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アネモネ外伝-終末世界御伽忌憚-いつかの日々 前編④

エピローグ  朝の色彩に街が溶けている。  郁は、裸のまま、放置されていた。  呼気も身体も精液の臭いがこびりついているし、ひどい頭痛がした。 「……さいあく」  なんとか、衣服らしいものを見つけて、不快に思いながら身につける。  ひしゃげた小さな箱を見つけて――。  郁は、泣きそうに顔を困らせた。 (こんなもの……きっと、望は食べない……)  そうは分かっていたのに、なぜか、歪な形のケーキの箱を拾いあげて、大切に抱えた。  下半身を引きずるようにして、帰路につく。 ……昨夜の乱痴気騒ぎがうそのように朝の街は静かだ。  やがて、住居につき、扉を開く。  いつものことだから、望月はベッドの中で長い眠りについているはず。  郁は、浴室に向かった。  乾いたザーメンと卑猥な言葉で損ねられた身体を視界に入れないようにして、頭から水を被る。  何度も、何度も。  そして――。 「うあ、うあああああああああああああああああああああああああああああああっ!」  床に蹲り、こどものようにわあわあと泣きじゃくった。  まるで、過去の出来事を彷彿とするようで。  もうあの頃の弱い自分とは決別したはずだった。 「もえぎ、もえぎ、助けて……」  意識の中で、その名前を呼ぶ。  揺れる長い黒髪。  そして、彼女は振り向いた。  彼女は――「望月」と同じ顔をしていた。

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