4 / 16

第4話 引き裂かれたクリスマス、冷たい脅迫

「なあ、暁月があまりにも怪しんでる。毎日放課後一人で帰すの、流石にやり過ぎたか。だからさ、放課後は週2くらいにしようぜ?」  夜は少なからずホッとした。 しかしそれもすぐに打ち砕かれた。 「ああ、だから土日は俺んちな? 流石に土日に暁月と会ったことないし……前から考えてたんだ。お前を土日に泊まらせようって」  夜は怒りに震えて喚いた。 「良い加減にしろよ!? お前……さすがにそんなこと応じる訳ないだろ? そもそも僕が土日に家にいないと暁月は怪しむ。泊まりなんて絶対に無理だ」 「じゃあ……泊まりはたまにでいいから、土日は通いな? 言う通りにしないと暁月を捨てるからな? そしてお前が好きだと暁月に思い知らせてやるよ」 「……やめて。言う通りにするから、暁月のこと……お願い。大切にして。僕が言うのもおかしい……けど、暁月が大切なの。お願い、傷付けないで」 「なあ、俺が何でお前といるのかわかんねえの?」 「は? わかる訳ないだろ?」 「俺さ、暁月よりもお前の方が好きなんだよ。だから……お前を裏切れないんだ。なあ? 全然気付いてなかったんだ?」  夜は絶句した。荷物を持つと教室を飛び出した。  息を切らして立ち止まると涙が次から次へと溢れ出して地面へと落ちた。夜の涙の跡を隠す様に雨が降ってきて地面を覆い隠した。夜はそこに座り込んで動けなかった。 ──────  まもなくクリスマスがやってくる。暁月は上機嫌だ。 「夜! 俺さあ、クリスマスには柊也にキスもそれ以上も強請ろうと思ってるんだ。……良いかな? 俺の方から誘っても……下品な奴だと思われたくはないんだよな……」  夜は答えに困った。恐らく柊也は応じないだろう…… 「ん……良いと思うよ? 気持ちは伝わると思うし……ありのままを伝えてみたら?」  夜の心は壊れてしまいそうだ。  待てよ? この状況を逆手に取るのはどうだろう? 暁月とセックスをしないならば今後自分は柊也との関係を断ち切る、と。乗ってくるか? ────── 「瀬戸くん、クリスマスに暁月と……その、セックスしてあげてくれないか? 暁月が君にお願いしてくると思う。僕に相談してきたんだ。……暁月とセックスをしなければ、僕は今後君には付き合わない」 「は? 無理だろ? だってクリスマスはお前といる。暁月とは23日に会えば良い。24と25はお前といる。当たり前だろ? セックス? する訳ないだろ? 無理だよ。暁月を抱き締めていても勃ちもしないんだ。興奮しない。やっぱり、明るくって良い子で、友達として好き……だったんだな。俺を脅してるんだろうけど……俺に付き合わない? それは夜が決めることじゃない。いつも言ってる通り、夜が俺と過ごさないならば、暁月は最悪な形で捨ててやるよ。もちろんお前に憎しみが向くだろうな……」 ────── 「ねえ、柊也!! クリスマスだけど、どこに行く?? 何する??……俺、柊也の家に泊まりに行っても良いかな?」 「あ〜 ごめん。言い忘れてだけど、24、25日は俺実家に帰るんだよ。だから、23日に会おうな?」 「えっ……? う、うん……それ、ズラせないの? せっかくのクリスマスなのに……」 「ほんっとごめんな……! 23日は楽しもうな? どこ行く?」 「え……じゃあ柊也の部屋でゆっくりしたい……」 「あ〜 なあ、外で遊ぼうぜ? 暁月水族館行きたがってたじゃん? 行こうぜ?」 「あ……うん……家、行っちゃダメ?」 「うーん……やめとこうぜ? 気乗りしない」 「……わかった」 ────── 「ただいま……暁月っ!? どうしたのっ?? 何で泣いて……」  夜はベッドの上で泣きじゃくる暁月を抱き締めた。 「ク、クリスマス会ってくれない……家にも連れて行ってくれない……エッチのこと察したみたいだけど、その上で断られたみたい……どうして……? 俺のこと好きだって言ってくれるのに……俺が男だからやっぱり嫌なのかな……なんでえ……しゅうやあ……」 ──────  翌日夜は柊也に詰め寄った。 「ねえっ!! 暁月見てられないの……お願いだから暁月を受け入れて……セックスして!! そんなに難しいこと? たかがセックスでしょ? 僕だってしょうがなくお前とヤってる……お前も暁月とヤれよ!? 恋人だろ?」  柊也はイラついた様に夜の側に寄ると顎を鷲掴みにした。 「いっつ……!? はなせ……」 「たかがセックス? 俺としょうがなくヤってる? お前そんな感じなんだ? ふーん……俺さ、お前のことが好きだって言ってるよね? それを、その感情を裏切れって言うのか? 他の男とセックスしろって?……俺だってな、辛いんだぜ? 知らないだろう? 暁月は大事だ。だけどお前と出会ってわかった。暁月は友達だ。俺はお前が好きだ。その目に狂わされた。暁月とは違う……確かにお前らは見た目はそっくりだ。でもそれだけじゃ……お前とは別人なのにセックスなんか出来ねえだろう? なあ、俺、良い加減暁月とは別れたいんだけど……お前が傷付けるなとか、大事にしろとかうるさいから付き合ってるだけで……あいつとはただの友達に戻りたい。ていうか、俺は今も友達の時と変わらない。俺はお前と付き合いたい」  夜は絶句した。 この男は何を言っている? 暁月を捨てて夜と付き合う? 馬鹿げてる。そもそも夜がそんなこと応じる訳がない。 暁月が世界で一番大切な弟なのに……  夜は焦点の合わない目で柊也を見つめた。 「僕……瀬戸、お前とのこと暁月に話そうかな……」 「え……? 付き合ってくれるの?」 「そんな訳ないだろ? 全て話して許してもらう。許してくれなくても許してくれるまで謝って意地でも暁月の側にいる」 「はは、お前にはそんなこと出来ないよ。だって今の段階でクリスマスで傷付いた暁月にオロオロしてる。本当にセックスヤりまくってるなんて言えるの? お前が話すなら俺も包み隠さず全てを正確に暁月に話すよ。なあ、そうしようか?」  夜は唇を噛んで体を小刻みに震わせた。

ともだちにシェアしよう!