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veil 07. いっしょに
研修期間がおわりました。おわってしまったなあ。
第一都市から来たGlassはすぐに帰っていって、わたしたちは岬からお見送りしました。そのとき、けいくんは泣き腫らした目をして、
「……心配、かけてごめん」
と言いました。それから「ちゃんと帰る」って言ってくれた。よかった。よかったな。メイルさんがわたしの頭をよしよしとなでています。わたし、また滝みたいに泣いてしまった。泣き虫、なおしたいです。
そして、わたしたちは空港にいます。メイルさんにヨルさん、教皇様と、幸くんがお別れに来てくれた。さびしいなあ。
「また、また、あそびにきますっ、」
「それはむずかしんじゃないかなぁ」
メイルさんがたのしそうに言います。そうですよね。第三都市にいる大人って、番がいないってことですもんね。「まあでも、」とメイルさん。
「なんか世界ってころころ変わってるし、そんな日も来るかもねえ」
メイルさんがにっこりほほえみます。そして道端の草ケーキの包みを何個か渡してくれた。うれしいです。みんなで食べます。
けいくん、幸くんが「かえるなー!」って駄々をこねているのを「帰る」ってあしらっている。でも、幸くん、なんだかうれしそうな顔して、わざとらしく「かえるなー!」って言います。なんだか、幸くんって面白い。
「おーい! けいー! おとねー!」
ようやく飛行船がやってきたと思ったら、あれおかしいな。どこからか、アサミくんの声がします。どうしてだろう。
そして飛行船のハッチがひらいて、アサミくんが飛び出してきました。えっ、学園を抜け出してきたのかな、それってちょっと大変なことになりますよ。
あたふたとしていたら、アサミくんのうしろから、すごく背の高い人がおりてきた。アサミくんの番さんだ。
「これ、ぼくたちの飛行船ー!」
アサミくんが言います。どういうこと。
どうやら、アサミくんの番さんはパイロットで、アサミくんは助手みたいなことのお勉強をしているみたい。研修ということで、第二都市をとびだせちゃったらしいです。ちゃんと学園長の許可証、持っていました。
「あれ! ヨルさん!」
アサミくんの番さん、ヨルさんを見つけて駆け寄っていきました。知り合いなんですかね。びっくり。しかし本当に背が高いな。
アサミくんも不思議そうに二人の顔を見比べていて、番さんは「えっとねー」と言って、ちらりとヨルさんを見ました。ヨルさんは「平気」と言ってうなずきました。
「兄貴がねぇ、ヨルさんの番だったんだよ」
とアサミくんの番さんは言います。そんなぐうぜん、というか、番だった。
それって、もしかして、とながめていたら、アサミくんの番さんは「あ、そうだそうだ」と何かを思い出したように、自分の服のえりのところをがさごそ探ります。
そして、きらきらとしたなにか、ペンダントですかね、それを外しました。
「これ、兄貴の形見、ヨルさんに渡し損ねたやつ」
……やっぱり、亡くなってしまわれたんだな。ヨルさんは、ペンダントをじっとみつめて、なんともいえない顔をしました。
「……君が、もっていたほうがいいんじゃない?」
「んーん、ヨルさんのほうがいい、ぜったい」
「そう。じゃあ、もらおうかな」
そう言って、ヨルさんは両手で包むみたいに受け取って、ちょっとほほえみました。
けいくんは、そんなヨルさんを、なにか静かな景色を見るみたいに、見つめていました。
◇
帰ってきたなあ。第二都市です。空港にはツキちゃんがいました。そしてやっぱり優芽先輩もいて、今度は世那先輩もいて、なぜか学園長先生がいる。……なぜ?
「慧、音音。教会への就職は辞退でいいな?」
学園長先生、開口一番に言います。そうでした! 研修に行くって就職を希望することだった。たいへんたいへん。わたしはぶんぶんうなずきます。けいくんもうなずいた。
それをみて、学園長先生はふっとわらいました。
ちょっとびっくりした。でも、わらうと優芽先輩のお兄さんだなってわかりますね。
「残りの学園生活、せいぜい楽しむように」
そう言って、学園長先生は帰っていった。優芽先輩と世那先輩が目を合わせてくすくすしています。なんだろうと思ったら、
「夕にぃね、ふたりのことすっごい心配してたんだよ」
と優芽先輩が教えてくれました。そ、それは、もうしわけないことをしたな。
けいくん、視線をさまよわせてから、
「…………ごめん」
と謝りました。
世那先輩うれしそう。ずっとやさしい顔です。でもたまに、涙をこらえているみたい。けいくん、世那先輩がその顔になるたび、見上げて目線を合わせている。
なんだろうな。なんだか、なんていうのかな、
「いっしょに生きてる、って感じだね」
それだ。優芽先輩がささやいて、それだ、となりました。さすが優芽先輩。
いっしょに生きてる、かあ。
あの、優芽先輩は、わたしといっしょに生きていたいと、思ってくれたりしたのかな、なんて考えて、つい照れてしまう。
優芽先輩、その、わたしを、すきってことなのかな。っていつか聞けたらいいですね。いまはむり。
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