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第4話
「行くか」
ふらふらと歩く皆方を誘導するように先に立って歩く。客引きが大挙する表通りから筋を抜け、その先にある建物へと入った。
「あ? ラブホ?」
「そうそう」
ぽやんとしている皆方に構わずに部屋を指定し、鍵を持ってエレベーターに乗る。
「いや、俺そこまで望んでなかった……おっぱぶとかでちょっとにゃんにゃんして癒されたいなーってくらいで」
にゃんにゃんとか死語だろう。けれど蕩けた皆方が言うと全然許せる。耳と尻尾をつけてやるからもう一度言ってくれにゃんだこら。
デリヘル呼ぶ気になっている皆方を部屋に押し込む。とりあえずシャワーを浴びろと上着を取り上げて浴室に押し入れると、ガラス張りの浴室で皆方がシャワーを浴び始めた。
何の変哲もない中年男の体。締まりがあるのはいいが、年相応の身体だ。年一回社員旅行があるような中小企業勤め故に、皆方の裸を見るのも初めてじゃない。だから皆方も気にせずガラス張りの浴室に入っている。というよりぽやんとしているせいで丸見えってことに気づいていないのかもしれない。
「あがったよー」
ガウンを着て髪を拭きながら皆方が戻る。少しは酔いも醒めただろうか。シャワーを浴びたせいで頬が上気していて、判断が難しい。
「もう呼んだ?」
「は? なにをだ?」
「えー……デリの子だよ。俺、巨乳ならだいたいオッケーなんだけど……ってか、三人だと断られるんじゃない?」
「呼んでねーけど」
これ以上は言い合っていても仕方がないと、皆方をベッドに転がす。あっさりと横臥したところでマウントを取ると、眩しそうに目を眇めた。
「今日のところは俺に任せとけ」
「ん? ……んんっ?」
湯上りのせいで普段より赤い唇を一息に貪る。あまり厚みの無い唇を吸い舐り、抗議の声を上げようとした無防備な口に割り込む。デリヘルが来ると思ってか、皆方の唇からはミントの味がした。
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