませんでした!」
娘達が答える。
組長が問いかけてきた。
「 おい、龍。瑠衣君のアレってなんだよ ?」
龍さんが唸るように明かす。
「 瑠衣の腰にあるものを見た女がいてな。ハメ撮りしてから瑠衣も売ろうとしやがった。その女はどうなったか知りたいか?グルだった野郎と一緒にマグロの社長に売ったよ 」
「 ひぃっ 」
娘達が悲鳴をあげる。
マグロ?マグロの遠洋漁船だよね。男の人は働くのわかるけど、女って?
「 鈴木さんはクルーズ好きのお金持ちの人が、ラウンジのホステスとして雇ったんじゃないの? 」
僕が龍さんに訊く。
「 マグロの社長だってクルーズしてるさ。ついでにマグロ釣るだけだ。海じゃ船乗りのちんこハメる仕事もホステスって言うらしいぜ 」
龍さんの笑顔が怖すぎる~。
娘達は顔面蒼白ですすり泣きを始めた。
蘭ママも諦めの表情だ。
龍青会の影の猟犬のモノを拉致したのだ。
龍さんの怒りも収まらないし、事実を話せば組長も龍さんのやる事を止めないだろう。
この娘達をなんとかしなくてはならない!
「 お前の嫁は何を持ってるんだ?」
組長は真実を知りたがっている。
僕は組長の正面に行き土下座した。
「 これから経緯を説明いたします。その上で、ひとつだけお願いをしたいのです 」
龍さんが声をかけるまもなく、僕は立ち上がってチノパンのボタンを外してボクサーパンツと一緒に膝まで下げた。
「 瑠衣 止めろ!」
上半身のニットも脱ぎ去り、真裸で組長の正面に立つ。
組長は目に鮮やかに飛び込んできた僕の腰の赤龍神の顔をじっと見つめた。
組長が立ち上がって僕の周りをゆっくりと周る。
視線は腰と臀部を巻くように飛ぶ赤龍神を這っている。
僕がチラリと後ろを見ると、娘達は怯えながらも僕の刺青を凝視していた。
組長の表情は厳しく、会長にとても似ている。
人差し指を龍神の額につけると、囁いた。
「 龍青会の代紋が彫ってある。お前は龍青会の何だ?このペニスのはなぜえぐれてる? 事故か?」
「 昔、女に怪我を負わされました。睾丸もその時潰されて手術で半分切除しました 。会長にはその件でお世話になり、僕がお願いして龍神の刺青を授けていただきました 」
龍さんが僕に服を渡して着るように促す。着終わるまで沈黙が続く。
「 この話は龍青会の四方龍神と、加藤弁護士、そして僕の配偶者、家族のみが知って良いと会長がお決めになりました 」
「 それで?なぜ俺は知らないんだ?」
「 おそらく龍さんと僕が挨拶に伺った際に、会長がお話をする予定なのかと思います。 」
「ふーん、で?部外者のあいつらはどうする、龍よ 」
僕は再び正座して頭を床につける。
「 組長、この娘達を僕に預けてくれませんか? 蘭ママにご教示いただきながら、龍青会の役に立つ女性に仕立てあげます 」
「 龍青会の役に立つ?組員の餌にでもする気か?」
組長の気を引いたようだ。
「 はい。ご褒美があれば、仕事もやりがいができるかと 」
僕が確信を持って頷く。
「 料理、家事全般、着付け、礼儀作法、全てを覚えてもらい、お知り合いの方々が皆欲しがる女性になりますよ! 」
クルリと振り向いて娘達に同意を求める。
「 マグロ漁船より、僕とお料理する方がいいよね?」
娘達が涙目で頷く。
「 お返事はどうしたの!」
蘭ママの喝が飛ぶ。
「 はい、よろしくお願いします!」
「はい。頑張りますのでよろしくお願いします!」
「 はい、死ぬ気で頑張ります! 」
組長はとりあえず、困った娘達を僕と蘭ママに預けてくれた。
組長は外にいた若い護衛と帰って行った。
帰り際に龍さんは組長に、
「 お前の嫁は食えないやつだな 」
と言われたそうだ 。
失礼しちゃうよね。
デリバリーピザを食べてから、娘達に蘭ママが喝を入れながらゴミ部屋を掃除した。
僕が手伝う間、龍さんを寝かせておいたよ。5時間後、僕は龍さんと帰った。
「 逃げても無駄だぞ 」
帰り際に龍さんが玄関ドアの前で
脅したら、娘達はまた泣き出した。
「 泣かせちゃダメっ!」
僕が怒ったら、龍さんは笑いながら僕を担いで行った。
僕が手を振ると娘達はキョトンとしてこちらを見ていた。
蘭ママの顔は安堵の表情に変わっていた。
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