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第10話 逆転の煽り、歪んだ見せつけ

「僕は柊也と寝ていたんだ」 「は……?」  夜は顔を上げられず、もう一度呟いた。 「僕と柊也はこの半年間セックスをしていたんだ。もちろん強要されていたけど……」  暁月の顔は青くなり、夜の両腕を掴み揺さぶった。 「ちょっと待ってよ!? は? 何? 柊也と夜は何? セックスしていたの? 何?」  夜は俯き、涙を溢した。 夜はポツリポツリとこれまでのことを全て語った。出会いからクリスマスまでのこと。そして暁月を|蔑《ないがし》ろにして、やっと二人が別れたのでもう付き合うことはやめること。……夜が愛しているのは暁月だけだということ……  暁月は静かに聞いていた。涙も流さず、取り乱すこともなく、静かに聞いていた。  夜の話しが終わっても暁月は静かだった。 どれくらいの沈黙が続いていただろうか? 部屋に響くのは夜の啜り泣く声だけだった。 『ぱぁんっ……!!』  突如夜はクラっとした。夜は思いっきり叩かれた。 『ばしっ!! ばしっ!!……』  何度も何度も殴られた。  程なくして殴るのが止み、夜は暁月を見た。 言葉を噛み殺してハラハラと泣いていた。  夜は暁月を抱きしめた。強く強く抱きしめてキスをすると押し倒し、暁月の中にいきなり挿入して腰を使った。 耳元で愛してると囁きながら……  暁月は夜に何度も何度もキスを求め、何度も達した。 ──────  暁月はボーっと天井を眺めながら夜に聞いた。 「……知らなかったんだよね? 俺の恋人だってこと。俺紹介しなかったもんね?……でもさ、あいつはさ、俺と夜が同じ顔してるってわかってて、俺と付き合ってるのに夜を抱いたってこと……? なに? 何が起きたの? 何でそんなことが……」 「……僕のことが好きだって言われた。僕が好きだから暁月にキスしたり、抱いたりすることはできないと……」 「何それ……? あいつは夜のことが好きなの……?」 「……あいつが暁月と別れない代わりに僕が柊也のものになれって……無茶苦茶だよな。暁月を捨てるって脅されたんだ」 「……だからか。俺が夜とキスしたり抱き合ったり……こういう会話になると機嫌が悪くなる。そうか……ふーん。夜、この話を俺が知ったことはしばらく秘密にして。けれどあいつとはもう寝ないで。これ以上あいつに夜を触らせたくはない……汚されたくない……俺以外とキスもそれ以上も二度としないで。良い?……最後にもう一度聞くけど、夜はあいつのこと本当に好きじゃないの? 俺に気を遣ってない?」 「いや、殺したいくらい憎い。暁月を囮に脅されていなければあいつには従わなかった」  暁月は夜をきつく抱きしめた。 「夜……辛い思いさせて……本当にごめん。俺があんなクソ野郎を好きになったばっかりに……ごめんなさい」 「暁月が謝らないで……暁月に話せてホッとしてる。ごめんね……」 ──────  年末年始、双子は二人きりで甘く寄り添い、抱き合って過ごし、柊也の存在を思い出すことはなかった。  学校が始まり登校すると柊也はいつも通り暁月に接してきた。 「よお、暁月! 年末年始連絡くれなかったな? 俺待ってたのに……返事もくれないで」 「ああ……ごめん。夜と二人で過ごしたから。毎年そうなんだ。親が田舎に帰っていなくなるから夜と二人っきりになるんだ」  柊也の顔が少しひくついた。暁月はそれを見逃さなかった。 「へえ……やっぱり兄ちゃんと仲良しだよな」 「ああ、仲良しだよ? 寒いから毎日抱き合って眠るし……不思議だよな。あんなに近くで抱きしめ合うとキスがしたくなってさ……引かないでよ? ディープキス……済ませちゃった。まるで恋人同士だろ? あ、俺の恋人は柊也だからね?……いつになったらキスしてくれる?」  暁月はニヤニヤが止まらない。柊也の顔はどんどん曇っていく。  柊也は暁月の問いかけには答えず振り向いて歩き去った。暁月は笑いを堪えるのが大変だった。 そして暁月はLINEをした。 『多分夜のところに行った。くれぐれもセックスしないで。次にしたら夜でも許さない。気をつけて』  夜は教室までやって来た柊也を無視し続けた。何度もLINEが来て脅された。 『おい、暁月にバラすぞ。良いな?』  それでも暁月の言う通りに無視し続けた。 ──────  放課後になり柊也は暁月の誘いを断ると足早に夜の教室に向かった。しかしそこにはもちろん暁月も現れた。 「あれ……? 柊也、用で早く帰ったんじゃなかったの? 何で理系クラスにいるの? なんか用事?」 「い、いや……暁月は? あ、夜か? 夜と帰るのか? 俺も……」  暁月は意地悪な笑みを浮かべた。 「あ、ごめん。うん、柊也が俺と帰るの断ったから、今日は夜と出かける事になった……あ、夜!! 行こう! じゃあ、また明日。柊也」  暁月は無理矢理夜の肩を抱き廊下の角を曲がった。柊也はその後をつけると暁月は夜を壁に押し付けてキスした。二人は抱きしめ合い、何度もキスしていた。  「は……? こんな堂々と校内で!? あいつら頭おかしいんか……??」  もちろん暁月は柊也に気付いていて、わざと見せつけた……  夜は混乱した。 「はあはあ……あ、暁月? どうしたの? こんなところでキスなんてして……誰かに見られたら……」 「ん? 誰かさんに見せるんだよ。これからいつもね。今日は俺が迎えに来るのが早かったけど、昼とかに絶対にセックスしないで。本当に殺しちゃうかもしれないから」  暁月はどちらを殺すとは言わなかった。夜には聞くことが出来なかった。

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