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24#廃墟の熱② ※R
淫靡な下着の奥――欲情に震えるその場所は、ラスの指が触れる前からすでにたっぷりのゼリーで満たされ、軽く触れただけでぬちゃりと淫らな音を立てるほど、とろとろに解されきっていた。
いくら彼が行為に慣れていると言っても、これは。
「……こんなとこまで、〝下準備〟済か」
ラスは呆れを含んだ低い声で呟き、腕の中のフランを見下ろした。
セルジオにそのように命じられたのか、本気でスターリングに抱かれるつもりでいたのか、単に万一そうなった時の保険のつもりだったか――あるいは、最終的にこ う なることさえどこかで期待していたのか。
彼は〝商品〟として、その身に淫靡な衣装を纏うように、自らの肉体の内側にまで準備をきっちり施していたのだ。
フランは悪びれるどころか、まるで小さな悪戯がばれたような顔で、上目遣いにラスを見上げて小さく肩をすくめてみせる。そして、ラスの背中に回していた腕をゆっくりと解くと、自ら身体を反転させた。
カルテや備品の散乱するカウンターに両手をつき、ラスへ背を向けるような体勢をとったフランは、肩越しに振り返って、その蜂蜜色の瞳をふ、と挑発的に細める。
見つめるラスの眼前で、彼はゆっくりと食い込んだ下着の布地に指をかけた。
ずらされた下着の隙間から、透明な蜜をたっぷりと湛えた窄まりが、微細に震えながらくぱりと口を開けているのが、これ見よがしに露わになる。
「パーティのメインディッシュだよ……ほら。……はやく……挿れて」
そのあまりに淫らな挑発は、ラスの理性を完全に焼き切った。
「……クソ淫乱がよ」
ラスはフランの腰を両手でガッチリと掴み込むと、自らの熱く滾った楔を、たっぷりと濡らされたその場所へと真っ直ぐにあてがう。
そして、一切の躊躇なく――逃げ場のない体勢のフランの中へと、ひと息に深々と突き入れた。
「あ……ッ!!」
一気に最奥まで満たされた衝撃に、フランが大きく背をしならせて甲高い嬌声をあげる。
たっぷりのゼリーで中まで解されていたとはいえ、ろくな愛撫もなく限界まで張り詰めたラスの猛りが一気に侵入してくる感覚は強烈だったはずだ。だが、フランの粘膜はそれを拒絶するどころか、極上の吸着力でぎっちりと隙間なくラスの熱に絡みついてくる。
「ぐッ……、く、……」
あまりの締め付けと熱の高さに、ラスの喉から獣のような低い唸り声が漏れた。
大きく背中の開いた黒のドレスシャツから覗く、しなやかな背筋。片側に乱暴にずらされ、なめらかな谷間の間に食い込む淫猥な下着。他の男のために用意された淫らな包装を中途半端に纏わせたまま、この美しい魔物を背後から犯している――その背徳感と目の前の卑猥な絵面が、ラスの中のサディスティックな興奮を際限なく煽り立てる。
「は、あっ、あぁっ、ん! あっ……!」
振り返る余裕すら与えず、背後から荒々しく腰を打ちつける。引き抜いては根本まで叩き込む激しいピストン。肌を打ち据える暴力的な音と、ぐちゅり、と粘膜が交わる生々しい水音が響き渡る。
激しく腰を打ち付けるたび、ずらした下着のふちがラス自身の根元に擦れる。熱い粘膜の極上の締め付けと、時折擦れるぬるついた布地の摩擦。その感触がたまらない快感となって脳の髄まで痺れさせ、ラスの腰の動きはさらに暴力的な速度を増していく。
「あ、あっ、そ、こ、……ッ、深い……あぁぁっ!」
容赦なく奥までを抉るストロークに、フランが狂おしい嬌声をあげる。彼はただ本能のままに乱れ、自ら腰を押し付けてより深い場所をねだってきていた。
圧倒的な視覚の暴力と極上の肉の収縮に思考が焼き切れ、衝動と欲望はあっという間に臨界点に達する。これほど早く限界が来たことは、今まで一度もなかった。だが止まれなかった。
視界が真っ白に飛ぶほどの強烈な快感が背筋を駆け抜け、ラスはフランの腰を砕くほどの力で掴み込んだまま、一番深い場所へと熱い飛沫を激しく打ち付ける。
「あッ、あぁぁ……!」
フランもまた、カウンターに爪を立てて甲高く啼きながら、腹を震わせて絶頂を迎えた。
ドクドクとフランの内に熱を注ぎ込みながら――荒い呼吸を整える間すら、今のラスにはもどかしかった。
「は……っ、あ……」
絶頂の余韻に震えながら、カウンターに寄りかかって力なく崩れ落ちそうになるフランの中から楔を引き抜くと、ラスはフランの腕を掴み、その身体を抱え起こした。
「……まだだ」
足元がおぼつかないフランの身体を引きずるようにして運び、待合室の片隅に残っていた、比較的無事なソファへと乱暴に押し倒す。
フランが何か言うよりも早く、しなやかな脚を大きく左右に割り開くと、ラスは蜜と白濁でぐちゃぐちゃに濡れそぼった場所へ、一切治まる気配のない猛り狂った熱をそのままもう一度根元まで沈め込んだ。
「……、ぁ……っ」
ずぷ、と入り込む熱を、蕩けきった体は難なく受け止める。今度は腰を引くことはせず、ラスは己の根元をぴったりと打ち付けたまま、体重をかけて押しつぶすように奥を突き上げた。
「あっ、あ、そこ、だ……、め……っ」
達して間もないフランの中はびくびくと痙攣を繰り返しながら、ラスのものに絡みついて締め上げてくる。
その強烈な快感に耐えながら、ラスはフランの中の最奥、最も熱く弱い部分だけを執拗に、何度も何度も角度を変えながら擦り上げた。
奥の粘膜がぐちゅんと音を立てるたびに、フランの声が再び甘く高く蕩けていく。
「……っ、は、あ、あぁ……ッ!」
もう下着の体を為していない布地は、彼自身からあふれた蜜でどろどろに濡れて白濁をこぼしていた。潤んだ瞳からは理性の色は消え失せ、止まない快楽に蕩けている。
「――フラン、」
荒い息を吐きながら、ラスはフランの顔の横に両手をつき、逃げ場を奪うように深く覆い被さった。喘ぐために開かれた艶やかな唇を、喰らいつくように塞ぐ。
「んっ……、ふ、ぅ、ん……っ」
重ねた唇の隙間から、行き場を失った吐息と嬌声がラスの口内へと直接流れ込んでくる。息継ぎの暇さえ与えない深く強引なキスに、フランはそれでも舌を絡ませ、唾液を貪るように応えてきた。すがりつくように背中に回された手が強くシャツを握りしめる。
キスの合間にわずかに唇を離しては荒い呼吸を交わし、またすぐに磁石のように引き寄せ合って、貪るように唇を重ねた。
卑猥な水音とスプリングのきしむ音だけが荒れた室内に響き、視界が真っ白に飛ぶほどの圧倒的な快楽の濁流が、二人を同時に飲み込んでいく。
唇を離して首筋に噛み付けば、その痛みにさえ感じるのかフランの中はラスをさらにきつく締め上げ、背中に爪が食い込んだ。それがさらにラスの衝動を煽りたてる。
「っ、あ、……っ、あッ、は……っ、もう、……――!」
ラスに内臓ごと揺さぶられながら、呼吸の合間に甘い嬌声を上げ続けていたフランが、限界を迎えるその瞬間――ラスはみたび、その唇を深く塞いだ。
「――――ッ……!!」
声にならない悲鳴が呼吸ごと呑み込まれ、奥の粘膜が狂ったように収縮してラスの熱を千切らんばかりにきつく締め上げる。
その抗いがたい極上の締め付けに、ラスもまた唇を重ね合わせたまま低く咆哮し、フランの最奥深くへ、灼けるような二度目の白濁を叩き込んだ。
静まり返った部屋に二人の荒い息遣いだけが響き続ける。
スプリングの軋むソファの上で、ラスはフランに覆い被さったまま、汗ばんだその首筋に額を預けて大きく息をついた。べたつくような熱気と甘いコロンの残り香、そして激しい情事の生々しい匂いが、狭い空間に色濃く満ちている。
しばらくして、わずかに呼吸が落ち着いてきた頃。ラスの下でぐったりとしていたはずのフランが、不意にぽつりと口を開いた。
「……リーズ刑事」
「……あ?」
気怠げな声に、ラスが顔を上げずに応じる。すると、フランはまだどこか快楽の余韻に掠れた――それでいてひどくあっけらかんとした声で言った。
「……言い忘れてたんだけど。ここ、カメラつけたんだよね」
「――は?」
唐突な言葉に、ラスは弾かれたように顔を上げた。
フランはソファに気怠げに横たわったまま、薄暗がりの待合室の天井の隅を指差す。
「ほら、前に『セキュリティ強化する』って言ったでしょ? あの後すぐ」
フランの指差す先を凝視すると、薄暗い非常灯の光の中、天井の隅に設置された小さな黒いレンズの横で、録画中であることを示す赤いランプが、チカチカと無機質に点滅していた。先ほどから二人が狂ったように貪り合っていたカウンターと、このソファの周辺もばっちり画角に収まっている。
ラスは絶句した。勢いまかせだったとはいえ――普段は多数の人間が出入りする診療所という場所の待合であれだけ激しく、獣のように交わる様を、あろうことか防犯カメラに一部始終録画されていたというのか。
「……あんた、わざとだろ……」
げんなりと顔を落とし、ラスは低い声で唸る。
監視カメラ越しに犯人に挑発キスを仕掛けたばかりか、本人の前でその再現までしてみせたこの男なら、誰かに見られている――あるいはそれが記録に残る――状況すら、一種のスパイスとして愉しんでいたとしか思えない。
だが、フランはころころと笑い声をこぼした。
「まさか。だって僕は気にしないもん」
「俺は気にする」
即座に吐き捨て、ラスは深い――本当に深いため息をついてソファから身を起こした。頭を抱えたくなるような疲労感がどっと押し寄せてくる。
「……はぁ……せめてベッドに行くべきだったな」
「今さらだねぇ」
乱れたシャツの胸元もどろどろに汚した下着もそのままに、フランはラスの前で浮いた爪先をひらひらと揺らしてみせる。
ラスが容赦なく噛み散らかした首筋や胸元には赤い鬱血痕や噛み痕が転々と散っていて、今しがたの激しい情事の痕跡がまざまざと刻まれていた。
「したい時に、したいところで、したい人とするの、僕は」
――したい人と。
その言葉は、少なくともこの瞬間、彼が権力者でもマフィアでもなく、己の欲望の赴くままに目の前の男を——ラスを選んだという紛れもない証だった。
どこまでも身勝手で、奔放で、そしてどうしようもなく淫らな。
(…………たちが悪い)
ラスは呆れ果てながらも、この底知れない男に完全に惹きつけられている自分を認めざるを得なかった。
「……で、満足したのか? 底なしの淫乱ドクター様は」
皮肉げに片眉を上げて問いかけると、フランはその蜂蜜色の瞳を楽しげに艶めかせる。
「してない、って言ったら?」
「……」
まったく、とんだ魔物に捕まったものだ。
ラスは自嘲気味に肩をすくめると、横たわったままのフランに顔を近づけ、
「……付き合ってやるよ。底まで」
笑いながら、鼻先を擦り合わせるようにして低く付け加える。
「ただし、カメラのないとこでな」
その言葉に、フランは心底おかしそうにけらけらと明るい笑い声を上げた。
毒々しいネオンの光が差し込む廃墟の診療所に、二人の笑い声と新たな熱が溶け合っていく。
ルミナス・ネックスの夜は、まだ長い。
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