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第八章 二人の交叉

 衛は、大切にていねいに、早紀をその腕に抱いた。  合わせた肌を通して、心臓の鼓動を感じる。  喉を吸い、鎖骨を食み、じっくりと白い肌を撫でさすった。 「寒くないか?」 「あ、あぁ、ぅん……。ね、もっと……」  甘い早紀のささやきが、耳をくすぐる。  衛には、ためらいがあった。  なにせ、相手は18歳。  その年の差には、14年も開きがあるのだ。  しかし我慢を貫くには、早紀の体は蠱惑的すぎた。 「早紀……」  衛は、早紀を『早紀くん』ではなく『早紀』と呼んだ。  彼が、そう望んだように。  衛もまた、呼称を変えることで、心のけじめをつけていた。 「ん、ぁんッ!」  早紀は体を跳ね上げた。  衛が、早紀の胸の小さなピンク色にキスしたのだ。  乳輪を、たっぷりと唾液で濡らし、舌先で刷いた。  そのささやかな尖りを、唾液と一緒に強く吸った。  そのたびに早紀は甘い悲鳴を上げ、身をよじった。 「あぁ、んぁ、あ! はぁ、はぁ、ふッ、く。うぅう!」 「早紀、可愛いよ。感じてる?」 「はぁ、う。すっごく、感じ……ッん、うッ!」  埋もれていた小さな乳首は、その存在を増していた。  衛の舌で掘り起こされ、官能に花開いていた。  紅く染まったそれを、衛は緩く吸い、歯先で甘噛みし、唇の圧で挟み締めた。 「あぁあ、あ! やだ、ダメ。く、来る!」 「いいよ、イッても」  淡々と苛めてくる衛が、憎らしい。 「んあぁあ!」  大きく震え、早紀は精を吐いた。 「んぅ。んん、ん……」  余韻に浸る早紀を、衛は優しく撫でた。 「どうだ。もう、満足したか?」 「はぁ、うぅ……まだまだ……」  本当は、すでに腰が抜けるほどの快感を、衛にもらっていた。  彼のテクは、本物だ。  これまでの恋人ごっことは、決定的に違うのだ。 (胸、弄られただけで、こんな……)  それは、初めての経験だった。  セックスをしていても、自分を見失わない自信はあったのに。 「衛さん、ずるい」 「どうして」 「恋人とか……いるの?」  だから、こんなにエッチが上手なの?  その問いへの返事は、早紀を喜ばせた。 「恋人は、いないよ。どうしてかな、長続きしない」  いつも、恋人の方から離れていく。  告白は、相手から。  別れ話も、相手から。  そう、衛は早紀に語った。 「じゃあ、さ」  僕を、恋人にしてよ。  その無邪気な言葉は、衛の頬を緩めた。 「子どもは、恋人にはしないよ」 「僕、子どもじゃないって!」  証明してあげる、と早紀は大きく体をずらした。 「一体、何を……」  衛は、慌てた。  早紀は、彼の脚の間に潜り込み、その中心を手に取ったのだ。 「早紀、やめなさい」 「今度は僕が、衛さんにしてあげる」  止める間もなく、早紀は衛のペニスを咥え込んだ。  ぺろぺろと舐め、唾液で滑らかにしておいて、さらに喉奥へ送り込む。  その仕草がやけに慣れているので、衛は小さく唸った。  それが、早紀には嬉しかった。 「衛さん、感じる?」 「……学校で、何を習っていたんだ?」 「フェラの仕方」 「そのまま言うなよ」  やがて深く抜き差しを始めた早紀は、やけに艶めかしい表情になっていた。  眉をひそめ、唾液を流し、大きくて口に収まり切れない衛のものを愛する姿は、そそる。 (同級生の恋人でも、いたのかな)  そして、彼にもこんな行為を施していたのかと思うと……。 (ちょっと、妬けるな)  そんな考えが、あぶくのように自然に湧き、衛は慌てた。 (馬鹿を言うな。早紀はまだ、子どもじゃないか)  しかしそこにいるのは、子どもというにはあまりにもセクシャルな魅力に溢れているオメガだ。 「ストップ。早紀、ここまでだ」 「うぅ。どうしてぇ」  その眼差しは、眩んでいる。  衛は、彼の顔を両手のひらで挟み、自分から離した。 (この子は、大切にしなきゃいけない)  それが衛に残った、最後の理性だった。

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