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第18話 親になった日
「玲くん、さあ寝ようか」
「うん」
玲のベッドはセミダブル。子供は寝相が悪いから落ちないようにと大きめにしたのだ。なので二人で寝ても狭くはない。どころか、玲がぴったり抱きついた体勢なので余裕があるくらいだ。
「今日は疲れたでしょ。明日も儀式とかあって大変だからぐっすり眠ろうね」
「うん、お兄ちゃんと一緒だとよく眠れるよ」
「そっかぁ、ふふっおやすみ」
ここへ来てから毎晩祥吾の大きな胸に抱かれて眠る。今晩は反対に自分が抱きしめる立場。いつも幸せを感じているが、これもいい、また違った幸せを感じる。
やがてスヤスヤと寝付いた玲の小さな鼓動を感じながら結人も眠りについた。
「親父さんに挨拶は?」
「今日は着替えてからいく。母屋に姉貴も来てるだろ」
今日は儀式があるので三人共正装だ。燁子に着付けてもらうことになる。
母屋に行くと燁子ににこやかに迎えられる。
「おはよう、良く寝られたって感じね」
「ああ、こいつは甘えて結人と一緒に寝たぞ」
「まあ、そうなんだ。ふふっ……じゃあ、着替えましょうか。褌着けてきて。あっ、玲は私がしようか?」
「お兄ちゃんして」
「じゃあ、最初に玲くんのします」
躊躇なくすっ裸になった玲。子供だからなんのてらいもない。
結人自身褌はいつも祥吾がしてくれるけど、やり方は分かる多分だけど。意外と簡単に着けることが出来た。
「どお、締まり具合とか大丈夫かな?」
「うん、大丈夫だよ」
満面の笑顔。玲の褌姿は初めて見たが可愛い。やはり日本の子供だと思う。
「じゃあ、先に義姉さんのとこ行ってね。僕も後から行くから」
「お前のは俺がしてやる」
「玲くんのして分かったから自分で出来るよ」
「自分ではしにくいだろ」
「祥吾さん自分でするじゃん」
「お前してくれるか」
「……いやしないけど」
「……とにかくお前のは俺がする」
これ以上言い争っても仕方ないと結人が折れる。
「出来たぞ。締まり具合大丈夫だな」
「うん、……何?」
祥吾の視線に不穏なものを感じる。
「お前やっぱり褌似あうよ」
すかさずパンチをお見舞いする。少しは威力の増した猫パンチだけど、効き目はあんまりない。それどころか、褌姿の猫パンチは可愛い過ぎて祥吾の欲情を誘う。
なんだこいつは! 誘ってるのか! いやそれはないか……しかし押し倒したくなる。さすがにいかんな……祥吾は理性で熱を抑える。
こんな所で欲情する獣の相手は出来ないとばかりに、結人はさっさと移動する。
「あっ! 玲くん仕上がったね。うん、凛々しくてかっこいいよ!」
結人に手放しで褒められて、玲は満面の笑顔だ。
「じゃあ、結人さん着付けましょうね」
燁子に着付けてもらっていると祥吾もやってきて自分で着付けていく。ここは経験値の差。祥吾は自分で着られるのだ。
「さあ、できた! 祥吾もできたわね。うん、三人とも凛々しくていいわよ」
祥吾はさも当然とばかりの表情だが、結人は何となく気恥ずかしさを感じる。
「よし、じゃあ親父んとこ行くぞ」
祥吾を先頭に東吾の待つ部屋へと行くと、既に三角も待っている。
「おおっ、こうして見ると三人似合ってるぞ」
東吾の言葉に恐縮しながら結人は祥吾の隣に正座する。挨拶に来た時は祥吾もいつも正座。親子であっても会長に対する礼儀は心得ているのだと、一番最初の時感心した。今日は玲も神妙な顔つきで結人の隣に正座している。
「今日はこれから沢村が役場へ行き、養子縁組の届を出す。そして、祥吾と玲の親子固めの儀式だ。そうなれば、結人は祥吾の伴侶だから玲は結人の子でもある。玲、分るな」
「うん」
「玲くん、はいだよ」
結人が小声で言うと玲は素直に「はい」と言い直す。その光景に東吾は満足そうに頷く。他の三人も同じ心境だ。結人は親として大丈夫だと。
「よし、それではな、儀式が終わったら祥吾のことは父さん、結人のことは兄さんと呼ぶことは聞いているな」
玲が結人を見上げてから頷く。
「そして今の父さんと母さんは、伯父さんと伯母さんと、呼ぶことも大丈夫だな」
やはり玲が結人を見上げるので頷くと、「はい」としっかり応える。
この子はかしこい、未だ八歳の子供だがちゃんと理解していると結人は感心する。
「結人、お前も今後は玲と呼ぶことは大丈夫だな」
「はい、今日から改めます」
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